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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『ライフ・イズ・ミラクル』 ~笑って泣ける、素敵なヨーロッパ映画~
満足度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

ハリウッド映画とヨーロッパ映画のどっちが好きかって聞かれると、ちょっと困る。

「どちらにもそれぞれの良さがある」なんて国会みたいな答弁はしたくないのだけれど、本当にそうなのだから仕方ない。
ハリウッド=単純、ヨーロッパ=難解という分け方がよくされる。でも、これはちょっと違う。ハリウッドにも難解で不思議な映画はたくさんあるし、ヨーロッパにも単純明快で大味な映画もある。

それでも、その分け方、あながち的外れではない。ハリウッド映画が単純なものに感じられるのは、物語やテーマの単純さということではなく、ドラマ作りの文法に忠実な作品が多いからだと思う。導入部があって、登場人物の紹介があって、事件が起こり、人物たちが奔走し、物語はクライマックスへ。もちろんパターンはいろいろなのだけれど、どういう形であれ、とっても入りやすく、物語をつかみやすいのだ。ちょっとぐらい途中でトイレに行ったり、仕事のことを考えてボンヤリしても、話についていけなくなることはほとんどない(あまりオススメはしないが・・・)。

一方、ヨーロッパ映画には、不思議なものが多い。ハリウッド映画や、あるいは日本のマンガやテレビドラマを観るような感覚でいると、話がなかなかつかめなくて苦労することが多々ある。要するに、あまり観客に親切ではないのだ。人によっては、「ヨーロッパ映画はレベルが高い」と表現することもあるのは、そういうことなのだと思う。

この『ライフ・イズ・ミラクル』にも、同じことが当てはまる。

最初の1時間、物語はドタバタドタバタと揺れ動いて安定しない。登場人物が入り乱れ、顔と名前と関係性を覚えるのにもひと苦労。しかも、話がどこへ向かっているのか、全く見えてこない手探り感覚が長い時間つづく。このペースで2時間半やられたら、どうしよう・・・。一抹の不安を感じながら、私はスクリーンを見つめていた。

<以下の感想、ネタバレ含みます。未見の方は、ご注意ください>

ここで、簡単なあらすじ。
1992年、ボスニア。セルビア人鉄道技師のルカは、息子のミロシュ、妻のヤドランカとともにのどかに暮らしていた。内戦の本格化はすぐそこまで迫っているのだが、ルカには現実味が持てずにいた。しかし、戦争は、彼ら家族の生活にも容赦なく入りこんでくる。ミロシュに、軍隊への召集令状が届いたのだ。息子は戦地へと旅立ち、さらに妻はハンガリー人と駆け落ちして出て行ってしまう。ひとりぼっちになったルカのもとに、さらに衝撃の知らせが。ミロシュが敵の捕虜になってしまったという。取り乱すルカ。そんな彼のもとに、友人のトモがやって来る。彼は敵側であるムスリム人の女性を連れてきていた。そして、ルカに提案する。「彼女を捕虜にして、ミロシュと捕虜交換をしよう。そうすれば、ミロシュは戻ってくる」と。そして、ルカと捕虜女性サバーハの奇妙な同居生活がはじまった。ルカは、次第にサバーハを愛しはじめる。しかし、彼女は捕虜。息子を取り戻すには、彼女と別れなければならないのだが・・・。

こうやって字にしてみると、なんだかとっつきやすそうに思える。でも、最初の1時間の話の流れが、とても独特なのだ。これがハリウッド映画なら、ミロシュに令状が届くまでには30分もかかるまい。しかしこの映画、そこまでの長いこと長いこと。私は何の予備知識もなく観に行ったので、最初、この映画がどういう話なのかが全くつかめなかった。

そんな中で、面白いなと思ったのは、ルカの戦争との向き合い方。彼は、全然戦争を身近に感じていない。まるで他人事だし、戦争が始まろうとしていることにも気付かない。
でも、案外、市民にとっての戦争って、こんなものなのかもしれない。気が付いたら始まっていて、気が付いたら自分の大切な人が戦地に行っていた。「今日から戦争をはじめます!」っていうのも怖いけど、「気が付いたら・・・」っていうのは、もっと怖いような気がする。

さて、最初はバタバタする物語だが、ルカとサバーハが出会ってから、展開は急速にシンプルでわかりやすくなっていく。サバーハのことを愛し始めるルカ。しかし、彼女は、息子を取り戻すための捕虜。いずれは手放さなければならない。さらに、出て行った妻が突然戻ってくる。妻とサバーハのご対面という修羅場。そして、いよいよやってくるサバーハとの別れのとき・・・。

このあたりの展開は、文句なしに面白い!特に、妻とサバーハのご対面シーンは、最高に笑える。普遍的かつ王道のドタバタコメディが繰り広げられる。

しかし、忘れてはならないのは、この物語の舞台が1992年のボスニアであるということ。ドタバタコメディのバックでは、常に銃声や砲声が轟いている。そして、たくさんの命が失われている。ルカの息子も、捕虜として敵側に捕らえられているのだ。

それでも映画は、感傷的になることをあえて避ける。悲劇を悲劇として描くことは簡単だ。でも、人生には、面白くて愉快なことが、たくさん転がっているはず。監督のそういう気持ちが透けて見えて、笑えるんだけどちょっと切なくもある、なんだか不思議な気持ちになってしまった。

そして、この映画の真価が最も発揮されるのが、物語のクライマックス。ルカは、悩んだ末、敵側へ渡されるサバーハを追いかける。制止の手をかいくぐりながら。そしてあと1歩というところで、突然抱きとめられる。抱きとめたのは、解放された息子ミロシュ。ミロシュは、父親が自分を走って迎えてくれたと勘違いしたのだ。ルカは、遠ざかるサバーハを見つめながら、息子を抱き締める。そして、そんな父子を、妻のヤドランカは「ミロシュのためよ」と呟きながら、満足そうに見つめるのだった。

このシーンは本当に素晴らしい。私は、抱きあう父子の姿を見ながら大笑いしてしまった。サバーハのところに走りたい。でも、息子を放り出して走るわけにはいかない。そのルカの苦悩が手に取るようにわかって、すごくおかしかった。内戦という不条理に引き裂かれるルカとサバーハ。確かに悲劇なのだけれど、この映画は涙より笑いを優先した描き方をしている。それが、なにより心地よい。

そして、ラストシーン。サバーハと別れたルカは、自殺を図り、ぼんやりと線路に横たわる。やってくる列車。しかし、列車はルカの目前で止まる。線路にロバが立っていたために、列車が急停止したのだ。ロバに救われたルカは、再び生きる希望を取り戻し、映画は幕を閉じる。

このロバは、映画の冒頭からたびたび登場し、失恋の涙を流しながら線路に仁王立ちしている。全ては、このラストのための伏線だったのだ。失恋の涙を流す男が、失恋の涙を流すロバに命を救われる。この映画、最後の最後まで笑わせてくれる。そして、感動させてくれる。まさに、「ライフ・イズ・ミラクル」。

こんな奇跡があるのだから、人生捨てたもんじゃない。人間は、愚かで悲しい存在だけれど、それでも何度でもやり直せる。どんな声高な反戦スローガンよりも、そのメッセージはユーモアに溢れていて心に響く。

映画を観終わって、久しぶりにパンフレットを購入した。私は、基本的にパンフレットは買わないことにしている。パンフレット2冊買うお金があれば、映画の前売り券を1枚買えるのだから。それでもあえて買ったのは、映画の背景であるボスニア内戦のことを、少し勉強したいと思ったからだ。

そして、パンフレットを読んでいたら、もう1回映画を観たくなった。前半の、少し退屈にさせ感じられたドタバタ部分にこそ、ボスニアが内戦へと突入する経緯が実に丹念に描かれていたことを改めて知ったからだ。

サッカー場の乱闘騒動や、ミロシュら3人の友人たちがトンネルで遊ぶシーンに隠された本当の意味。私は恥ずかしながら、映画でそれを読み取ることはできなかった。

やっぱり、ヨーロッパ映画は難しい。
でも、もう1回観たくなるような、そんな味わい深さがある。
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by inotti-department | 2005-08-10 12:35 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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