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> 『SHINOBI』 ~”外見”はよいが、”中身”がちょっと・・・。~
『SHINOBI』 ~”外見”はよいが、”中身”がちょっと・・・。~_e0038935_14372551.jpg
満足度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)

『SHINOBI』(2005、日)
   監督 下山天
   出演 仲間由紀恵  オダギリジョー  椎名桔平


ひとつの用事がおわり、次の用事までにポッカリ空いた3時間のフリータイム。
そんなとき、あなたならどうやって、時間をつぶしますか?

僕の場合、そんなときはまず情報誌を立ち読みして、映画の時間をチェックする。
それで、時間の合うものがあったら、「いっちゃえ~!」という感じで、劇場へ突っ込んでいく。

こういう話をすると、「君は本当に映画が好きなんだね」と人から言われる。
「たいして観たくもない映画観て、1300円もったいなくない?」とも。

でも、僕の経験上、案外そういうときにこそ掘り出し物の映画と出会えたりするのだ。

さて、昨日、僕はまた劇場へと突っ込んでいった。
『SHINOBI』。
さほど観たいわけではなかったが、運命の出会いが待っているかもしれない、と期待して。

簡単なあらすじ。
1614年。長くつづいた戦国の世は終わり、平和な世の中が訪れた。そんな中、ぽつんと残された2つの里、伊賀と甲賀。そこには、妖しい力をもち、戦うことしか生きる術をもたない”忍”たちが暮らしていた。伊賀の朧と甲賀の弦之介は、引き寄せられるように出会い、許されぬ恋に落ちる。しかし、”忍”の力を警戒する徳川家康は、伊賀と甲賀の代表5名ずつによる戦いを命じる。
対立しあう互いの”忍”たちは、決着の機会の実現を喜ぶが、朧と弦之介は混乱する。そして、家康の真の狙いは、伊賀と甲賀それぞれの里を総攻撃することにあった・・・。


結論から言うと、僕が期待したような運命の出会いは、そこにはなかった。残念ながら。

この映画には、決定的に何かが欠けている。
ひとことでいうなら、それは”中身”だ。
って、それを言ったらおしまいなのだけれど(笑)

この映画を観終えて、僕の中に残った印象は、「あ、形から入ったんだな」というものだ。
映像には、たしかにこだわりが感じられる。それは、すごく良いことだ。

そう、この映画は、すごく美しい。
キャスティングしかり、映像しかり、音楽しかり。

僕は、『HERO』という映画を思い出した。
そう、あれも、とびっきり美しい映画であった。
ん、っていうか、パクリといってもいいぐらい、『SHINOBI』は『HERO』をかなり意識しているのかもしれない。

でも、『SHINOBI』には、哲学が感じられないのだ。ただ美しいだけで。
まず「こういう映像を撮りたい」という”形”から入ってしまったのではないだろうか。
「こういうことを描きたい」という”中身”が、全然伝わってこないのだ。

全ての描写が中途半端。
朧と弦之介の禁断の愛っていっても、2人がどれだけ愛しあっているのかが、全然描かれていない。だから、最後の2人の悲しき戦いが、盛り上がらない。2人が一緒に画面におさまる時間がすごく短いのが、物足りない。これじゃあ、人気スターだけにスケジュールの調整がつかなかったんじゃないか?と勘繰りたくもなる。

他の8名の”忍”も中途半端。それぞれが、個性的な術をもっていて、主張や考え方もひとりひとり違う。でも、そういうものがしっかり描かれる前に、みんな死んでしまう。椎名桔平しかり黒谷友香しかり、もっと面白くなりそうなキャラクターだったのに。すごくもったいない。

結局、何が言いたかったのだろう。
悲劇的な恋愛を描けていたわけでもないし、歴史の陰に隠されたもうひとつの真実を伝えようとしたわけでもないだろう(少なくとも、リアリティは意識してないだろうし)。

やっぱり、形が大事だったんだろうなぁ。ワイヤーアクションや特殊映像を用いた、スリリングな活劇シーン。それが全て。

でも、仲間由起恵はすごく良かった。表情の芝居が、素晴らしかった。”忍”の妖しげな魅力を、見事に表現できていたと思う。

それに、映像に重きを置いただけのことはあって、その点はなかなか見ごたえあり。
日本映画でこういうものって意外になかったから、そこはすごく評価されていいと思う。
こういうエンタテインメント性溢れる大作映画が、もっともっと日本にはあっていい。

でも、”中身”もなくちゃダメだけどね(笑)。
by inotti-department | 2005-09-18 10:13 | cinema
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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