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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『それでもボクはやってない』 ~どんなホラーよりも怖ろしい!~
e0038935_112533.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆(8点)

『それでもボクはやってない』(2007、日)
  監督 周防正行
  出演 加瀬亮 瀬戸朝香 役所広司

フリーターの徹平は、就職活動の面接会場へ向かう満員電車で、女子高生から痴漢に間違われ逮捕されてしまう。徹平はたまらず無実を主張するが、警察官は一向に聞き入れてくれず、長期にわたって身柄を拘束される羽目に。徹平の主張を信じてくれる人間は警察や検察にはおらず、徹平はついに起訴され、裁判で争うことになる。徹平を弁護を担当するのは、元裁判官のベテラン弁護士・荒川と、新米女性弁護士の須藤。徹平と2人の弁護士は、無実を証明するためにあらゆる反論を法廷でぶつけるが・・・。


すーーーごく楽しみにしていた映画で、本当は公開1週目ぐらいに観に行きたかったのですが、他の12月公開作品から優先的に観ていたもので、公開から1ヶ月たっての観賞となりました。

それほど拡大ロードショーをしていないので興行ランキングこそ5・6位ぐらいでくすぶっていますが、メディア等で非常に話題になっている映画です。この1ヶ月、何度「日本の裁判」特集をテレビで目にしたことか。とにかく、あまりにもしょっちゅう特集が組まれているので、映画を観る前からなんだかもう観たような気になってしまいました。

「本格裁判モノ」で、ひたすらリアルで、いつもの周防監督らしいコミカルな部分は全くない社会派作品。これが僕の事前に持っていた基礎知識だったのですが、なるほど、確かにそんな映画になっていると思います。

でも、その面白さ、興味深さについては、僕の想像のさらに上をいっていました。この映画、本当によくできていると思います。丹念な取材、綿密な調査の賜物なのでしょう。あるひとつの「痴漢冤罪事件」を題材に、日本の刑事裁判制度の矛盾を見事に浮き彫りにしています。

主人公は、どこにでもいるような普通の青年です。演じてる加瀬亮の芝居もこれまたナチュラルなので、ハッキリ言って全く特徴のないキャラクターと言えます。この青年がどういう人物で、どんな性格の持ち主なのか、といったことは映画の中では全く描かれません。

それこそが、周防監督の狙いだったのだと思います。どこにでもいる、色のついていない青年。誰もが、「もしも自分がこの立場だったら・・・」と考えずにはいられない、そんな大いに共感できる主人公です。この、何の罪も犯していないごくごく普通の青年が、被害者の証言というたったひとつの証拠をもとに、犯罪者のレッテルを問答無用に貼られていきます。

すごく怖いなぁと思います。でも、きっと、こういうことって実際しょっちゅう起こっているのでしょうね。裁判という制度だけの問題じゃないんでしょう。私たち国民ひとりひとりの責任もあるのだと思います。だって、私たちって、誰かが逮捕されただけで、いやそれどころかただ事情聴取をされたというだけで、もうその時点でその人のことを犯罪者扱いしてしまうじゃないですか。まだ、裁判で「有罪」と言われたわけでもないのに。

裁判って、よくよく考えると、本当に怖い制度ですよね。100%の真実を法廷で明らかにできることなんてほとんどないだろうに、何らかの結論を出さなくてはいけないのです。そして、その結論は、その人の人生を一生左右してしまいます。こんな怖ろしいことって、あるでしょうか。

ラストの主人公のナレーションが非常に興味深かったです。「結局、裁判で正しく人を裁けるのは、自分自身しかいない。自分が罪を犯したのか犯していないのかを知っているのは、自分しかいないのだから」というようなことを言うのです。

その通りかもしれません。そう言われると、今までそんなこと考えたこともなかったけれど、裁判官っていうのも辛い仕事ですよね。目の前の被告に対して判決を言い渡す。「有罪」あるいは、「無罪」。その判決が、その時点では確かな真実となるのだけれど、”本当の真実”は、目の前の被告のみが知っている。きっと、冤罪の場合、被告は心の中で裁判長のことをあざ笑っているのでしょうね。「コイツ、偉そうなこと言ってるけど、全部間違ってるよ」ってな感じで。

ひとつネタバレをすると、裁判の途中で、裁判長が交代します。これがある意味においてターニングポイントとなるのですが、おそらくこういう展開を映画の中にもってきたということは、こういうことが往々にして実際の裁判では起こっているということなのでしょう。そして、裁判長のキャラクター・思想ひとつで、判決は180度別のものになりかねない。映画は、そんな裁判の不思議を、極めてわかりやすく、そして皮肉たっぷりに教えてくれます。

この最初の裁判長は、無罪判決をよく出すことで有名な人なのですが、この人が映画の途中でとても面白いことを言います。「裁判官の仕事はただひとつ。無実の人間を有罪にしないことだけだ。だから、有罪であることに少しでも確信が持てなければ、迷わず無罪判決を出す」と。

この考え方が正しいのかどうかは、僕にはわかりません。この考え方だと、ひょっとすると、実際に罪を犯した多くの犯罪者を無罪として野放しにしてしまうことになるかもしれない。そんな気もします。でもきっと、裁判というものの危険性を考えると、それぐらいの慎重さはあってしかるべきなのかもしれないなぁと個人的には感じます。

にもかかわらず、映画の中のセリフによると、ほとんどの裁判官はよっぽどのことがない限りは無罪判決は出さないそうです。理由は2つ。裁判官の評価は裁判をいくつこなしたかで判断されるという事実。そして、無罪を言い渡すということは、警察や国を敵にまわすということだという事実。この2つです。

なんだかなぁ、と思います。でも、そりゃそうですよね。裁判官だって、人を裁いてはいるけれど、僕たちと同じ人間なのですから。人間とはえてして、自分に都合のいいことだけを考えて、行動や意思を決定していく生き物です。

話が長くなりました。結論だけ最後に述べるとすれば、この映画、本当に怖い映画です。「人が人を裁く」ということが、どれだけ無謀で、どれだけ不確実なことなのかということを、この映画は2時間かけて僕たちにしっかりと教えてくれます。裁判という強大なモンスターの前では、「それでもボクはやってない!」という真実の叫びになど、誰も耳を傾けてはくれないのです。

この映画の登場によって、少しでも日本の刑事裁判に良心が宿ることを、切に祈りたいと思います。そして、とりあえずそれまでの間、僕にでも出来る対策といえば、満員電車には出来るだけ乗らない、ということぐらいしかないような気がします。
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by inotti-department | 2007-02-22 01:47 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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