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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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> 『マラソン』 ~素晴らしき直球勝負!泣けます!~
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満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『マラソン』(2005、韓)
   監督 チョン・ユンチョル
   出演 チョ・スンウ  キム・ミスク  イ・ギヨン 



難病ものとか障害者ものって、とかく風当たりが強くなりがち。
「安易に泣かせようとするな!」とか、「障害者=純粋なんて決めつけるな!」とか、いろいろと言われてしまう。

確かに一時、ウンザリするほど難病ものが乱立した時期があった。そして、「もういいだろ~」の声が大きくなりはじめると、やがてそういう作品の数は減少しはじめた。

そんな中、お隣の韓国から、1本の映画が届けられた。
『マラソン』。主人公が抱えるのは、自閉症。

それは、ビックリするほど直球で、そして見事なほどに感動的な作品だった。
そして、その作品が描こうとしたのは、「症状」ではなく「家族」だった。

さて、まずは簡単なあらすじ。
チョウォンは、マラソンとシマウマとチョコパイが大好きな20歳。自閉症のために他者とうまくコミュニケーションがとれないが、母親の愛情に支えられ、心優しい青年に育った。母親は、チョウォンをフルマラソンに挑戦させようと、コーチを雇って特訓させる。コーチとの信頼関係を築き、次第に親離れしはじめるチョウォンを、母親は複雑な思いで見守る。一方、チョウォンの弟は、兄にかかりっきりの母親に不満を抱き、非行へと走りはじめていた・・・。

<以下、ネタバレ含みます。未見の方は、くれぐれもご注意ください。>

もう一度言う。
この映画は、難病ものでも障害者ものでも断じてない。
これは、まぎれもなく家族の物語だ。

そして、この作品の主役は、チョウォンではないと僕は感じた。
この物語の主人公は、彼の母親だ。

母親の苦悩に関する描写が、深みがあって本当に素晴らしい。
息子に対する愛情の深さに感動させられるのはもちろんだが、何が素晴らしいって、彼女の心の陰の部分を丁寧に、そして正直に描いていることだ。

最初、母は強引なまでに、チョウォンにマラソンの練習を課す。そのために、コーチのもとに彼を預ける。しかし、コーチと息子の距離が縮まりはじめると、次第に母の態度が変わりはじめる。酒びたりで言葉遣いも汚いコーチを罵倒し、彼をクビにして、息子を自分のもとに取り戻す。

この時点で、観客はコーチのユニークなキャラクターに魅了されはじめているので、母親のこの行動には少し疑問を感じてしまう。さらに彼女は、兄の陰に隠れて放置されてきた弟の孤独に気付いてやれない。映画の中で絶対的な正義だった彼女の姿は、この時点で消滅してしまう。

でも、よく考えてみよう。いったい誰が、彼女を責められるというのか。彼女がどれだけの覚悟をもって、彼を育ててきたか。彼女のあるセリフが、痛々しいほどにグサリと、僕の心に響いてきた。
「私の願いは、チョウォンより1日長く生きること。そのために、100歳まで生きなくちゃ」

私が死んだら、一体誰がチョウォンの面倒をみてくれるというのか。彼女の抱える、あまりにも大きな苦悩。しかし、そんな彼女に対して、コーチはこんなことを指摘する。
「チョウォンがいなくちゃ生きていけないのは、あなたのほうだ」

そうなのだ。チョウォンが親離れできていないとの同様、母親もまた、子離れができていないのだ。いつまでも、彼女がチョウォンの面倒をみつづけられるわけではないのに。

疲れはてた彼女は、ふとした拍子に、彼の手を放してしまう。迷子になるチョウォン。彼は、駅のホームで、ボコボコに殴られていた。息子を抱き締める母。そんな彼女に、チョウォンは言う。
「子供のころ、お母さんが手を放したから、僕は迷子になった」
これを聞きながら、彼女は胃痛で気を失ってしまう。

この日を境に、母は決意する。もう、絶対に手を放すまい。もう、マラソンなどやらせまい。
この瞬間、チョウォンの自立への道は、完全に閉ざされてしまう。
かに思えた。

しかし、違った。チョウォンは、自ら決断した。彼は、周囲の反対を振り切り、そして母の手を自ら振りきり、マラソンのスタートを切る。

このマラソンシーンが、ユニークで素晴らしい。
チョウォンが走っていると、やがて、そのバックの景色が変わる。彼が走るのは、いつも母と買物に行くスーパーであり、彼が迷子になったホームであり、そして大好きなシマウマが走る草原なのだ。そして、彼は手を伸ばし、沿道の人々とタッチをかわす。そこには、彼をボコボコにした男もいる。

このシーンは、チョウォンがついに他者と、そして社会と向き合いはじめたことを象徴している。彼の手は、いつだって母親と繋がっていた。でも、この瞬間、彼の手は、社会と触れ合うのだ。
この描写は、見事のひとこと。僕は、このシーンで震えが止まらなくなり、涙が出てきた。

そして、ゴール。彼を迎える、母と弟。肩をよせあい、彼らはこう語り合う。
「家に帰ろう」

何度でも言う。これは、家族の物語だ。彼が自閉症であるとかどうとか、そんなことはあまり重要なことではない。この物語は、誰にでもあてはまり、訴えかける普遍性をもっている。子が親のもとを離れ、親が子の手を放す瞬間は、どんな家族にも共通して訪れる。

しかし、大切なのは、それでも僕らが帰る場所は「家」なのだということだ。手を放すことを、恐れてはいけない。だって、僕たちにはいつだって「家」があるのだから。何も不安がることはないのだ。

エンドクレジット、もうひとつこの映画はサプライズを用意していた。なんと、このチョウォンには、モデルがいるのだという。実際に、フルマラソンを3時間以内で走った青年の物語が、この映画のベースになっているそうだ。

そう、これはやはり、特別な障害を描いた物語では決してない。
現実の、直球勝負の、素晴らしき家族の物語なのだ。
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by inotti-department | 2005-09-08 23:52 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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