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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『ゆれる』 ~今年度を代表する傑作!!~
e0038935_20013.jpg満足度 ★★★★★★★★★☆(9点)

『ゆれる』(2006、日)
   監督 西川美和
   出演 オダギリジョー 香川照之

東京でカメラマンとして活躍している猛は、母の1周忌で久しぶりに故郷へ戻る。母親の葬儀にすら参列しなかった猛を父親は歓迎しないが、唯一兄の稔だけは温かく迎え入れる。父のガソリンスタンドで働く稔は、同僚の智恵子に想いを寄せており、いずれは結婚したいと密かに願っていた。しかし、実は智恵子は猛の元恋人。東京に出るときに捨てていった女だ。故郷で再会した2人は、再び関係をもってしまう。その翌日、猛、稔、智恵子の3人で渓谷へ遊びに行く。各々の想いが交錯する中、突然事件は起きた。吊り橋を渡っていた智恵子が、転落死してしまったのだ。そのとき、吊り橋の上には、稔の姿があった・・・。


エンドロールが終わって場内が明るくなっても、僕はしばらく立ち上がることが出来なかった。ズシリと心に重いものが残っている感覚を、しばらくそのままにしておきたかったのだ。また1本、忘れられない傑作と出会えた。そんな感触があった。

物語自体は、決して派手なものではない。しかし、その行き詰るほどの緊張感といったら。「1秒たりとも見逃せない」という言葉がこれほど当てはまる映画もそうそうないだろう。全てのセリフ、全ての表情、全ての映像に、様々なメッセージが込められている。ワンカットたりとも手を抜いていない、製作者の情熱にはただただ脱帽だ。

ある兄弟の内面をとことん深くまで描いた人間ドラマである。その深さが、もう半端ではない。温厚で朴訥とした兄と、クールで自由人の弟。表面的にはまったくタイプの違う2人の男たちは、表面的には確かな愛情で繋がっているように見えた。最初は。

どんな人間の心の中にも、様々な感情が渦巻いているものだと思う。「○○さんは○○な人だ」というひとことで人間をとらえることなど、本当は不可能なのだ。この映画の兄弟も同じ。愛情、怒り、憎しみ、嫉妬、羨望。兄弟だからこそ生まれるそれら感情の全ては、彼らの心の中の一部分にしか過ぎないし、でも同時にその全てが確かに存在する感情でもある。人間の感情とは、本当に複雑なものなのだと思う。

兄弟として過ごして30年。事件をきっかけに、はじめて交錯する互いの本音。その過程で、彼らが表面的に築きあげてきた関係性は完全に崩壊してしまう。それはすごく悲しいことなのだけれど、でも僕は、それはそれでよかったのではないかと感じた。互いに心の底では思ってることがあるのに、それを隠して上っ面だけの関係を守っていたって、それは真に正しい関係とはいえない。思いっきり叫んで、思いっきり吐き出して、2人は改めて互いの存在の意味を感じることができたのではないだろうか。まぁ、その過程もまた本音と嘘が入り混じっているので、「ケンカして仲直り」なんて単純な世界ではないのだけれど。

一級品の人間ドラマに、サスペンスとしての味付けが巧みに加えてあるのがこの映画の憎いところ。「事件か?事故か?」「弟はその瞬間、何を見たのか?」そんなミステリー要素を入口に、上質な裁判劇としても実に見ごたえがある。兄弟の葛藤が、裁判という第三者によって暴かれていくのがまた哀しい。智恵子と猛の関係が検察によって語られた瞬間のあの哀しみといったら、僕はもう瞬きすら出来なかった。

若き女性監督、西川美和。これは恐るべき才能の登場だ。さっそくデビュー作の『蛇イチゴ』をチェックせねばならない。これが監督2作目とは、今後が楽しみな監督だ。

演出も脚本もパーフェクトだが、最も賞賛すべきはそのキャスティング能力かもしれない。オダギリジョーと香川照之。互いを思いっきり意識した演技合戦。これぞ、映画の醍醐味というものだ。互いの演技が互いの演技を引き出していると思うので、どちらが優れているとかそういうことは語るべきではないと思う。ということは百も承知で言うが、僕は香川照之という俳優の才能に鳥肌が立った。人間の心の怖さを、表情ひとつで、背中ひとつで、見事に表現してみせた。

ラストカットをどう見るか。これは観る人ひとりひとりに委ねられていると思うけれど、少なくとも僕には、確かな希望が感じられた。「あの橋を渡るまでは、兄弟でした。」というのはこの映画のコピーだけれど(とても秀逸なコピーだと思う)、僕は、「あの橋を渡ってはじめて、彼らは本当の兄弟になった。」という風に思うのだ。
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by inotti-department | 2006-07-24 20:57 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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