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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『宇宙戦争』 ~そのとき、あなたは戦う?逃げる?~
e0038935_152692.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

『宇宙戦争』(2005、米)
   監督 スティーブン・スピルバーグ
   出演 トム・クルーズ  ダコタ・ファニング

「え、6点?高すぎないか?」
そんな風に感じた方も多いのではないだろうか?

2005年夏、話題の超大作『宇宙戦争』。
スピルバーグ&トム・クルーズの大物コンビ、宇宙人襲来もの、と話題も多く、公開前の期待はかなり高かった。しかし、蓋を開けてみると、その評判はボロボロ。『スターウォーズ』との”夏の一騎打ち”は、『宇宙戦争』の惨敗となっている。

そんな映画を2回観にいった人はあまりいないだろうが、ここにひとりいる。
そう、私です(笑)

先に断っておくが、面白かったからもう1回観たのではない。面白くなかったから、また観に行ったのだ。

私は、もともとスピルバーグ映画が好きなのだ。ご都合主義的なストーリー展開だとか、娯楽色が強すぎて話に中身がないだとか、えせヒューマニズムだとかいろいろと陰口を叩かれてるスピルバーグだが、その全てをひっくるめて、私は彼の映画が好きだ。どんな材料でも、誰でも楽しめるような立派な娯楽作品に仕上げる手腕は凄いと思うし、えせヒューマニストと揶揄されるが、それでも彼の作品の持っているそういう甘さが、私にはとても心地よいのだ。

そのスピルバーグが、こんなつまらない映画を作った。そんなバカな。
そして私は、それを確かめるべく、もう1度劇場へと向かったのである。

さて、簡単なあらすじ。
別れた妻から息子ロビーと娘レイチェルを預かって週末を過ごすつもりだったレイ。しかし突然、空に激しい雷鳴が轟く。そして、雷に乗って空からやって来た異性人たちは、はるか昔から地球の奥深くに眠っていた”トライポッド”を操り、人類を次々殺しはじめる。レイは、子供たちを守るため、車を走らせ妻の待つボストンへ向かうのだが・・・。

ちなみに、1回目を観終えたとき、私の満足度は4点だった。
が、前半は悪くない。人々が恐怖に逃げ惑う映像はスリルと迫力満点だし、混乱して争いをはじめる愚かな人間たちという描き方も、ステレオタイプではあるが、より絶望感をあおる。

しかし、問題はそのあとだ。後半、話はどんどんおかしな方向へ進んでいく。

<以下の感想、ネタバレ含みます。未見の方はご注意ください>

突然、ロビーが2人のもとを離れて、異性人と戦うために前線へとひとり突っ込んでいく。そのあと、2人きりになった父娘は、謎の男に出会う。この男を演じるのはティム・ロビンス。当然、物語の展開上、重要な役どころを演じるのだろうと期待する。ところが、この男の存在がよくわからない。ピンとこない会話をレイと交わしていると、やがてそこにも異性人の魔の手が忍びより、そこでこの男の出番は終了。

彼は何のために登場したのだ?そして、なぜティム・ロビンス?頭の中に次々浮かんでくるクエスチョン・マーク。そして、物語は、特大クエスチョン・マークのクライマックスへ。

世間で失笑されているのは、結局終わり方の問題だろう。宇宙人VS人間という図式の映画に、さしたるストーリーなど、もともと誰も期待しちゃいない。となれば、あとは、いかにカタルシスを感じさせてくれるか。圧倒的な力で侵略する宇宙人。なす術もなく立ち尽くす人類。さあ、人間たちよ、どうやって奴らに立ち向かう?その知恵と勇気とサスペンスに興奮させてくれれば、この手の映画は成功なのだ。

『宇宙戦争』には、それがない。レイがボストンに着くと、あれだけ猛威をふるっていたトライポッドが急におとなしくなっている。彼らは枯れてしまったのだ。何があったのか。理由もわらかないまま、レイは妻の家へ。すると、そこには妻とロビーの姿が。再会を喜びあう家族。そして、ナレーターの口から告げられるオチ。異性人たちは、地球の空気を吸って枯れてしまったのだ。地球上に住む無数の微生物。奴らを倒したのは、人類の知恵ではなく、地球の力だったのだ!

ポカーーン。そして、エンドロール。観客、失笑。こうして、『宇宙戦争』は駄作のレッテルを貼られてしまったのである。

1回目に観たときは、私も同じ感想を抱いた。私が期待していたのも、スリルに満ち溢れた戦いと、その中で生まれる家族の絆だった。しかし、その期待は見事に裏切られた。

しかし2回目、もう少し冷静に観てみたら、いろいろな発見があった。そして、スピルバーグが描きたかったことが、なんとなく見えてきたのだ。

この映画が「9.11」を意識していることは、まず間違いないと思う。瓦礫の中を頭を真っ白にして走るトム・クルーズの映像は、あの日実際にNYで起こったことそのものだ。スピルバーグは、そういう危機に対するひとつの答えを提示した。それは、「逃げる」ということ。

主人公のレイは、全く戦おうとしない。ひたすら逃げる。彼が考えたのは、ひとつだけ。愛する家族を守ること。それさえ叶うならば、人類の未来など二の次。これが、従来のこの手の映画と決定的に違う点だ。今までの主人公たちは、家族を、そして地球を守るために、武器を取って敵に立ち向かうのが常だった。この映画の中でも、ロビーや、ロビンスが演じた謎の男は、逃げてばかりのレイを批判して敵へ向かっていく。しかし、レイは、そんな彼らを必死で止めようとするのだ。

このメッセージは、とても面白いと思う。暴力に暴力で立ち向かっても、何も生まれない。かえって絶望が広がるだけだ。私たちに出来ることは、戦わないこと。大きなことは考えず、目の前の大切な人のことだけを考えればよい。この考え方には、私は大賛成だ。

そしてラストのオチの根底にあるのも同じ考え方だ。人類の知恵(ここには戦争や暴力も、当然含まれている)なんかよりもずっと偉大な、地球そのものの力。戦いなどやめて、地球に敬意を払おう。それが、スピルバーグの言いたかったことなのではないだろうか。

このメッセージは素晴らしいと思う。いまのアメリカでこういう映画が作られたと思うと、なんだか希望さえ感じる。にもかかわらず、私の満足度が6点までしか上がらなかったのは、やはりこの映画には欠点が多すぎるから。

こうやって考えると、話のテーマは案外地味なのだ。しかし、それでも派手な映画を作らなければならないスピルバーグの宿命。そもそも、その組み合わせに、最初から無理があったのだと思う。逃げ続ける映画に、カタルシスなど求めるのが無茶というもの。後半の混乱した展開をみると、スピルバーグ自身も、消化不良のまま映画を作ってしまったではないかとさえ感じる。

息子ロビーの中途半端な描き方にも、スピルバーグの混乱が見てとれる。ロビーは後半、「逃げるレイ」に対するアンチテーゼ的な存在として使われる。しかし、ロビーが戦うシーンが登場するわけではない。その後、ロビーが画面に現れるのは、ラストシーンだけ。レイが妻の家に着くと、そこにロビーがいるのだ。抱き合う父子。この、家族再会の感動シーン。スピルバーグが最も得意とする”泣かせ”のハイライト的場面だ。しかし、泣けない。感動がない。

それも全て、ロビーが先に書いたような使われ方をしてしまったせいだ。「家族の再生」と「戦争との向き合い方」、2つのテーマをロビーに背負わせるのは無茶だろう。「戦争との向き合い方」に絞るのならば、ロビーは死んでしまうべきなのだ(過激な言い方だが)。逃げたレイが生き残り、戦ったロビーが命を落とす皮肉。そこから浮かびあがる”不戦”のメッセージ。逆に、「家族の再生」に絞るのならば、ロビーはレイのもとを離れるべきではなかったのだ。

どんなテーマでも娯楽作品にすることを求められるスピルバーグの宿命。今まではそれを難なくやってのけた彼だが、今回は失敗に終わった。
それだけ、「9.11」というものは、アメリカにとって重い重いものなのかもしれない。
巨匠の腕を、かくも鈍らせるほどに。
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by inotti-department | 2005-08-16 11:33 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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