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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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カテゴリ:cinema ( 85 )
『博士の愛した数式』~こんな授業があったらいいな~
e0038935_11545276.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

『博士の愛した数式』(2006、日)
   監督 小泉堯史
   出演 寺尾聰  深津絵里  吉岡秀隆


数学教師のルート先生は、新学期最初の授業で自己紹介をする。そこで語られたのは、自分と数学との出会い、彼が「ルート」と呼ばれるようになった理由、そして彼が”博士”と一緒に過ごした日々について・・・。ルートが10歳のとき、母親が家政婦として”博士”の家に通うようになった。博士は、事故の後遺症で、記憶が80分しかもたなかった。ある日、家政婦に10歳の息子がいることを知った博士は、息子も一緒に家に連れてくるように彼女に命じる・・・。


小川洋子のベストセラー小説の映画化。

なかなか良く出来ているのではないだろうか。決して派手さのあるストーリーではないし、同時期公開の『THE有頂天ホテル』と比べると、いかにも話題性に欠ける。でも、地味ながらもロングヒットを続けているのは、この映画がもっているやさしい雰囲気に多くの人が共感したということなんだと思う。それは、原作に関しても全く同じだろう。

ひょっとすると、原作を未読の方の中には、大ベストセラーの映画化ということで大きな期待とともに劇場へ足を運んだ人も多かったかもしれない。そして、「あれ?ずいぶん地味な話だな。原作とは違うのかな?」などと感じたかもしれない。でも、ご安心ください(笑)。原作もこんな感じです。無理に盛り上げず、感動を押し付けようともしない、そういうナチュラルな物語なのだ。

『博士の愛した数式』の最大の魅力は、数学というとっつきにくい題材を扱いながら、立派なエンタテインメントとして成立しているところだと思う。ルート先生の授業、博士の授業。キャラクターたちの数学・数字への愛情が画面いっぱいに溢れていて、それがそのまま観ているこちらにまで伝わってくる。それが、何よりも素晴らしい。

これは、「数学(算数)なんて嫌い!」と思っている子供たちにこそ観てほしい映画かもしれない。僕も決して子供の頃、数学を好きだった人間ではないけれど、この映画の中で語られる数学や数字の話は、もっとずっと聞いてみたいと思った。「子供の頃、こういう授業を受けていれば、いまごろきっと・・・」というのは、ただの言い訳(笑)。

僕が原作を読んで感じた魅力も、これと全く同じだった。そういう意味では、小泉監督が感じたことも同じだったのだろう。数学・数字の魅力をしっかりと映画を通じて伝える。そのことを念頭に作品を作り上げたということが、映画を観ているとよくわかる。例えば、大人になったルート先生の授業を軸に物語を進行させる手法などは、その象徴。これは原作にはない映画オリジナルのシーンだが、結果的には大成功だったと思う。

一方で、僕が原作の中で好きだったシーンがいくつか省略されていたのは少し残念だった。特に、物語の中盤から終盤にかけて、物語を盛り上げる工夫がこの映画には欠けている。映画全体に一貫している”やさしい空気感”が魅力とはいえ、もっと心揺さぶられるような印象的なシーンやエピソードがあってもよかったのかな、と思わなくもない。

俳優陣の中では、大人になったルートを演じた吉岡秀隆が、短い出番ながらも好演。寺尾聰もさすがに上手いが、僕がイメージしていた”博士”像とは少し違った。
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by inotti-department | 2006-03-18 12:15 | cinema
『ブロークバック・マウンテン』 ~驚くほどシンプルな、素晴らしきラブストーリー~
e0038935_22593916.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8点)

『ブロークバック・マウンテン』(2005、米)
   監督 アン・リー
   出演 ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール

1963年、ブロークバック・マウンテン。山でテントを張りつつ羊の世話をする仕事に従事することになったジャックは、そこでイニスという男と出会う。寡黙なイニスと、無邪気なジャック。最初はウマが合わない2人だが、過酷な環境で共に過ごすうち、次第に友情が芽生えはじめる。そして、凍えるほど寒い夜、2人はテントの中で愛を交わす。しかし、互いへの熱い想いを胸に抱えたまま、冬の訪れとともに2人は山を下りる。その後、互いに結婚し家庭を持つが、あの夏のブロークバック・マウンテンでのときめきは、2人の中で消えることはなかった・・・。


今年度のアカデミー賞。作品賞の大本命と言われながら、『クラッシュ』に賞をさらわれてしまった問題作『ブロークバック・マウンテン』。

この映画の何が”問題作”なのかというと、そのテーマ。少し雑な言い方をするけれど、要は「ホモ映画」なのだ。男と男の、禁断の愛。一説によると、保守的なアカデミー会員にとって「同性愛」は受け入れがたいテーマであり、そのあたりが原因で作品賞を逃したのでは、という見方もある。

で、僕の感想。いったい、この映画のどぉーーーこが”問題作”なのさ!全然、何の問題もないよ。何にも過激じゃない。教育に悪いなんてことも全くないし、別に衝撃的なシーンがガンガン続くような映画でもない。もしもこの映画が”問題作”だとみなされたのならば、僕にはアカデミー会員という人たちが全く理解できない。

これは、ラブストーリーだ。驚くほどシンプルで、驚くほどピュアで、そして驚くほど切ない、とっても魅力的なラブストーリーなのだ。この映画の中で描かれる全ての感情が、僕には手にとるように理解できたし、心から共感できた。とても素晴らしい映画だと思う。

「同性愛」というものがなぜ存在するのか、僕にはよくわからない。僕は同性の誰かに対して、女性を好きになるのと同じような感情を抱いたことは1度もないし、おそらく今後もないと思う。でも、この映画を観て、わかったことがある。それは、異性を好きになるのも、同性を好きになるのも、きっかけは同じようなものだろうということ。

たまたま、なんだろうと思う。気が付いたら、自分は同性に対してドキドキを感じる人間になっていた。あるいは、そういう人間なんだと気付いた。それだけのことなんだろうと思う。映画の中のジャックとイニスも同じ。気が付いたら、相手を好きになっていた。気が付いたら、抱き合っていた。「男&男」だろうが「男&女」だろうが、恋愛の始まり方にはなんら変わりがない。

そんな2人を、ブロークバック・マウンテンの雄大な景色が、やさしくやさしく包み込む。美しい。もう何も言葉の必要がないぐらい、ただただ美しい。ホント、いいタイトルだよなぁ。2人の美しい愛の象徴、それがあの美しい景色なのだ。

しかし、一方で、世間は山のようにやさしく2人の愛を受け入れてはくれない。「同性愛」に対する、圧倒的な偏見。嫌悪感。特に、1960年代・70年代というこの映画の時代は、今以上にその風潮は強かっただろう。

そして、愛を素直に受け入れられないのは、何も世間だけじゃない。当の本人たち、ジャックとイニスも同じ。2人も、自分の中に存在する”許されない感情”に戸惑い、悩み、葛藤する。「男&男」と「男&女」の恋愛の唯一にして最大の違いは、その点だろう。愛する2人が、その想いを貫くことさえ、困難になってしまうのだ。

また、苦しむのは何も本人たちだけじゃない。周囲の近しい人たち。彼らもまた、それぞれに葛藤する。イニスの妻。ジャックの妻。イニスの娘。ジャックの両親。スタンスはそれぞれに違うが、彼らもまた葛藤と戦い、思い悩む。

イニスのキャラクターがすごく良い。物静かでクールな男。一見、「ジャックはイニスが大好きだけど、イニスは果たして?」と疑いそうになるほど、彼は気持ちをなかなか表に出さない。その彼が、ジャックと山で別れたあと、激しく号泣する。このシーンの、なんと美しく切ないことか。この瞬間、イニスがどれだけジャックを愛しているかということがはじめて映画の中で明らかになる。

中盤の複雑な感情の揺れにも、そのあまりの切なさに激しく心揺さぶられる。妻との離婚。それでも、彼はジャックのもとに飛び込むことができない。世間と自分とのバランス、娘の存在、そして幼い日に目撃した、同性愛者の殺害現場・・・。

2人の愛に、ハッピーエンディングは訪れるのか?映画の後半には、誰もが願うようになるだろう、2人の幸せを。観客をそういう気持ちにすることが出来た時点で、この映画が「傑作」になることは約束された。

今年のアカデミー賞。『クラッシュ』もたしかに良い映画だ。作品の完成度だけ取るならば、確かに『クラッシュ』に分があるだろう。

でも、個人的な思いを言うならば。『ブロークバック・マウンテン』に、切なくも美しい2人の男性の愛の物語に、それは与えられるべきだったと僕は思っている。

<以下、終盤のネタバレ含みます。未見の方、これから観られる方はご注意ください。>

しかし、2人の幸せを祈りつつも、僕は心のどこかで覚悟していた。2人の愛に、切ない結末が待っているのであろうことを。そして、あっけなく、前触れもないままに訪れる悲劇。悲しんだり、泣いたりする時間さえ与えられない。あまりにも突然の悲劇。

理由はまだいいのだ。そこまでは、まだ。問題は、それが発覚するに至った、その相手。それが、”ジャックとイニス”ではなかったということ。その事実が、もう感情のやり場がないほどに、あまりにも切ない。

そして、ラストシーン。
うまく言えないけれど、これはこれでハッピーエンドなのかもしれないなって、僕はそんな風に感じた。あの瞬間、やっと2人は、全ての制約から解放されて一緒になれたのだから。
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by inotti-department | 2006-03-15 23:49 | cinema
『僕のニューヨークライフ』~ウディ作品はいつも安心~
e0038935_2274174.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)
『僕のニューヨークライフ』(2003、米・英・仏・蘭)
  監督 ウディ・アレン
  出演 ジェイソン・ビッグス ウディ・アレン 
      クリスティナ・リッチ

NYで暮らす駆け出しのコメディライター・ジェリー。彼には、アマンダという同棲中の恋人がいた。奔放な性格のアマンダに振り回されっぱなしのジェリーだが、彼女のことを心底愛していた。しかし、ここ半年、アマンダは彼とのセックスに応じてくれない。ジェリーは、コメディ作家の先輩ドーベルに相談するが、風変わりな性格のドーベルは「彼女は絶対に浮気している」と断言し、一緒にカリフォルニアへ引っ越そうと提案してくるが・・・。


コメディ界の大御所、ウディ・アレン監督の待望の最新作。

まぁ、マンネリというか、なんというか、「これぞ、ウディ・アレン映画!」と言わんばかりのキーワードのオンパレード。ニューヨーク、セックス、精神科医、コメディ作家、ブラックジョーク、ジャズ・・・。

この人が作る映画っていうのは、良くも悪くも似たような雰囲気のものになる。だから、この映画も、「ウディ・アレンいいよね」って人には十分面白いと思うし、「ウディ・アレンは嫌い。わからん」という人には全然楽しめないと思う。まぁ、毎度のことだから、改めて言うこともないんだけれど(笑)。

僕は、もちろん前者。何が好きって、やっぱりあの彼の映画だけが持ってる独特の世界観なんだよね。例えば、冒頭のクレジットの出し方。例えば、バックで流れるジャズのBGM。例えば、時々イヤになるぐらい延々と喋りつづけられるジョーク混じりの会話。要するに、とってもオシャレなのです、僕にとってこの人の映画は(といっても、”新しい”という意味では全くなく。どちらかといえば、あの”クラシック”な感じがオシャレというか)。

この『僕のニューヨークライフ』に関しては、ストーリーや設定のアイデアに特別なユニークさは感じられない。物語だけを追うならば、過去に彼が作ってきた映画群の焼き直しでしかないと思う。その点は、時々こちらが驚嘆してしまうようなユニークなプロットを考えつくウディ・アレンを愛する僕としては、今回はちょっと残念。

<以下、ちょっとだけ終盤の展開のネタバレします。未見の方は、ご注意ください。>

その中で、興味深かったのは、後半の展開。主人公ジェリーがNYを出る、という展開は少し意外といえば意外だったかも。

ウディ・アレンといえば、NY。なんだかんだ言われながらも、彼自身も製作の拠点はずっとNYに置いてきた。その彼の分身とも言える主人公を、NYとバイバイさせるとは。そこで思い出されるのが、2005年製作の『マッチ・ポイント』(今年のゴールデングローブで作品賞にノミネートされるなど、非常に欧米での評価が高い作品。日本では、秋に公開とのこと。)から、彼が製作の拠点をロンドンへ移した、という話。

何か思うところがあったんだろうなー。ひょっとして、彼自身もさすがにマンネリを感じはじめていて、もう1度新しいテイストの映画を作りたいと思いはじめたのかな。もしかすると、そういう彼の想いが、主人公の行動、あるいはドーベルのアドバイスには反映されているのかもしれない。「自分やドーベルとは違う道を、ジェリーには歩ませたい」なんてね。

何はともあれ、相変わらずのウディ節は居心地サイコー。
これからも、オシャレで楽しい映画を作りつづけてほしいものです。
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by inotti-department | 2006-03-11 22:43 | cinema
『クラッシュ』 ~誠実で精巧な”アカデミー賞受賞作”~
e0038935_2147036.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『クラッシュ』(2005、米)
   監督 ポール・ハギス
   出演 サンドラ・ブロック ドン・チードル


夜のLAで起こった1つの交通事故。そこから出てきたのは、黒人刑事ルイスの死体。同じく黒人刑事のグラハムは、捜査に乗り出す。一方その頃、同じLAの様々な場所で、様々な人たちがそれぞれの葛藤と戦っていた。雑貨屋を営むペルシャ人は、イラク人と間違われてテロリスト扱いを受ける。裕福な黒人夫婦は、人種差別主義者の白人刑事から辱めを受ける。若き黒人2人組に車を奪われた夫婦は、家にまで強盗がやってくるのではないかと怯える。それぞれの想いを胸に、彼らは同じ夜を超えていく・・・。


今年度のアカデミー作品賞、受賞作は『クラッシュ』に決まりました!

前評判では、『ブロークバック・マウンテン』が大本命と言われてたので、ビックリした映画ファンも多かったかもしれない。といっても、今年の候補作は日本未公開のものも多かったし、日本人の僕たちにとっては、予想のしようもなかったのだけれど。

ということで、アカデミー賞が発表された翌日、さっそく『クラッシュ』を観てきました!昨年、アメリカで最も評価された映画、その出来栄えはどんなもんざんしょ。お手並み拝見ってな気持ちで劇場へ行ったら、いたいた、同じこと考えてる同類の仲間たちが(笑)。夜8時50分からのレイトショーだってのに、席は半分以上埋まっていたから驚き。相変わらず、日本人は賞に弱い。もちろん、自分も含めて(笑)。

感想。
うんうん、さすがによく出来てます。すごく誠実に作られているし、最後までスキがない構成は見事のひとこと。しかも、後半へ進むに従って映画がどんどん面白くなっていく。とっても、いい映画だと思う。

何が素晴らしいって、やっぱりひとりひとりの人物描写。いろんな登場人物が出てきて、ひとりあたりの持ち時間はすごく限られてるんだけれど、誰ひとりとして”いいかげん”に扱われていない。とても誠実に、丁寧に、全ての人物を映画の中にしっかりと存在させている。

しかも、みんなすごくリアルな人間なのだ。人間って、「この人は善人で、あの人は悪人」なんて単純なものじゃないはずなんだけど、どうしてもフィクションの世界だとステレオタイプな人物設定になりがち。でも、この映画の登場人物たちはそうじゃない。善人かと思ってた人が思いもかけない行動に出たり、その逆もまたしかり。だから、ひとりひとりが抱えている痛みや葛藤が、すごくヒリヒリと観ているこっちに伝わってくるのだ。そういう誠実さこそ、この映画の最も素晴らしいところだと思う。

それにしても、人種差別というのは、すごく難しい問題だ。ましてやアメリカという国には、世界中のありとあらゆる人種が集結している。この『クラッシュ』という映画は、アメリカが抱える闇の部分を、改めて真剣に取り上げて問題提起してみせている。

差別っていうのは、もう人間の性(さが)みたいなものなのかもしれない。って、こんなこと書いたら怒られるかもしれないけれど、そういう面って誰しもが多かれ少なかれ持っているんじゃないかな。例えば、道を歩いていて怖そうな顔したお兄さんが歩いてきたら、なんとなく目をそらしてしまう。例えば、デパートで奇声を発している人がいたら、なんとなくジロジロ見たり舌打ちしたりしてしまう。こういう行動だって、言ってみればひとつの差別みたいなものだと思うのだ。

この映画の中でも、たびたびそういう人間の一面が描かれる。病的なまでに黒人を嫌悪する女性。ペルシャ人を見ただけでテロリスト扱いする人。黒人の女性に権力を振りかざして嫌がらせする白人刑事。自分が黒人だということを誇りに思えず、白人に対して弱腰になってしまう男。などなど。

『クラッシュ』は、そうしたひとつひとつのエピソードに、ほとんど感情を挟まない。クールに、シビアに、一定の距離を置きつつ、エピソードを積み重ねていく。しかし、そうしたエピソードの繰り返しが、やがて大きなエネルギーを持ちはじめる。そのエネルギーが少しずつ解き放たれるとき、無関係に見えた様々な断片が、わずかずつではあるが絡まりはじめるのだ。見事な構成。しかも、その絡ませ方が、すごく自然で、全くいやらしくないのだ。

と、これだけ褒めておいてなんなんだけど、僕はそこまでこの映画が大好きなわけではない。少なくとも、2005年にアメリカで作られた全ての映画の中で、この映画が最も優れた作品だとは僕は思わない。スミマセンね、褒めたりけなしたり落ち着きがなくて(笑)。

うまく言えないんだけど、前半のエピソードの積み重ね方が、個人的にはあまり好きではなかったのだ。「差別」「差別」のオンパレードが、しつこいというかクドいというか。そりゃあリアルな実態を見せるというのはわかるけど、その時間を使って、もっと映画として何かを仕掛けることはできなかっただろうか?何かを訴えることはできなかっただろうか?要求が高すぎるかもしれないけれど、やっぱりアカデミー賞の作品賞を取るような映画には、僕はプラスアルファを求めてしまうのだ。

とはいえ、すごく誠実に、精巧に作られた良作だと思います。
暗い映画だし、辛くなるシーンも少なくないけれど、最後にはほのかな希望も見えてくる。そういう優しさや温かさが少しでも感じられたことが、僕には何よりもうれしかった。
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by inotti-department | 2006-03-08 22:40 | cinema
『ミュンヘン』 ~悲しみの連鎖を断ち切ろう~
e0038935_123488.jpg
満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『ミュンヘン』(2005、米)
   監督 スティーブン・スピルバーグ
   出演 エリック・バナ  ダニエル・クレイグ


1972年。ミュンヘン五輪の選手村で、イスラエル選手団の11名が虐殺される。犯行は、パレスチナのテロリスト集団”黒い九月”によるもの。イスラエル政府は、彼らへの報復を決断。イスラエル情報機関”モサド”は、即座に暗殺者チームを結成。犯行に関与した11名をリストアップし、彼ら全員の暗殺を命じる。チームのリーダーに抜擢されたのは、アヴナー。妊娠7ヶ月の妻との連絡も断ち切り、彼は任務を遂行しようとするが・・・。


巨匠スピルバーグ、渾身の力作。

僕は、個人的には”社会派スピルバーグ”より”娯楽派スピルバーグ”の方が好きなんだけど、そうはいってもこの映画はやはりスゴイ。面白いとか楽しいとか、そういう言葉を使う気にはなれないようなヘヴィーな作品なんだけれども、さすがにガツンと力作を完成させたなぁという印象。

重い。なんにせよ、重い。何がって、これは実際に30年ほど前に起こった出来事なのだ。決して、映画の中だけのフィクションではない。そして、9.11に象徴されるように、世界は今も当時と変わらない悲しみを背負いつづけている。スピルバーグは、30年前の事件を描くことで、同時に現在の状況の深刻さを改めて観客に提示してみせたのだ。

徹底的にリアリズムを追及した、緊迫感溢れる映像表現が圧巻。その暗殺シーンの残酷さは、目を背けたくなるほど。でも、背けちゃいけないのだ。この世界を覆っているひとつの確実な断片を、僕たちはきちんと受け止め、反省しなければならない。シビアな映像は、僕たちにそう語りかけてくる。

一方で、ただのドキュメンタリーにはなっていないところが、スピルバーグのスゴイところ。エンタテインメントもクソもないような悲劇を題材にしながらも、きちんと映画として、物語として成立させるそのテクニック。お得意の”お涙ちょうだい的ヒューマニズム”こそ今回は最小限に抑えているが、主人公5人の葛藤の物語には、十分な見ごたえがある。

そして同時に、サスペンス・スリラーとしての面白さもきちんと盛り込んでいるところが心憎い。誰が敵で誰が味方なのか、もう何も信じられなくなる疑心暗鬼の状況。そして、1人また1人と仲間も命を落としていく。相手を狙いながらも自分もまた狙われる、スリリングな戦い。ただただ残酷なリアリズム映画で2時間40分はちとキツイが、物語にしっかり起伏があるから、時間の長さを感じさせない。とりわけ、主人公が狂気スレスレのところまで追い詰められていく終盤の展開には、瞬きすら許されないような圧倒的な緊張感がある。

と、ここまで褒めちぎっておいて「じゃあ、なんで☆7つ止まりなのよ!?」ってツッコまれると、正直自分でも理由はよくわからない(笑)。ただ、なんだろう、グイグイと引き込まれながらも、心が激しく揺さぶられるというところまでは達しなかったのだ。頭でグルグル考えさせられはしたけれど、心の深いところまでは届かなかった、というか。うーん、うまく言えんけど・・・。

結局、本音を言えば、僕には理解できなかったのだ、彼ら5人の気持ちが。あるいは、アヴナーの想いが。イスラエルの国民が11人殺された。その悲しみ、やりきれなさまではわかる。でも、そのあと、よくわからないままに政府から報復の実行を命じられ、それを忠実に遂行していく気持ち。

いや、確かに葛藤していたよ。苦悩していたよ。でも、なんで彼じゃなくちゃいけなかったのか?「仕方ないんだ、国のためだから。」そういう理論がまかり通ってしまう宗教対立・民族対立の理不尽な側面を、説得力ある形で僕ら日本人に提示するところまでは、この映画は達せなかったという気がするのだ。

おそらく僕の考えでは、こんなもんじゃないんだと思う。ユダヤ人、あるいはパレスチナ人の国や宗教に対する想いって、この映画の主人公たち程度の表現・描写じゃ足りないんだと思う。たとえスピルバーグにユダヤの血が入ってようが、やっぱり、この映画は「アメリカで作られた中東映画」という枠を超えるまでには至らなかったんじゃないかなって。

ただ、逆に言えば、この映画がアメリカで作られたということに意味があるとも言える。「9.11」の悲劇。そこに繋がる背景の物語。あの日起きたことは、ただ、アメリカだけが被害者だったという単純なことではなかったのだ。

映画のラストシーン、カメラはNYの摩天楼を映し出す。
僕の頭の中に浮かんだのは、あの日、ビルに突っ込んでいった飛行機の映像・・・。

NYの情景をラストカットに持ってくるスピルバーグの勇気と意志。
悲しみの連鎖を断ち切ろう。そんな、無言のメッセージ。
やっぱり、スゴイ監督だなって、そう思った。
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by inotti-department | 2006-02-22 02:04 | cinema
『オリバー・ツイスト』 ~物語らしい物語~
e0038935_2395997.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)

『オリバー・ツイスト』(2005、英)
   監督 ロマン・ポランスキー
   出演 バーニー・クラーク 
       ベン・キングスレー

19世紀、イギリス。孤児として養育院で育てられたオリバーは、9歳になり救貧院に戻ってくる。しかし、食事のときにおかわりを要求したことから、追放されてしまう。身を寄せることになった葬儀屋を営む家でも、イジメを受けるオリバー。家を飛び出したオリバーは、7日間かけてロンドンに到着する。疲れはてて路上にうずくまっているところをドジャーという少年に声をかけられ、フェイギンという老人のもとで暮らすことに。しかし、フェイギンは、町を騒がすスリ集団のボスだった・・・。


ベッドの枕元で、母親が子供に物語を読んで聞かせる。
そんな風景って、今もまだ存在してるのだろうか?

この『オリバー・ツイスト』という映画、まさにそんな昔懐かしい風景にピッタリの物語。オリバー少年が遭遇する、切なくて悲しくて、でもちょっと心温まる数奇な体験談。枕元でお母さんから読んでもらえたら、きっと子供たちは寝る間も惜しんでお話に夢中になってしまうだろう。

紙に描かれた町の景色の絵が、やがて映像に変わるオープニング。オリバー少年の物語は、ここから始まる。この冒頭でもラストでも流れるテーマ曲、オリジナルかどうかは知らないが、すごく耳に残る。言うなれば、ドラクエのテーマ曲みたいな感じ(笑)。「冒険がはじまる!」って感じで、胸が高鳴る。

前半が、すごく良い出来栄え。オリバーに襲い掛かる過酷な試練の嵐。葬儀屋のオヤジなんか、実はけっこういい人なんだけどね。奥さんと息子(この2人が、もう最悪にムカツクのだ!)の圧力に屈して、不本意ながらもオリバーにムチでお仕置きをする。あーー、かわいそうなオリバー。でも、そんな不幸にも負けずに純粋さを失わないオリバーの姿が、とってもチャーミングで応援したくなるのだ。

ロンドンに着いてからの、”早業”ドジャーとの印象的な出会い。ここもすごく良い。そして、フェイギンの登場。いかがわしくて気味悪いんだけど、不思議な魅力もある老人。ある意味ファンタジックなこのキャラクターの登場で、ますます映画は”物語”らしさを強めていく。

ここから、オリバーのスリ修行がスタート。素直なオリバーは、何でも吸収して、メキメキ力をつけていく。フェイギンもすっかり気に入って、彼をかわいがる。そしてついに、外へ出て実戦へ。ここまでの物語の流れは、ほぼ100点満点。

ただ。正直な感想としては、ここから先、もうひとつ話が弾まなかったなぁという印象。いや、いろんな登場人物が出てきて、オリバーが運命に翻弄されていくストーリーは、とても劇的ではあるのだけれど。うん、ハラハラもしたし、まずまず楽しめたのも間違いない。でも、なんだろう、僕が観たかった物語とは、ちょっと違ったのだ。なんというか、ハッキリ言ってしまえば、物足りなかった。。。

家に帰る電車の中でも、ずっと考えてた。なにが物足りなかったのかなぁ、って。それで、気付いた。そう、僕が観たかったのは、オリバーと”少年たち”の物語だったのだ。でも、映画の視点は、オリバーを取り巻く”大人たち”へとシフトしていった。それが、なんだかイヤだったのだ。

映画の前半は、完全に”オリバーから見た世界”だった。だから、映像も物語も、すごくイキイキとしていたのだ。でも、後半は、オリバーの存在感が薄くなり、大人たちの交錯する思惑を追いかけるような展開になっていく。まぁ、それはそれで面白いのだけれど、なんだか物語から勢いのようなものが消えてしまった気がしたのだ。ビル、あんたのせいだよ(笑)。

ひょっとしたら、それは監督の狙いだったのかもしれないけれど。汚い大人たちの世界を描き、その中を生き抜いていくオリバーの姿を映しだすことで、ラストの感動を誘う。でも、それにしては、ちょっとオリバーはじめ子供たちの描き方が、後半は不足していたかなという気がする。終盤、ビルにドジャーが反抗するシーンは、この映画の中で僕が一番好きなシーンなんだけど、ああいうカタルシスを感じさせるようなシーンがもっとたくさんあって良かったと思う。というか、この物語には、後半のカタルシスが著しく足りない。だから、案外盛り上がらないのだ。

でも、ラストの哀しくも味わい深いクライマックスは、あれはあれで好き。まさに、”物語”そのもの、という感じで。そんな中で、オリバーが示すやさしさ。真っ直ぐな想い。素晴らしい。ホント、あんたはいい子やね、オリバー(涙)。

そう、結局オリバーは、一回もウソをつかなかったし、誰も裏切ったりもしなかったんだよね。ただ、周りの大人たちが、疑心暗鬼になって右往左往していただけ。最後の最後まで、素直な気持ちを表現しつづけたオリバーのひたむきな姿に、ちょっぴり胸が熱くなった。
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by inotti-department | 2006-02-21 03:32 | cinema
『プライドと偏見』 ~知的で、繊細で、上品で、そして面白い!~
e0038935_22561361.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8点)

『プライドと偏見』(2005、英)
    監督 ジョー・ライト
    出演 キーラ・ナイトレイ  
        マシュー・マクファディン

18世紀末、イギリスの田舎町。ベネット夫人の専らの関心は、5人の娘を良家に嫁にやること。ベネット家には男がいないため、主人が亡くなると、娘たちは路頭に迷ってしまうからだ。そんな中、町に大富豪のビングリーが越してくる。長女のジェーンとビングリーが親しくなり、夫人も大喜び。一方、次女のエリザベスは、ビングリーの親友ダーシーの高慢な態度がどうにも気に入らない。最初は反発しあうエリザベスとダーシーだったが、やがて彼女はダーシーの意外な一面に気付きはじめて・・・。


面白い!とても良いです、この映画!

イギリス貴族社会、舞踏会、身分違いの恋。観る前は、なんとなくとっつきにくそうな映画かなぁって思ってたんだけど、映画が始まったら、あらビックリ。確かにクラシカルな話なんだけど、すごく普遍的で、そして適度にコミカルなラブストーリーで、とにかく面白いのなんのって!

これはもう、恋愛ものの教科書のような映画。ストーリーの運びも、キャラクター設定も、古風ではあるものの現代に置き換えても十分に通用する普遍性がある。「いるいる、こういう人!」「わかるわかる、その気持ち!」多くの人が共感できる、そんな映画だと思う。

キャラクターがとっても素晴らしい。まず、主人公のエリザベス。この人、育った環境は決して恵まれてないんだけど、すごく聡明で賢い女性。言ってることはひとつひとつ筋が通ってるし、家族想いで友達想いなところにもとても好感がもてる。ジュディ・デンチ演じるキャサリン夫人との対決なんて、もう最高!僕は心の中で大拍手を送っていた。

脚本の巧みさももちろんなんだけど、エリザベスの魅力に関しては、演じたキーラ・ナイトレイによるところも大だと思う。この女優さん、マトモに観たのは初めて(『パイレーツ・オブ・カリビアン』、実はまだ未見でして・・・。)だったんだけど、すごく魅力的。顔もキレイだし、独特の華というかオーラも持ちあわせているし。勝気で、頭が良くて、でも恋に関しては人一倍ピュアな面ももつこのエリザベスという役を、完全に自分のモノにしていたと思う。

お姉ちゃんのジェーンも良かった!エリザベスとは180度違うタイプの女性なんだけど、この人もまた魅力的。内気で奥手なんだけど、真面目で純粋で心優しい女性。このジェーンとエリザベスの姉妹が、お互いの良さを全て理解しあったうえで愛し合っているのも、すごく好感がもてた。いい姉妹だなぁって。演じているロザムンド・パイクという女優さん、この人もまた初めてだったけど、今後人気出そうな感じ。

そして、オヤジ!ドナルド・サザーランド!あんた、最高だよ(笑)。最初は、奥さんのパワーに圧倒されてるだけのダメオヤジかと思いきや、このお父さんができた人なのだ。エリザベスがコリンズ(こいつが最悪な男なんだけど、いろいろと笑わせてくれる愉快な男)に求婚されて困ってたところに、あのお父さんのセリフ!いやぁ、あんた、最高だよ(笑)。ラストも良かったしね。ホント、娘想いな、素晴らしいお父さんなのだ。また、演じるサザーランドがウマイこと!

ひとつ間違うとただの昼メロみたいな話(まぁ、そういう起伏に富んだストーリー展開こそ、この映画の魅力のひとつなのだが。)になるところだが、この映画には”品”がある。長まわしを効果的に用いた映像も丁寧で美しいし、衣装やセットにもすごく神経が行き届いているし。セリフもいいんだよねぇ。エリザベスとダーシーの、ユーモラスでウィットに富んだやりとり。このへんは、文芸大国イギリスならでは、といったところか。

ちょっとしたプライドと、ちょっとした誤解。恋愛って、たいがいそういうものが原因でダメになったりするけど、でも、それを乗り越えるのもちょっとした歩み寄りだったりする。ウジウジウダウダ悩んだあとで、最後は素直にぶつかっちゃえば、案外あっさりうまくいったりするものなのだろう。まぁ、うまくいかないパターンも多いけどね(汗)。

いっぱい笑って、いっぱいイライラして、そして最後はハッピーな気持ちに。
とても面白い、恋愛映画の誕生です!
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by inotti-department | 2006-02-20 23:41 | cinema
『歓びを歌にのせて』 ~傑作!忘れられないハーモニー~
e0038935_23352266.jpg満足度 ★★★★★★★★★☆(9点)

『歓びを歌にのせて』(2004、スウェーデン)
   監督 ケイ・ポラック
   出演 ミカエル・ニュクビスト

今日は映画を2本観ようと思ってたんだけど、1本で帰ってきちゃいました。
なんで?って、『歓びを歌にのせて』の余韻にしばらく浸っていたかったから。

人生ではじめてのスウェーデン映画。
僕にとっては、永遠に忘れられない、素晴らしく感動的な傑作であった。

さて、あらすじ。
8年先のスケジュールまでビッシリ埋まっている、人気天才指揮者・ダニエル。しかし、ある日のコンサートでステージ上で倒れてしまう。原因は、心臓発作。ボロボロの身体を癒すため、ダニエルは第一線を退き、7歳のときに離れた故郷で暮らすことに。音楽から離れて静かに暮らすつもりだったダニエルだが、村に着くと、聖歌隊の指導を依頼される。天才的な音楽家と、アマチュア集団。最初は双方かみ合わないが、ダニエルの自由な練習法に、次第にメンバーたちは歌う歓びに目覚めていく・・・・。

「スウェーデンで国民的大ヒット」というコピーがホントかウソかは知らんが、これは確かにスゴイ映画!「文部科学省選定」かどうかはどうでもいいが、これは確かにケチのつけようのない傑作!

天才的な音楽家が、田舎で素人を教えているうちに、音楽の歓びと愛することの素晴らしさに気付いていく物語。こうやって言ってしまうと、まぁよくあるパターンの話だし、決して真新しい設定ではないのだけれど、何はともあれとっても魅力的な映画なのだ。

「みんな、それぞれ自分だけの”音”を持っている。」
繰り返し繰り返しメンバーにそう説いていくダニエル。そして、自分の”音”に気付いたメンバーたちは、同時に自分だけの”人生”をも探しはじめる。心を解き放って歌うことの歓びを知った彼らは、それぞれの私生活における壁を突き破って、人生の歓びも同時に見出していくのだ。その過程は、痛々しくもあるのだけれど、同時にすごく感動的で、素晴らしい。

ダニエルとの出会いによって、村人たちの人生は変わった。しかし、一方で、ダニエル自身は?「心を解き放て」と教えるダニエル自身が、実は一番心を閉ざしてしまっているのだ。音楽のことだけを考えて生きてきたダニエルは、気が付いたら、人を愛せない男になってしまっていた。

そんなダニエルに、愛することの素晴らしさを教えるのは、レナ(彼女がとってもキュート!)をはじめとする村人たち。互いが影響を与え合って、音楽のもとにひとつになっていく。印象的なエピソードを積み重ねつつその過程を丁寧に綴っていく脚本と演出には、いささかのスキもない。

メンバーたちの関係の描き方も、すごくウマイ。一見すごく仲が良さそうに見えて、みんなけっこう腹の中では本音を隠してる。その本音が、「心を解き放て!」というダニエルの教えのもとに、ポコポコと表に出てきてしまうのだ。それによって亀裂も生じるのだけれど、その数分後には結束が深まってるのが面白い。なるほど、思うがままに生きるってのは、確かにとても大切なことかもしれない。

そして何といっても感動的なのは、やはりその”歌”。劇中でガブリエルが披露する歌の、まぁ素晴らしいこと。”生きる”ということを歌った詩も素晴らしいし、美しいメロディもいまだに心に焼き付いて離れない。ちなみに、このガブリエルを演じた女性は、スウェーデンの国民的人気歌手だとか。そうだよね、どうりでただの素人コーラス隊にしてはウマイと思った(笑)。

<以下、ラストシーンに言及します。未見の方は、ご注意下さい。>

聖歌隊は、人数を増やしつつ、コンクールを目指しはじめる。最後は、ステージで素晴らしい歌声を響かせ、感動の大団円かな?しかし!映画は、そんな安直な予想しかできなかった僕をあざ笑うかのような、意外なクライマックスを用意していた。

ご覧になった皆さん、いかがでしたか?
気持ちよく大量の涙を流したかった人にとっては、ひょっとしたらあまり歓迎できない終わり方だったかもしれない。でも、僕にとっては、すごく好きな終わり方でした。

ステージ上で”自分だけの声”を響かせあうメンバーたち。その声は、やがて観客全員にまで拡大していく。ただただ幸せに包まれるような結末ではなかったけれど、誰が何と言おうと、まぎれもなく”ハッピーエンド”だったと思うのだ。
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by inotti-department | 2006-02-14 00:20 | cinema
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 ~動き出した物語~
e0038935_2149571.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005、米)
   監督 マイク・ニューウェル
   出演 ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン

クィディッチのW杯を観戦していたハリーらの前に、ヴォルデモート復活を告げる”闇の印”が現れた。さらにハリーは、ヴォルデモートがしもべに”ハリー抹殺”を命じている悪夢に悩まされる。こうして迎えた新学期、ホグワーツの校長ダンブルドアは「三大魔法学校対抗試合」開催を宣言。三校の代表1人ずつを選ぶのは、”炎のゴブレット”。しかし、3人を選んだあと、ゴブレットはもうひとりの代表の名前を掲示する。そこに書かれていたのは、ハリーの名前。17歳以下は代表になれないという規則を破っての異例の出場が決まったハリーだが、周囲のやっかみにあい、さらに親友のロンまでもが距離を置き始め・・・。


”ハリー・ポッター”シリーズもいよいよ4作目。

たしか全7作で完結と言われてるはずだから、ちょうどこの『炎のゴブレット』で折り返しとなるわけだ。ふむふむ、確かに、いよいよ物語が本格的に動き始めたという印象。まぁ、別に”ハリポタ”フリークじゃないし、そんなにものすごくその後の展開が気になってるわけじゃないんだけど(笑)。

原作に関しては、僕は2巻目の『秘密の部屋』までしか読んでない。1本目の『賢者の石』は、映画を観たとき「あ、すごくよくできてる!」と思った記憶がある。原作のエッセンスをそのままに、映画のもつ良さを最大限にいかして映像化できているな、と感心したのだ。一方、2本目の『秘密の部屋』は、話にスピード感がなくて映画版はちょっとしんどかった。

3本目の『アズカバンの囚人』とこの4本目『炎のゴブレット』に関しては、僕には原作との比較はできない。さてさて、原作を読んだ方、いかがでしたか?おそらく想像するに、かなりのパートがカットされていたのではないかと思いますが(笑)。

『アズカバン』のときも思ったんだけど、なんか、食い足りない感じが残るんだよなぁ。表面上、物語は普通に進んでいくし、特に疑問や引っ掛かりが残るわけではない。でも、逆にそれが物足りないというか・・・。たぶん、1つ1つのエピソードを深くじっくり描くことは避け、大事な本筋だけは原作通りきっちり描いていくというスタイルをとっているんじゃないかな?だからだろう、コンパクトにまとまってはいるんだけど、「だからどうしたの?」というような印象が拭えないのだ。

とはいえ、映像的魅力は健在だし、さすがに4作目になるとキャラクターもしっかり”立って”くるから、安心して観ていられる。ハリーとロンとハーマイオニーの3人が絡んでいるシーンなんかが続くと、そのままずっと観ていたくなるような、なんというか愛着のようなものが自分の中に生まれていることに気付かされる。もうくされ縁みたいなもんだね(笑)。こうなったら、完結までとことん付き合うぞ!

さぁ、いよいよ登場したヴォルデモート。次の第5弾からは、本格的な対決が始まるんだろうなぁ。この『炎のゴブレット』は、その序曲のようなものなのだろう。

それにしても。3人とも、大きくなっちゃったよね。はやく撮り終えないと、完結する頃には老けはじめかねないぞ(笑)。
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by inotti-department | 2006-02-09 22:20 | cinema
『運命じゃない人』 ~2005年日本映画で最高の脚本!
e0038935_1381651.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆(8点)

『運命じゃない人』(2005、日)
   監督 内田けんじ
   出演 中村靖日 霧島れいか 板谷由夏

恋人のあゆみが家を出て行ってしまって半年。いまだに失恋の傷から抜け出せない宮田だが、親友の神田のナンパがきっかけで、真紀という女性と出会う。真紀もまた、婚約者と別れ、深い悲しみの中にいた。帰る場所のない真紀を、宮田は自宅へ連れ帰る。するとそこに突然、置きっ放しだった荷物を取りにあゆみがやってくる。一方、探偵の神田は、あゆみの正体が結婚詐欺師だという事実をつきとめていた。そして、あゆみが現在の恋人であるヤクザの組長・浅井から2000万円を奪って神田のところにやってきたことから、浅井から命を狙われる羽目に。宮田、真紀、神田、あゆみ、浅井。5人の思惑と偶然が複雑にからみあい、事態は予想もつかない方向に・・・。

いやぁ、一生の不覚でした!

なにがって、この映画を劇場で観そこねたこと。この映画の存在を噂で聞きつけたときには、すでに劇場公開が終わってしまっていて、もう首を長~くしてDVD登場を待っておりやした。

ついにDVDで観ましたよー!ひゃぁ、ビックリした!ホントに面白いんだもん!

映像なんかはいたってシンプルで、それこそCGなんか全く使ってないし、おそらくかなり低予算で作られた映画だと思う。それがどうしてこんなに面白いのよって、そりゃあやっぱり脚本の力。よくできたストーリーさえあれば、映画はどうにでも面白く作れる!久しぶりに唸らされました。

ある夜に5人の男女が体験する、不思議な物語。どうってことのない同じ出来事も、5人それぞれの視点からみると、全然違う意味や思惑が含まれている。映画は、時間軸や視点をうまく操りながら、少しずつ物語のカラクリを解き明かしていく。

まさに、巧妙に練られた設計図、という感じ。同じシーンがいろんな人の視点から繰り返し描かれるんだけど、「あ、このとき、実はあの人はあそこにいたんだ!」というのが次々と発覚する展開は、とってもユニーク。それでいて、少しも無理がないし全く破綻もないのは、スゴイのひとこと。

脚本と監督を担当したのは、内田けんじさん。これが長編デビュー作だという。またひとり、日本映画界に新たな才能の誕生ですね。次にどんな面白い映画を作ってくれるのか、これはもう要注目。

キャストも渋めなんだけれど、とってもいいバランスだったと思う。というか、こういう話は、スターが出ていないほうが絶対いい。宮田とか真紀の役なんか、絶世の美男美女にやられちゃったら、ハッキリ言って良さが半減しただろう。それでいて、あゆみや浅井など、脇のキーパーソンには演技力の確かな俳優をしっかり起用している。板谷由夏と山下規介は、特に光っていたと思う。キャスティングのセンスもベリーグッド。

終わり方もよかった。ヘンに盛り上げすぎず、「あ、こういう終わり方なんだ」っていうほのぼのした感じで。あの2000万円の今後の行方とか考えると、本当は手放しでハッピーエンドってわけじゃないんだけれど、そんなことはよいのです。最後、一度エンドロールが巻き戻されて(これもまたユニーク!)からのエピローグ、この映画の締めくくりにはあれだけで十分。ていうか、最後に出てきた男の人、「あれ、これ誰だっけ?」って最初思い出せなかった(笑)。それだけ、ものすごく充実した1時間40分だったってことなんだろうな。

あ、そうそう。この映画を観て「大好き!」って思った方、もしよかったらぜひ、伊坂幸太郎という人が書いた『ラッシュライフ』という小説(新潮文庫から文庫化されてます)を読んでみてください。同じような匂いをもった、同じく最高によくできた物語ですので。きっと、気に入られるかと思います。
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by inotti-department | 2006-02-09 13:47 | cinema
   
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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