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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『親切なクムジャさん』 ~クリスマスに観ちゃダメよ(笑)~
e0038935_20541144.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『親切なクムジャさん』(2005、韓)
     監督 パク・チャヌク
     出演 イ・ヨンエ  チェ・ミンシク

『オールド・ボーイ』っていう映画、観たことありますか?

スゴイんです、これが!スンゲー面白いんです!

お隣の国に、まさかこれほど成熟したエンタテインメント文化が育っていたとは。この映画を観たとき、日本は1歩も2歩も差をつけられてしまったなぁ、と僕は痛感した。まして、『オールド・ボーイ』の原作は、日本のマンガ。確か、日本の配給会社が映画配給権を買った金額が、原作の映画化権利額の何百倍だか何千倍だかになっていたとかいう話を、どこかで耳にした気がする。まったく、日本人としては情けなくなる話だ。

僕は劇場に2回観にいったほど、この映画にハマってしまった。で、いろんな人に薦めた。スゴイ映画があるよ、って。そしたら、返ってきた反応は真っ二つ。「面白かったよ、ありがとーー!」っていう感謝の声と、「オマエはなんちゅう映画薦めとんねん!」っていう抗議の声と(笑)。そう、何がスゴイって、ストーリーも映像もかなり過激なのだ。テーマが復讐っていうのも重いし、舌をちょん切ったりとかの目を背けたくなるような描写も少なくないから、決して万人ウケする話ではない。そのことを、すっかり忘れていたのだ(一方的に薦めてご迷惑をかけた皆さん、スミマセン(汗))。

で、『親切なクムジャさん』の話。
この映画の監督パク・チャヌクこそ、『オールド・ボーイ』を世に送り出した人。テーマは、またしても復讐。『復讐者に憐れみを』とあわせて、復讐3部作の完結編という位置づけらしい。さぁ、今度はどんなスゴイ映画になっていることやら。

では、あらすじ。
6歳の男児を誘拐し殺害した罪に問われ、13年の服役を命じられたクムジャ。刑務所の中で、彼女は困っている人をたびたび助け、その微笑を絶やさない表情から、”親切なクムジャさん”と呼ばれた。しかし、13年ぶりに外に出た瞬間、その表情は豹変。彼女の目的はただひとつ。それは、自分を無実の罪で刑務所に送り込んだ、事件の真犯人ペクに復讐することだった・・・。


いやぁ、これもまたスゴイ映画でございました。相変わらず重い。暗い。怖い。しかも、ときおりブラックな笑いもあったりするから、一体どんな顔して観たらよいのやら。

観客にあくび一つ許さないパワフルな演出は相変わらず。好き嫌いとか、ことの是非は置いといて、スクリーンから一瞬たりとも目が離せないそのパワーは圧巻のひとこと。心臓をわしづかみにされるような緊張と興奮のあとに、切ないような哀しいような、不思議な余韻が胸に残る。

とりあえず言えること。
クリスマスに恋人とか家族と見ちゃダメ(笑)。悪いことは言いません。黙って、ブラピかオールウェイズにしときましょ。

<以下、ストーリーに関してのネタバレあります。未見の方は、ご注意ください。>

十分に楽しめたんだけど、ちょっと物足りなさもあったかな。あんまり『オールド・ボーイ』と比べてばかりいても仕方ないんだけど、その差は何かっていうと、今回の映画にはミステリー的なドキドキがないこと。

『オールド・ボーイ』のスゴイところは、ハードな映像とシビアなテーマ、そしてミステリアスな謎解きが見事にミックスされているところ。一方、『親切なクムジャさん』は、クムジャさんの行動に関しては全て理由とか状況はクリアになっているので、観客としては、とにかく彼女の行動を見守ることしかできない。そのぶん、ドキドキやスリルはそれほどなくて、残されたのは、ただただ凄まじい彼女の復讐劇。ストーリー性がないぶん、余計に、胃の中をかきまわされるような不快な感覚が強く残る。

でも、後半の展開はスゴイのひとこと。たしかに”親切”だよね、クムジャさんって(笑)。それだけのシビアな状況にもかかわらず、そこに集まった人たちの会話が意外にコミカルなのも、とても面白かった。究極のブラックユーモア、というか。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」っていう言葉を、僕は思い出してしまった。その方法が正しいとは僕は思わないけれど、彼らの行動を観ながら、「やってまえ~!」って後押ししてしまうような気持ちって、みんな誰しも持ってるんじゃないかな。復讐心って、誰の心の中にも潜んでいるものなのだと思う。それが爆発するかどうかは、何かのきっかけひとつ、なのかもしれない。

でも、結局何も残らないんだよね。救われない。クムジャさんは、最後に、自分の方法が間違っていたことを知る。そして、観ている僕ら観客も。たしかに、途中は「やってまえ~!」って思ったけど、最後に残ったのは、嫌な後味だけ。

クムジャさんが望んだのは、ペクの血や叫び声なんかじゃなかったんだと思う。彼女が欲しかったのは、謝罪の言葉。「おれが悪かった」「許してくれ」ペクは最後まで、そういった言葉を発さなかった。そのひとことがあれば、彼女も多少は救われたかもしれないのに。そして、観ているこちらも。この映画が不快な感覚を残すのは、悪魔が最後まで悪魔のままだから。だったら、「やってまえ~!」って、そういう誤った展開になっちゃったのだと思う。

でも、救いはあった。ラストシーン。彼女を包みこむ”許し”。ペクには訪れず、クムジャには待っていたもの。許し。2人の違い、クムジャは謝罪した。自分は罪人だ、と。人に謝れるということ、それは、人と交われるということ。交わりたい、ということ。僕らが欲しいのは、憎むべき相手の苦悶の表情でも、復讐によるカタルシスでもない。人の温もり。ただそれさえあれば、僕たちは何度でも、失敗から立ち直れる。

復讐シリーズは、これで終わり。次はどんな作品を見せてくれるのか。
パク・チャヌク、いまや世界を興奮させる、要注目の監督です。
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by inotti-department | 2005-12-14 21:53 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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