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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『ゲド戦記』 ~息子は父を殺せたか?~
『ゲド戦記』 ~息子は父を殺せたか?~_e0038935_13135134.jpg満足度 ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)

『ゲド戦記』(2006、日)
   監督 宮崎吾朗
   声の出演 岡田准一 手嶌葵

王である父親を殺して国を飛び出したエンラッドの王子・アレンは、ハイタカと名乗る大賢人と出会う。ハイタカは、世界の異変の原因を突き止めるための旅の途中だった。行動を共にすることになった2人は、ハイタカの古い友人・テナーのもとに身を寄せることに。テナーにはテルーという娘がいたが、彼女は、心に闇を持ち命を粗末にするアレンを毛嫌いし、心を開かない。一方その頃、ハイタカに恨みをもつ魔法使い・クモが、2人のもとに迫っていた・・・。


宮崎駿の息子が、ジブリでメガホンを取る。

観る前から「なんだかなぁ」という気持ちでいっぱいだったのだけれど、「せっかくだからお手並み拝見と行くか!」と劇場へ行ったら、いやぁ驚いた、超満員。たぶん、僕と同じ気持ちの人もいっぱいいたんじゃないかと思うけれど、理由はともあれ、大ヒットしていることには変わりはない。

ただ、「なんだかなぁ」という僕の気持ちは、結局劇場を出るときにも変わらなかった。「なんだかなぁ。つまんなかったなぁ。」そんな感じ。

『ゲド戦記』という物語は、ファンタジー・ファンの世界では、伝説的な超大作らしい。ジブリも映画化の権利を手にするのには、かなり苦労したとか。ただ、映画からは、その物語の面白さというものが、全く伝わってこなかった。

劇中、登場人物たちは、旅をつづけ、戦いをつづける。しかし、その旅の目的が見えてこない。戦いの理由が見えてこない。いや、目的や理由らしきものは、彼らの口からときどきセリフとなって語られてはいる。でも、それがアニメーションの中から、スクリーンの中から、少しも伝わってこないのだ。映画の中で描かれる世界にあまりにも魅力がないために、いくらストーリーが進んでも、心が躍らない。

でも、僕が最も残念だったのは、そんなことではない。せっかく宮崎駿の息子がメガホンを取るチャンスを掴んだのにもかかわらず、その映画が、”ハヤオ的世界”から全く脱却できていなかったこと。それが、すごく残念だったのだ。

ジブリの映画を観ると、いつも思う。どうしてみんな、”ハヤオ的映画”を撮ろうとするのか、と。その役割は、宮崎駿本人だけで十分だろう。世の中に、同じ役割の人間は2人はいらない。ましてや、それが息子なんだから、親父には逆立ちしても撮れないような意欲的な映画を作ってみんかい!と、僕は思ってしまうのだ。

冒頭、主人公のアレンが父親を刺し殺す。僕はそこに、宮崎吾朗という人間の覚悟を見た気がしたのだ。父親を倒して、自分だけの世界を表現するのだ、という覚悟を。でもそれは、どうやら間違いだったようだ。宮崎吾朗が作った世界は、父親が数十年かけて作り上げた世界の模倣でしかなかった。

この映画を、宮崎駿はどう見たのだろう?「よくやった」か「まだまだだな」か。いや、根っからのアニメ人である彼のことだ。おそらく息子に対しても、こんな風にしか思わなかったのではないか?

「おれの勝ちだ」と。
by inotti-department | 2006-08-07 14:00 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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