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> 恩田陸『夜のピクニック』 ~”歩く”からこそ物語になる。~
e0038935_22562298.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

『夜のピクニック』

恩田陸・著
2004年、新潮社


「歩行祭」。それは、全校生徒が列を作り、夜を通して80キロただひたすら歩きつづける北高最大の一大イベント。受験を目前に控えた3年生の貴子は、ある1つの賭けを胸に秘めてこの歩行祭に臨んでいた。それは、3年間一度も話したことのないクラスメイト・西脇融と会話をすること。2人の間には、彼らだけしか知らないある秘密が隠されていた・・・。


全国の書店員さんが、最もお気に入りの本を1冊選ぶ『本屋大賞』。
2005年、その『本屋大賞』を制したのが、この『夜のピクニック』である。

この小説が、それだけたくさんの人から愛された理由。約400ページにわたる長編小説をあっという間に読み終えた僕には、その理由がすごくよくわかった。

『夜のピクニック』には、誰もが共感し、温かい気持ちになれる要素がたくさん詰まっている。全校生徒が1つの列を作って、夜を通して歩きつづける。そんな設定を前に、ノスタルジックな気持ちを覚えない人はほとんどいないだろう。さらにそこに、友達、恋愛、家族、幽霊といったなんとも魅力的なピースが重なりあってくるのだ。青春小説好きならずとも、もうたまらない設定だろう。

しかし、この物語、意外なほどに特別なことは何も起こらないままエンディングを迎える。いや、もちろん、細かいエピソードはいろいろあるのだが、物語全体を根底から揺さぶるような衝撃的な展開というのは一切ない。例えば、物語の最大の軸である”貴子と融の秘密”にしても、こちらが拍子抜けするほどあっさりと明らかになるし、要するにこの小説は、読者を驚かそうとか予想を覆そうとか、そういう意図は全く持っていない物語なのだ。

にもかかわらず、この『夜のピクニック』は、読者をグイグイと物語世界に引っ張りつづける。そして、一気にページをめくらせる。小説の中にたびたび登場する言葉を借りるならば、まさに、「ただ歩く、それだけのことが、どうしてこんなに特別なのだろう」ということになる。

ポイントは、”歩く”というところにあるのだと思う。例えばこれが”走る”=要するにマラソン大会であったならば、物語はまったく盛り上がらないだろう。ダラダラと歩きつづけるだけだからこそ、登場人物たちに”考える”、そして”話す”という気力が生まれるのだ。この小説の最大の魅力を挙げるならば、80キロの間に浮き沈みを繰り返す登場人物たちの”考える”過程と、真剣な打ち明け話からくだらない雑談までこちらも浮き沈みを繰り返す登場人物たちの”話す”過程を、実にリアルに誠実に描きつづけた点にあると思う。

物語は、2人の主人公、貴子と融が語り部となって進んでいくが、その視点は交互に入れ替わっていく。そして終盤、その視点が、とうとう1つに融合する。この流れがすごく自然で、決して派手さはないがとても感動的だ。

彼らとともに80キロを一緒に完走(完歩、か)した読者には、最後に、最高の読後感が待っている。
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by inotti-department | 2006-07-07 23:43 | book
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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