> ご案内
当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
> 最新のトラックバック
welsh blacks
from welsh blacks
テラびしょびしょw
from お・な・に・ぃ
gilroy high ..
from gilroy high sc..
luniz videos
from luniz videos
mortgage loa..
from mortgage loan ..
elizabeth ar..
from elizabeth arde..
animator fro..
from animator from ..
負けても勝ち組w
from ドンパッチ
korean women..
from korean women n..
pcbyte
from pcbyte
> 『硫黄島からの手紙』 ~2本で1つの戦争映画~
e0038935_1033185.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆(8点)

『硫黄島からの手紙』(2006、米)
   監督 クリント・イーストウッド
   出演 渡辺謙 二宮和也 伊原剛志


1945年、硫黄島。アメリカ軍の上陸が迫る中、日本軍は戦力も消耗し疲弊しきっていた。そんな中、新しい司令官として栗林中尉が島に到着する。アメリカでの生活経験をもつ栗林は、欧米流の合理的な考え方の持ち主で、日本軍の古臭い習慣を次々に改革し斬新な戦略を導入する。そしてついに米軍との戦いが始まる。栗林は、「命を捨てるな」と、少しでも長く生き延びるように兵士たちに命じるが・・・。


米アカデミー賞にもノミネートされ、話題になっている作品です。昨年末に観たときには、体調が優れず何となく映画に集中できなかった感があったので、改めて劇場で観てきました。

もはや説明するまでもありませんが、この作品は『父親たちの星条旗』と対になっています。『父親』がアメリカ側からの視点で硫黄島の激戦を描いているのに対し、『硫黄島』は日本軍の視点から同じ戦いを違う角度で描いています。

個人的には、映画としてのクオリティは『父親』のほうが相当に上回っていると思います。僕は、結果的に『父親』と『硫黄島』を2回ずつ劇場で観ることになったわけですが、その思いは1回目も2回目も変わりません。切り口のユニークさ、物語の魅力、心に訴えかけるパワー、どれをとっても軍配は『父親』にあがります。

にもかかわらず、世間的にはこの『硫黄島からの手紙』のほうが、高い評価と話題を集めています。といっても、日本でそうなるのは当然です。キャストはオール日本人ですし、セリフも全て日本語なのですから。あのクリント・イーストウッドが日本人俳優を起用して映画を撮った!というだけでも、話題になって当たり前です。

しかし驚くべきは、アメリカでも『硫黄島』のほうが評価されているという事実です。アカデミー賞でも、『父親』が技術系の2部門ノミネートにとどまっているのに対し、『硫黄島』は作品賞・監督賞など主要4部門にノミネートされています。

おそらく予想するに、映画の主人公が日本人兵士で、セリフも全て日本語ということが、アメリカ人にとっては相当に新鮮なのだと思います。だからこそ、アメリカ人の観客にとって、心に残る映画になりえたのでしょう。

でも僕は日本人なので、その点に関しては特に何の感想も持ちません。1本の日本映画としてこの映画を観たとき、この作品は決してアンビリーバブルな映画ではないと思います。極めてシンプルで、王道の戦争映画という感じが僕にはしました。逆に、日本人の僕たちが観ても全く違和感を感じさせないパーフェクトな日本映画を作り上げたクリント・イーストウッドの才能には、「アンビリーバブル!」という言葉を掛ける以外ありませんが・・・。

この『硫黄島からの手紙』という作品を本当に理解するには、やはり『父親たちの星条旗』とセットでとらえるべきなのだと僕は思います。『硫黄島』の中で僕が最も印象に残ったシーンは、伊原剛志演じる西中佐が、捕虜として捕らえたアメリカ兵と交流を深めるところです。結局、この兵士は死んでしまうのですが、その遺体から見つかった英文の手紙を、西は和訳して日本兵たちに読み聞かせます。

そこに書かれていたのは、死んだ米兵の無事を願う母親の愛情溢れる言葉です。それを聞きながら、日本兵たちは、故郷で自分の帰りを待つ母親の顔を思い浮かべるのです。

戦争という”怪物”を前に苦しむのは、日本兵もアメリカ兵も、日本の家族もアメリカの家族も同じ。この硫黄島2部作の観賞を通じて浮かび上がってくるのは、そんな事実です。

『父親』の中で主人公たちを苦しめる日本兵は、残虐に命を狙ってくる化け物のように感じられます。『硫黄島』の中で主人公たちを苦しめるアメリカ兵は、残虐に命を狙ってくる化け物のように感じられます。でも結局、『父親』の中の化け物は『硫黄島』の主人公であり、『硫黄島』の中の化け物は『父親』の主人公なのです。

本当の化け物は、”戦争”そのものなのだと思います。

もしもその化け物を前に、僕たちが少しでも互いのことを想いあえたら。相手の国のことを、相手の兵士のことを、少しでも考えることができたなら。この2部作にこめられた願いは、そういうことなのだと思います。

その”戦争”というものを、少し角度を付けて捕らえたのが『父親』なのだとしたら、この『硫黄島』は”戦争そのもの”を描いています。欲を言えば、そのあまりの王道っぷりに、僕は少し物足りなさを覚えてしまうのですが。

今年のアカデミー賞ノミネート作品の顔触れを見る限り、この『硫黄島からの手紙』が最優秀作品賞を受賞する可能性は、十分にありそうです。でももしも、『硫黄島』がその栄誉を獲得することがあったとすれば、それは『父親たちの星条旗』というもうひとつの作品とあわせての受賞、ということなのだと思います。

そういう意味では、米アカデミー賞に『硫黄島』がノミネートされ、日本のキネマ旬報ベスト10で『父親』が第1位に輝いたというのは、とても素敵なことだと思います。アメリカ人の心の中に日本兵の苦しみが伝わり、日本人の心の中に米兵の苦しみが伝わる。こんな価値ある相互理解をもたらすパワーこそ、映画という文化の素晴らしさなのだと思います。
[PR]
by inotti-department | 2007-02-19 10:38 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
> フォロー中のブログ
> ファン
> ブログジャンル
> 画像一覧