> ご案内
当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
> 最新のトラックバック
welsh blacks
from welsh blacks
テラびしょびしょw
from お・な・に・ぃ
gilroy high ..
from gilroy high sc..
luniz videos
from luniz videos
mortgage loa..
from mortgage loan ..
elizabeth ar..
from elizabeth arde..
animator fro..
from animator from ..
負けても勝ち組w
from ドンパッチ
korean women..
from korean women n..
pcbyte
from pcbyte
> 『ミュンヘン』 ~悲しみの連鎖を断ち切ろう~
e0038935_123488.jpg
満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『ミュンヘン』(2005、米)
   監督 スティーブン・スピルバーグ
   出演 エリック・バナ  ダニエル・クレイグ


1972年。ミュンヘン五輪の選手村で、イスラエル選手団の11名が虐殺される。犯行は、パレスチナのテロリスト集団”黒い九月”によるもの。イスラエル政府は、彼らへの報復を決断。イスラエル情報機関”モサド”は、即座に暗殺者チームを結成。犯行に関与した11名をリストアップし、彼ら全員の暗殺を命じる。チームのリーダーに抜擢されたのは、アヴナー。妊娠7ヶ月の妻との連絡も断ち切り、彼は任務を遂行しようとするが・・・。


巨匠スピルバーグ、渾身の力作。

僕は、個人的には”社会派スピルバーグ”より”娯楽派スピルバーグ”の方が好きなんだけど、そうはいってもこの映画はやはりスゴイ。面白いとか楽しいとか、そういう言葉を使う気にはなれないようなヘヴィーな作品なんだけれども、さすがにガツンと力作を完成させたなぁという印象。

重い。なんにせよ、重い。何がって、これは実際に30年ほど前に起こった出来事なのだ。決して、映画の中だけのフィクションではない。そして、9.11に象徴されるように、世界は今も当時と変わらない悲しみを背負いつづけている。スピルバーグは、30年前の事件を描くことで、同時に現在の状況の深刻さを改めて観客に提示してみせたのだ。

徹底的にリアリズムを追及した、緊迫感溢れる映像表現が圧巻。その暗殺シーンの残酷さは、目を背けたくなるほど。でも、背けちゃいけないのだ。この世界を覆っているひとつの確実な断片を、僕たちはきちんと受け止め、反省しなければならない。シビアな映像は、僕たちにそう語りかけてくる。

一方で、ただのドキュメンタリーにはなっていないところが、スピルバーグのスゴイところ。エンタテインメントもクソもないような悲劇を題材にしながらも、きちんと映画として、物語として成立させるそのテクニック。お得意の”お涙ちょうだい的ヒューマニズム”こそ今回は最小限に抑えているが、主人公5人の葛藤の物語には、十分な見ごたえがある。

そして同時に、サスペンス・スリラーとしての面白さもきちんと盛り込んでいるところが心憎い。誰が敵で誰が味方なのか、もう何も信じられなくなる疑心暗鬼の状況。そして、1人また1人と仲間も命を落としていく。相手を狙いながらも自分もまた狙われる、スリリングな戦い。ただただ残酷なリアリズム映画で2時間40分はちとキツイが、物語にしっかり起伏があるから、時間の長さを感じさせない。とりわけ、主人公が狂気スレスレのところまで追い詰められていく終盤の展開には、瞬きすら許されないような圧倒的な緊張感がある。

と、ここまで褒めちぎっておいて「じゃあ、なんで☆7つ止まりなのよ!?」ってツッコまれると、正直自分でも理由はよくわからない(笑)。ただ、なんだろう、グイグイと引き込まれながらも、心が激しく揺さぶられるというところまでは達しなかったのだ。頭でグルグル考えさせられはしたけれど、心の深いところまでは届かなかった、というか。うーん、うまく言えんけど・・・。

結局、本音を言えば、僕には理解できなかったのだ、彼ら5人の気持ちが。あるいは、アヴナーの想いが。イスラエルの国民が11人殺された。その悲しみ、やりきれなさまではわかる。でも、そのあと、よくわからないままに政府から報復の実行を命じられ、それを忠実に遂行していく気持ち。

いや、確かに葛藤していたよ。苦悩していたよ。でも、なんで彼じゃなくちゃいけなかったのか?「仕方ないんだ、国のためだから。」そういう理論がまかり通ってしまう宗教対立・民族対立の理不尽な側面を、説得力ある形で僕ら日本人に提示するところまでは、この映画は達せなかったという気がするのだ。

おそらく僕の考えでは、こんなもんじゃないんだと思う。ユダヤ人、あるいはパレスチナ人の国や宗教に対する想いって、この映画の主人公たち程度の表現・描写じゃ足りないんだと思う。たとえスピルバーグにユダヤの血が入ってようが、やっぱり、この映画は「アメリカで作られた中東映画」という枠を超えるまでには至らなかったんじゃないかなって。

ただ、逆に言えば、この映画がアメリカで作られたということに意味があるとも言える。「9.11」の悲劇。そこに繋がる背景の物語。あの日起きたことは、ただ、アメリカだけが被害者だったという単純なことではなかったのだ。

映画のラストシーン、カメラはNYの摩天楼を映し出す。
僕の頭の中に浮かんだのは、あの日、ビルに突っ込んでいった飛行機の映像・・・。

NYの情景をラストカットに持ってくるスピルバーグの勇気と意志。
悲しみの連鎖を断ち切ろう。そんな、無言のメッセージ。
やっぱり、スゴイ監督だなって、そう思った。
[PR]
by inotti-department | 2006-02-22 02:04 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
> フォロー中のブログ
> ファン
> ブログジャンル
> 画像一覧