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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『敬愛なるベートーヴェン』 ~圧巻の『第九』は必見!~
『敬愛なるベートーヴェン』 ~圧巻の『第九』は必見!~_e0038935_1292710.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

『敬愛なるベートーヴェン』(2006、英・洪)
   監督 アニエスカ・ホランド
   出演 エド・ハリス  ダイアン・クルーガー

1824年、ウィーン。音楽学校を首席で卒業したアンナは、大作曲家・ベートーヴェンのもとでコピースト(写譜家)として働くことに。最初は女性であるというだけでアンナを追い返そうとするベートーヴェンだが、その確かな才能と自分の音楽への理解の深さを知り、次第に信頼を寄せるようになる。そして、ついに『第九』が完成し、大公や著名作曲家を集めての初演会当日を迎えるが、耳の聴こえないベートーヴェンは本番を前に急に弱気になりはじめ・・・・。


ベートーヴェン映画に駄作なし!

そんな根拠のない思いが私の中にはあり、『敬愛なるベートーヴェン』を観てきました。あまり話題にもならないまま公開が終わってしまったので、観ていない方も多いかと思います。

もう10年以上前になるのでしょうか、『不滅の恋 ベートーヴェン』という映画を観たことがありました。おそらく、私はまだ中学生だったと思います(って、年がバレますね・・・)。もはや内容は全く覚えてないのですが、確かベートーヴェンが生涯の中でただひとり本当に愛した女性を探し求めるとか、そんな物語だったように記憶しています。そして、話の結末などもまた何も覚えちゃいないのですが、とにかく「面白い映画だった」ということだけはハッキリと記憶しています。

この『敬愛なるベートーヴェン』という映画も、話の切り口こそ違えど、ベートーヴェンの知られざる一面をフィクションと史実を交えて描いていくという意味ではよく似た映画だと思います。

ベートーヴェンという人は、生涯を独身のまま終えたようです。そして、聴力に障害をもっていたということもよく知られています。そんな謎に満ちた人物だからこそ、史実だけではわからない想像の許される部分を題材に、様々な映画が撮られているのかもしれません。

そして、僕はそんな映画が好きなんです。別にベートーヴェンだけではありません。歴史上に実際存在した人物を題材に、実際にそんなことがあったのかなかったのかはあまり気にせず、自由に物語を描く。そういうイマジネーションこそまさに、フィクションの醍醐味だと思うんです。

よく時代劇なんかがハチャメチャやってると、「史実と違う」とか「史実に忠実じゃない」と血相を変えて文句を言う人がいますが、僕はそういう人を見ると「おかしなことを言う人だなぁ」と思ってしまいます。だって、数百年前の出来事ですよ?「史実」って言ったって、所詮は文献に載っているとか、その程度の根拠です。誰もその頃は生きちゃいなかったんですから、「史実」もヘッタクレもあったものではありません。(ちなみに、「歴史=history」の語源は、「his story」なのだそうです。歴史とは、結局は「物語」(ストーリー)に他ならないんですよね)。

と、今回は「歴史論」のようになってしまいましたが、少しは映画の話題にも触れなくてはなりませんよね。『敬愛なるベートーヴェン』、とても面白い映画だと思います。物語の自由度は極めて高く、ほとんどのエピソードはフィクションだと思いますが、非常に力強さをもった映画です。

ベートーヴェンとアンナの2人のキャラクターが、とてもしっかり描けている点が素晴らしいと思います。恋人のような、母子のような、師弟のような、様々な側面をもった2人の関係性がとてもユニークなんですね。愛情・同情・憧憬・羨望・嫉妬などのいろんな感情が渦巻きながらも、2人の根底には揺るがない尊敬と信頼があります。それが、映画における2人のキャラクターの魅力をより深めています。

エド・ハリスとダイアン・クルーガーの2人の演技も、とても素晴らしいと思います。フィクションでありながらも、まるで実際にあった出来事のように思えてくるのも、2人の演技力ゆえなのでしょう。映画に説得力をもたらしています。

そして圧巻は、中盤の『第九』コンサート。映画の中のかなりの時間を割いてじっくり描いているこのコンサートシーンは、もはやストーリーとは関係のない感動を、観ている僕たちに与えてくれました。このシーンを観るためだけでも、1500円を払う価値は十分にあると思います。

もちろん、映画としての工夫があったからこその感動でもあるのですが、僕はそれ以上に、この感動は音楽そのものの力なのだろうな、と強く感じました。『第九』という曲がもつ、圧倒的なエネルギー。パワー。僕はしばらく、涙を止めることができませんでした。
by inotti-department | 2007-02-13 12:49 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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