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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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カテゴリ:cinema ( 85 )
『キング・コング』 ~B級だけど、一級品!~
e0038935_21193050.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

『キング・コング』(2005、米)
   監督 ピーター・ジャクソン
   出演 ナオミ・ワッツ ジャック・ブラック
       エイドリアン・ブロディ

1933年、NY。支援を打ち切られて追い詰められた映画プロデューサーのカールは、起死回生の策として、未開の島を舞台にした冒険映画製作を企てる。ちょうどその頃、売れない女優アンもまた、劇場の閉鎖によって失業状態に陥っていた。デナムは、街で見かけたアンの美しさに一目ぼれし、彼女を主演女優にスカウトする。こうして、デナムとアン、そして劇作家のジャックを乗せ、船は航海をスタートする。しかし、目的地の島には、伝説の怪物”キング・コング”が待ち受けていた・・・。


あっぱれ、あっぱれ、B級モンスター映画!

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを見事に完結させたピーター・ジャクソンが次に選んだ企画は、往年のハリウッド大作『キング・コング』のリメイク。もともと、映画好きの少年がそのまま大きくなったような人だから、きっと念願だったんだろうなぁ。『ロード』で大成功を収めたことによって、ついに本当の夢も叶えた、おそらくそんなとこだろう。

まず第一の感想。長い!3時間8分。長すぎ(笑)。ケツが痛くなるっつーの。
なんでそんなに長尺になっちゃったかっていうと、観てるとわかるんだけど、この映画がまるで『ロード』を彷彿とさせるようなキレイな3部構成になっているから。

苦しい状況を打破するためにリスキーな航海に出て、島に上陸する第1部。
その島での、様々な怪物、そしてコングとの遭遇を描く第2部。
捕えたキング・コングが、NYで大暴れする第3部。

それぞれのパートが、だいたい1時間ずつ。
第1部は、正直ダレぎみ(笑)。まぁ、壮大な冒険の前フリとしては必要不可欠なんだけど、正直ちょっとアクビが。はやく本題に入ってよーー!って、思ってしまいやした。

第2部は、超B級テイスト(笑)。わけわからんキモチワルイ化け物どもが次々出てきて、どんどん仲間が死んでいく。事態は深刻なんだけどついつい笑っちゃうあたりが、B級のB級たるゆえん。この映画、楽しめるか脱落しちゃうかは、ここが分かれ目でしょう!ここで気持ちが離れちゃった人は、島パートの後半あたりから次第に描かれはじめるキング・コングとアンの”異形のラブ・ストーリー”なんか、全然ピンとこなかったに違いない。

僕は、どうにかギリギリ踏みとどまることができた。正直、島に着いてからも延々同じようなことやってるから、ちょっと飽きそうになったんだけど。でも、キング・コングとアンが一緒に島の景色を眺めるあのシーンで、完全に気持ちが戻りました!あそこは、美しいシーンだったなぁ。

で、第3部。ラストの1時間は、まさに怒涛のクライマックス。まさに、1秒たりともスクリーンから目が離せない、最高のエンタテインメント!そういえば、『ロード・オブ・ザ・リング』も、ダントツで第3部が面白かったんだよなー。この監督、とにかく物語の盛り上げ方が実にウマイ!

キング・コングがNYの摩天楼で大暴れするっていうだけで十分に魅力的なんだけど、僕が一番好きだったのは、コングとアンが氷の上でダンス(?)を踊るシーン。素晴らしかった!「そっか、B級映画でも冒険映画でもあるけれど、これって結局ラブ・ストーリーなんだ」って、気付かされた。悲劇的結末への伏線っていう意味では、同時にすごく切ないシーンでもあるんだけれど、僕はずーっとこのシーンが続けばいいのにって願わずにはいられなかった。

主演3人も、皆よかったと思う。ナオミ・ワッツにジャック・ブラックにエイドリアン・ブロディ。玄人好みといえば聞こえはいいが、ハッキリ言って、かなり地味なキャスティング(笑)。でも、すごくバランスのよいキャスティングだったと感じた。まさに、適材適所。特に、ナオミ・ワッツは島で逃げ回っている姿が驚くほどサマになっていた。とてもキレイな女優さんだしね。エイドリアン・ブロディもカッコよく演じてました。よくよく考えると、彼の演じたジャックって、めちゃめちゃスゴイ男だと思う。だって、あのキング・コングの顔見たら、普通向かっていこうなんて思わないっしょ(笑)。

とにもかくにも、一級のB級映画にして、とってもキュートなラブ・ストーリーだと思います。気になってる方は、公開が終わらないうちに、ぜひ大きなスクリーンで!
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by inotti-department | 2006-02-08 22:05 | cinema
『ラヂオの時間』 ~着想が素晴らしい!~
e0038935_2174745.jpg
満足度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

『ラヂオの時間』(1997、日)
    監督 三谷幸喜
    出演 唐沢寿明  鈴木京香  西村雅彦



深夜のラジオ局。ラジオドラマの生放送を目前に、スタッフたちは慌しく動き回っていた。そんな中、突然、主演女優が言い出したワガママ。役名が、別れた愛人の奥さんと同名だから、違う名前に変更してほしいというのだ。さらに職業も女弁護士に変え、名前は「メアリー・ジェーン」にしろと要求してきた。彼女に頭が上がらないスタッフは、あっさり要求を受け入れてしまう。こうして、物語の舞台は、熱海からNYへ。しかし、むりやり設定を変更したことで、物語に無理が生じはじめて・・・。


三谷幸喜の映画監督デビュー作。

この映画をはじめて観たのは、高校時代。男友達6人とかで観に行って、みんなでゲラゲラ笑いながら観たんだよなぁ。いやぁ、あの頃はよか・・・って、失礼。話がそれました(笑)。

先日、テレビで久しぶりに『ラヂオの時間』をじっくり観た。たぶん4回目ぐらいだと思うんだけれど、何度観ても、やっぱり面白い。とっても良くできた映画だと思う。改めて、そう感じた。

もともとは、三谷さんの劇団「東京サンシャインボーイズ」の作品として、舞台で披露された物語らしい。確かに、ノンストップの暗転なし、深夜のラヂオ局という密室空間、セリフのやりとりで勝負する緻密な脚本など、映画よりもむしろ舞台向きの作品だと思う。なにせ、話自体は、おそろしく地味だもんねー(笑)。深夜のラヂオ局でのドタバタ劇。どうでもいいっちゃあ、どうでもいい(笑)。

でも、面白い!なにがって、やっぱり着想が素晴らしいんだよね。三谷幸喜の何がスゴイって、とにかく物語をつくる上でのアイデアのユニークさ。あらすじ聞いただけで笑えてきちゃうような、その着想・思いつきが素晴らしい。

たぶん、三谷さん自身も、こういう苦い経験があったんだろうなぁ。自分の書いたホンが、役者のワガママや、スタッフ・スポンサーの都合でどんどん変えられていく。「こんなことなら、スタッフロールから自分の名前を外してほしい!」そんな辛い思いをいろいろしてきたことが、この着想の出発点だったのではないだろうか。

でも、ナンダカンダで、最後にはみんながひとつになっちゃうあたりが三谷脚本のいいところ。登場人物はどいつもこいつもいい加減で、自分勝手なんだけど、なんだか憎めない。そして、最後には、結局協力しあってドラマを完成させる。『THE有頂天ホテル』もそうだけど、群像劇を操らせたら、やっぱりこの人の右に出る人はいない。

もうひとつ印象に残ったのが、西村雅彦。素晴らしい演技。彼のキャリアの中でも、この『ラヂオ』での演技は、ベストワークの1つなんじゃないかな。中間管理職の哀愁と、ラヂオマンとしての誇り。情けなくてカッコ悪いようで、でも、締めるところは締める。緩急織り交ぜたこの芝居は、なかなか誰にもできるもんじゃない。

三谷作品で西村雅彦の姿を見なくなってもうずいぶん経つけれど、やっぱり彼には三谷脚本の中でおもいっきりはじけてほしい!なんで起用されなくなったのか真相は知らないけれど、あのコンビのこと、何か壮大なクダラナイ計画を企んでいるような気がするんだけれど(笑)。

とにもかくにも、とても面白いコメディ映画だと思います。ご興味のある方は、ぜひDVDでどうぞ!
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by inotti-department | 2006-02-07 21:42 | cinema
『フライトプラン』 ~広げた大風呂敷の結末は・・・~
e0038935_23393959.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

『フライトプラン』(2005、米)
  監督 ロベルト・シュヴェンケ
  出演 ジョディ・フォスター ショ-ン・ビーン

映画はラストシーンが全てじゃない!

この意見には、基本的に大賛成。
ラストがちょっとぐらい物足りなかろうが、プロセスで十分に楽しませてくれれば、映画としては大成功なのだから。

そういう意味じゃ、この『フライトプラン』も十分に合格圏内の映画だと思う。よくできてる。ホント、よく出来た一級品のサスペンス映画だと思う。

でもね。。。
この種の映画って、どーーーしても、”オチ”に期待しちゃうんだよなぁ。『シックス・センス』以来、僕たち観客の”オチ”に対する期待のかけ方は、ちょっと過剰になっちゃったんだと思う。それが全てじゃないとはわかっていても、うーむ、どうしてもね・・・・。

というわけで、まずはあらすじをご紹介。これ読んだら、僕の言ってる意味がおわかりいただけるかと思います。

滞在先のベルリンで夫を事故死で失ったカイルは、6歳の娘・ジュリアを連れて、夫の棺とともに飛行機でNYへ。それは、航空機設計士であるカイル自身が設計に携わった飛行機だった。機内で束の間の睡眠をとったカイルが目を覚ますと、娘の姿が見当たらない。乗務員に命じて、徹底的に機内を捜させるが、どこにもその姿はない。やがて、ひとりの乗務員によって、衝撃の知らせがカイルに届けられる。ジュリアがその機に搭乗した記録はどこにもなく、それどころか、ジュリアは6日前に夫とともに亡くなっているというのだ・・・。

<映画の性質上ネタバレは避けますが、後半の展開への遠まわしな言及は以下に若干あります。映画を先入観なしに楽しみたいという方は、ご注意ください。>

どうよ、この見事な風呂敷の広げっぷりは(笑)!!こんだけ魅力的な設定なんだもん、オチに期待するなって方が無理ってもんよ。

で、どうだったのか。よし、正直に言おう!
「あれ?」「あれれ?」「あれれれ?」
そんな感じだった。拍子抜けというか、肩すかしというか。。。

一番問題なのは、ことの真相を説明されても、いまいちピンとこないということ。ネタバレできないので表現が難しいが、「なぜ、そんな?」という感じ。要は、どうにも説得力がないオチなのだ。

でも、それだけでこの映画を”駄作”と片付けてしまうのは、ちょっと惜しい。それぐらい、前半1時間は本当に素晴らしかった。エンタテインメント性、サスペンス性、どれをとっても、ほぼケチのつけようがないほどパーフェクトな出来。

そんなに斬新な設定とは思わないんだけど、なんだろう、すごく引き付けられる展開なのだ。「お母さんのただの妄想なのか?」そういう心理的圧迫感を、飛行機という密室がさらに煽る。乗客、乗務員、あるいは僕ら観客の勝手な思い込みが、真実を闇に葬り去りかねない危険なエネルギーとなってしまう。僕は単純に、そのことに対してものすごく強い恐怖を感じた。途中で出てくるカウンセラーなんかもそう。いい人なんだけどね、ああいう教科書通りの対応が、逆にとんでもない事態を招いてしまうケースもあるということなんだよね。いやはや、恐ろしい。

直接的な表現ができないので言葉選びが難しいのだが、これからこの映画を観に行かれる方は、”オチ”のことばかり考えずに素直にプロセスを楽しんでいただければ、と思う。そうすれば、十分に高いお金を出して映画館で観る価値のある映画だということは断言します。

それにしても、もう少しなんとか出来なかったかなー(笑)。真相が判明した瞬間、映画館中にガッカリした空気が蔓延したような気がしたのは、僕の錯覚ではなかったと思う。
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by inotti-department | 2006-02-06 00:17 | cinema
『疾走』 ~インパクトもコンパクトも足りない~
e0038935_11451133.jpg満足度 ★★★★★☆☆☆☆☆ (5点)

『疾走』(2005、日)
   監督 SABU
   出演 手越祐也  韓英恵  豊川悦司


みなさま、ご無沙汰でございます!

実は会社の人事異動に巻きこまれまして、バタバタバタとこの2週間ほど過ごしておりました。ようやくひと段落しましたので、またチョコチョコ更新していくようにしたいな、と。そう思っておりやす。

で、『THE有頂天ホテル』以来、ひさしぶりに観に行った映画がこちら。
『疾走』。監督・SABU&原作・重松清。僕みたいな映画も小説も好きな人間にとっては、なかなか胸躍る顔合わせなわけで。公開最終日に劇場へ駆け込んでまいりました。

では、あらすじ。
とある街。”浜”と呼ばれる場所で暮らす人々にとって、かつては海だった”沖”と呼ばれる場所は、蔑視の対象だった。”浜”で暮らすシュウジは、立ち寄った”沖”で出会った鬼ケンという名のヤクザに親切にされるが、やがて鬼ケンの死体が発見される。数年後。中学生になったシュウジは、”沖”で暮らすエリという少女と出会い、親しみを感じるようになる。シュウジはエリとともに”沖”の教会へ通いはじめ、そこの神父とも親しくなるが、やがてシュウジの家庭環境に変化が起こりはじめ・・・。

<以下、ネタバレ含みます。未見の方は、ご注意ください。>

暗い。。。どうしようもなく、暗い。。。

精神を乱す兄、崩壊する家族、友人のイジメ、親しい人の死、近親相姦、一家心中、少年犯罪。。。ありとあらゆるこの世の不幸を集めました!と言わんばかりの不幸ラッシュ。どこにでもいそうな普通の少年の人生が、一瞬にして、極めて過酷なものになっていく。

正直に言うと、僕はあまりこの映画に強い魅力を感じなかった。世の中の”甘くない”部分に目を向けるその視線は、たしかにリアルでシャープだとは思う。でも、この手の映画は最近増えてきているし、それだけではインパクトは得られない。そして何より、この映画には”まとまり”がない。そういうゴチャゴチャした不穏な空気感を表現したかったのかもしれないが、もう少しコンパクトな映画にできなかっただろうか。

SABU監督、ひょっとして作風変わった!?『弾丸ランナー』『ポストマン・ブルース』などの作品で知られるSABU監督、もともとけっこう好きな監督さんだったのだが、ここのところジャニーズと組んで映画を撮ったりしていることに少し違和感を感じて、近作はちゃんとチェックしていなかった。個人的には、もっとエンタテインメント性を重視するタイプの監督だと認識していたのだけれど、良く言えば作品の幅が広がってきた、ということなのかもしれない。

気になったこと。主演2人の演技。ものすごい棒読みなのだ(笑)。うーーん、演出なのかなー?少年少女の虚無感を表現するために、セリフから感情の一切を排除せよ!という演技指導があったのかなー?真相はわからんが、とにかく、すごく気になって仕方がなかったのは事実。

良かったとこ。最後は、すごく良かった。ただの不幸な物語として終わらせなかった工夫には、好感がもてた。人生が素晴らしく思えるか、どうしようもないものに思えるか、それってホントに紙一重なんだよね。世界の状況は別に変わってないんだけれど、なんとなく、これから良い方向へ向かっていくのかなぁって、そう感じさせる素敵な終わり方だったと思う。

こういう映画って、結局は好き嫌いの問題になっちゃうんだよね。残念ながら、僕にとっては、あまり好きなタイプの映画ではなかったようだ。

不穏な空気に浸ってみたい方は、ぜひDVDでどうぞ。
って、そんな人いるかなぁ(笑)?
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by inotti-department | 2006-02-04 12:21 | cinema
『THE有頂天ホテル』 ~ごちそうさま!贅沢な2時間~
e0038935_9574596.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆(8点)

『THE有頂天ホテル』(2006、日)
    監督 三谷幸喜
    出演 役所広司 松たか子 佐藤浩市

ワンダフル!ワンダフル!
最高に幸福な2時間を過ごさせてくれた、この映画に感謝。感謝。

日本一コメディを愛する男が生み出した物語に、20人を超える日本のトップ俳優たちが賛同して完成した、日本映画のビッグ・プロジェクト。これだけのスターが参加し、これだけの映画ファンの大きな期待を集め、そして、それを裏切らない素晴らしい映画に仕上がっていたこと。日本映画を愛する者として、何よりもそのことが、とってもうれしかった。

では、あらすじの紹介。といっても、さわりだけね。

年越しを2時間後に控えた、”ホテル・アヴァンティ”。副支配人の新堂は大忙し。「謹賀新年」の垂れ幕に誤字が見つかるわ、カウントダウンパーティに出演する芸人の相方であるアヒルが行方不明になるわ、総支配人は失踪するわ。おまけに、別れた元妻とばったり再会。思わず、ホテルマンの身分を偽り、舞台監督の受賞パーティーに来ていると見栄を張ってウソをついてしまう。一方同じ頃、客室係のハナも他人のフリをする羽目になる騒動に巻き込まれ、汚職によって窮地に追い込まれた政治家・武藤田は自殺を図るためにホテルを訪れていた・・・。


はっきり言って、欠点を指摘しようと思えば、いくらでもできる。そして、ひょっとすると、そういった欠点が気になって、この映画があまり好きになれなかった人もたくさんいたかもしれない。

例えば、ひとりひとりの人物描写が驚くほど浅くて、かつ薄いということ。例えば、各キャラクターが、まるで物語を面白くするためのコマのように感じられ、あまり血が通っていないように思えること。例えば、ひとりひとりの行動の理由に説得力のないものも多く、「ん?」と首をかしげてしまうようなピンとこない展開もいくつかあること。例えば、新堂やハナのその場しのぎの行動が、必ずしも自然ではないために、監督が狙ったほどには大きな笑いにつながらなかったこと。例えば・・・・・。

だけど。
それでも、僕はやっぱり、これはすごい映画だと思った。いろんな欠点を補ってあまりある圧倒的なパワー、そして何よりも圧倒的な”笑い”が、この映画にはあるからだ。

何よりも、脚本の力。これがスゴイ!気のきいた小道具を用いて、ちょこちょこと細かい伏線を張りつつ、やがて複数のエピソードを交錯させて、最後は登場人物全員に平等に光を当てる。こういう芸当を難なくやってのける脚本を過去に何度も書いている脚本家は、僕の知るかぎり、いま日本では三谷幸喜ぐらいしか見当たらない。

スター揃いの出演者も、揃いも揃って素晴らしい!最も賞賛に値するのは、全員が演じることを楽しんでいるのがスクリーンからビシバシと伝わってくること。それでいて、全員が、でしゃばりすぎてバランスを欠かないように、的確に23分の1の役割を果たしていること。これもやはり、出演者全員を最初から想定して書いたという”あて書き”(それも納得の最高のキャスティング!ミスキャストはひとりもいない!)によって作られた素晴らしい脚本あってのことだろう。おそらく、演じている誰にも、自分の出ていないシーンがあまりにも多すぎて、この映画の完成図はイメージできなかったと思う。でも、それでも彼らが迷いもなく演じきることができたのは、やはり三谷脚本への絶対的信頼があったからではないだろうか。

中でも「いいなぁ」と思った俳優を何人か挙げるとすれば・・・、うーーん迷うなぁ。爆笑MVPの伊東四朗は別格として、唯一マトモともいえる役を演じた戸田恵子のシャープな演技、キュートでセクシーな篠原涼子、それから忘れちゃいけない”クネクネ”角野卓造のハイテンション演技(笑)。なんにせよ、みんながみんな、それぞれにおいしいシーンがあったから、誰も損した人はいなかったと思う。

細かいストーリーとか、どこでどう笑ったとか、そういうことが終わったあとであまり思い出せない不思議な映画。良い意味で、あとに何も残らない映画。でも、確実に笑えて、確実にハッピーになれる映画。小難しいことを考えたり、求めたりする必要は全くない。ただただ2時間、頭をフリーにして映画に身を委ねればいい。自然と、笑いが身体の底からわきあがってくるから。

いっぱい笑っておなかいっぱいになったとき、映画はとうとうクライマックスを迎える。カウントダウンパーティーでの大団円。詳しいネタバレは避けるが、ここは本当に素晴らしい。23人の中では最も”俳優らしくない”ある人物が、おいしいところを全て持っていってしまう、最高のパフォーマンスを披露する。2時間の間に、何が決着したのかはわからないんだけれど、僕はなんだか涙が出そうになった。そして、「この映画を観てよかった」って、そう思った。

抱腹絶倒の2時間16分。笑って、笑って、心がパーーッと明るくなる、そんな素敵なコメディ映画。映画って、本当は小難しい顔して観るものじゃなくて、楽しむものだったんだ。忘れてたことに気付かせてくれた。

「コメディは、お客さんの笑い声が加わって、完成する」

これ、三谷幸喜の言葉。
ひとりでDVDなどと言わず、ぜひぜひ劇場へ。
そして、満員のお客さんと一緒に、照れも忘れておもいっきり笑いましょう!
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by inotti-department | 2006-01-20 10:19 | cinema
『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』 ~どーも話が弾まない~
e0038935_22425759.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)

『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』(2005、米)
 監督 ジョン・マッデン
 出演 グウィネス・パルトロウ 
     ジェイク・ギレンホール A・ホプキンス

珍しく、公開初日の映画鑑賞。

といっても、別にそんなにものすごく楽しみにしていた映画というわけじゃなく、仕事の終わった時間と映画の上映開始時間がピタリとはまったというだけの話。でも、そういう意味じゃ、ストーリーなどの前情報も何も知らない状態で観られたから、映画の楽しみ方としては理想的だったかも(あんまり事前に知りすぎちゃうと、観たときの驚きとか喜びが半減しちゃうからね)。

唯一の手がかりは、監督&主演女優が、傑作『恋におちたシェイクスピア』のコンビだということ。それだけでも、十分期待してよいはず!
と思っていたのだけども・・・・

では、あらすじ。
キャサリンは父を亡くし、深い悲しみの中にいた。父は天才数学者だったが、最後の数年間は精神の病にかかってしまったため、彼女がつきっきりで看病をしたのだった。父を亡くしたことで、自らもまた精神不安定な状態に陥ってしまったキャサリン。姉のクレアは心配するが、キャサリンにはそれがかえってうざったくもあった。そんな彼女に想いを寄せるのは、父の元教え子ハル。父の葬儀を経て2人は結ばれるが、ハルが彼女の父の部屋からある数式の証明が書かれたノートを発見したことを機に、キャサリンは再び心を乱してしまう・・・。


すごーーく面白くなりそうな予感を終始抱かせつつも、結局盛り上がらないまま終わってしまったという感じ。どーーも話の転がり方に冴えがない、というか。

決して悪い映画じゃないんだけどなぁ。親子の愛、男女の愛、数学的才能を巡る運命のイタズラ。ひとつひとつのトピックについて、丹念に丹念に描写を積み重ねていく筋運びは、繊細かつ丁寧で見ごたえ十分。

話も、なかなか魅力的なんだけどなぁ。天才数学者である父親の部屋から発見された1冊のノート。そこに書かれていたのは、誰も解き得なかったある数式の証明。晩年は精神を乱してしまった父に、書けたはずがない証明。いったい誰が?どうやって?そこで名乗り出たのは、意外な人物だった・・・。

どうよ、これ?いいでしょ、かなり!面白そうでしょ?でも、話が転がらないんです、これが。うーーん、なぜだろう。この謎こそ、誰かに証明してほしい!そんな気持ちになる(笑)。

原因のひとつに、回想シーンが多すぎることが挙げられると思う。現在と回想の繋ぎ方がどうもスムーズじゃないのだ。いや、それがわざとだということはわかる。語り部であるキャサリンの不安定な精神を表現するために、現在と過去がゴチャマゼになったような描写を重ねた、その狙いはよくわかる。でも、結果的にそれによって、映画からテンポが失われてしまったという面は否めないと思う。

個人的には、数式の証明をめぐるミステリー的側面の魅力を、もっともっと生かしてもよかったんじゃないかなと感じた。キャサリンのイライラというか葛藤をじっくり描くのもいいんだけど、ストーリーテリングを重視するなら、「いったい誰によって書かれた証明なのか?」というミステリーのほうがやっぱり盛り上がるもの。キャサリンが不安定にならざるをえない本当の理由が、最後の最後にならないとスッキリとはわからないものだから、余計にキャサリンの戸惑いをどう受け止めたらいいのかわからなくて、もうひとつ僕の気持ちは盛り上がらなかった。

グウィネス・パルトロウは好演。アンソニー・ホプキンス、ジェイク・ギレンホールの男優陣は、この映画の中ではあくまでも脇役でしかない。これは、グウィネスの映画なのだ。ただ、彼女の表現力が巧みすぎて、それが逆にストーリーからテンポを奪・・・、ってもうやめましょう(笑)。いや、文句なしにウマイです、彼女の演技は。

『THE有頂天ホテル』『プライドと偏見』『スタンドアップ』『博士の愛した数式』『僕のニューヨークライフ』『オリバー・ツイスト』etc・・・。1月公開の映画の中には、他にも気になる話題作が目白押し。どーーしても!という方以外は、さほど慌てて観に行くほどの映画ではないと思います。

グウィネス大好き!という方がいましたら、ぜひお早めにどうぞ。って、アイドルじゃあるまいし、そんな人あんまいないか(笑)。
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by inotti-department | 2006-01-14 23:33 | cinema
『ロード・オブ・ドッグタウン』 ~掘り出し物の青春快作~
e0038935_20494763.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

『ロード・オブ・ドッグタウン』(2005、米=独)
  監督 キャサリン・ハードウィック
  出演 エミール・ハーシュ ジョン・ロビンソン

1975年、カリフォルニア。サーフボードに明け暮れるトニー、ステイシー、ジェイの3人は、サーフショップ”ゼファー”の経営者・スキップの立ち上げたスケボーチーム”Z-BOYS"のメンバーになる。スケボーの大会で鮮烈なパフォーマンスを繰り広げ、瞬く間に全米が注目するカリスマ・スケートボーダーとなった3人。しかし、有名になるにつれ、金や女に目がくらんでいき・・・。


これは驚いた!素晴らしい、青春映画の快作だ。

たいした期待ももたずに観に行ったのだけれど、これはうれしい誤算。掘り出し物、とはまさにこのことである。

冒頭のクレジットでも示されるように、この映画は実際にあったエピソードがベースになっている。というか、この映画の脚本を担当したのは、主人公3人のうちの1人であるステイシー・ペラルタ本人なのだ。なるほど、僕は全く知らなかったが、スケボーの世界では相当に伝説的な人物のようだ、この映画の主人公たちは。

とはいえ、映画を楽しむうえで、事前にスケボーの世界についての予備知識を持っている必要など全くない。この映画は、ただのスケボー映画ではなく、すぐれた青春映画なのだ。

栄光と挫折。友情と別離。青春がもつ様々な側面を、とてもリアルに描いている。3人とも、タイプも違うし生き方も違うんだけれど、とにかく全力疾走。そこが素晴らしい。自分たちが世界の中心にいるように見えて、結局は大人たちのビジネスの歯車の中で利用されてるだけなんだけれど、そんなことはどうでもいい。とにかく前へ進もうとするそのエネルギーこそ、若者の特権だ。

それを象徴するのが、スケボーシーン。この映画の全て、といっても過言ではない。スピーディーで、ダイナミックで、スリリングなアクロバットの数々。映画がはじまって30分もたつ頃には、僕は彼らのパフォーマンスのとりこになってしまった。最高にカッコイイのだ、これが!

いろんなことが起こるんだけれど、本当に悪い人がひとりもいないのも良かった。みんな過ちも犯すし、「えっ」て思うような行動をしちゃったりするんだけれど、人間なんてそんなもの。でも、彼らには帰る場所があるんだよね。言葉なんかいらない、ただスケボーさえあれば。うーん、うらやましいなぁ、そういうの。

キャストは若き新進俳優ばかり。僕は3人の誰も1度も観たことがなかったので、最初は顔と役名が一致しなくて苦労した。特に、前半は"Z-BOYS"の面々ひとりひとりの個性がさほど特徴的ではなかったもので。個人的には、前半からもっと各キャラクターの描き分けをしっかりとできていたら、さらに素晴らしい作品になっていただろうと思う。

とはいえ、ひとりでも多くの人に観てもらいたい素敵な映画。なのでネタバレは避けるが、ラスト5分は必見。心がカーーっと温かくなって、そして、熱い気持ちになれる。

都内では渋谷シネマライズのみの上映。
27日までやってますので、映画でスカっとしたい方はぜひ!
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by inotti-department | 2006-01-12 20:53 | cinema
『ある子供』 ~子供が子供をもつ覚悟~
e0038935_2344298.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

『ある子供』(2005、ベルギー=フランス) 
 監督 ジャンピエール&リュック・ダルデンヌ
 出演 ジェレミー・レニエ デボラ・フランソワ

20歳の青年ブリュノは、盗んだものを売りさばくことで生計を立てて暮らしている。そんなある日、彼の恋人・ソニアが、子供を出産する。退院したソニアはさっそくブリュノと連絡をとろうとするが、なかなか電話が繋がらない。やっと会えたと思っても、ブリュノは何の喜びも示さず、赤ちゃんに対する愛情も全く見せない。そしてブリュノは、深く考えもせず、盗品を売るかのように赤ちゃんを他人に売ってしまい・・・。

リアリズムVSエンタテインメント。
世の中には、徹底的に現実というものをシビアに直視するような映画もあれば、現実社会をふと忘れさせてくれるようなイマジネーション豊かな映画も存在する。

で、この『ある子供』という映画は、典型的な前者タイプ。
そして、僕はどっちが好きかというと、やっぱり後者のほうが好きなんだよなぁ。

スゴイ映画だと思う。BGMは全くなし。ナレーションも、説明的なセリフも皆無。要するに、映画的な、あるいはフィクションとしての全ての要素を取っ払って作られた映画なのだ。

いっさい装飾がないにも関わらず、圧倒的な力強さ。まるで本当に起こっていることを目撃しているような、そんな錯覚に陥り、気が付くと画面から目が離せなくなってしまう。

俳優もスゴイ。主演の2人。あそこまでいくと、もはや演技なのか素なのかということすら定かではない。究極のリアリズム。カンヌ映画祭で絶賛されたというのも、たしかにうなずけるような力作だ。

でも、なんだろう。僕は、やっぱり、あんまり好きなタイプの映画じゃないんだよなぁ。このブログのタイトルにもなっているように、僕が映画とか小説に求めるのは、エンタテインメントというものなのだ。笑いでも感動でも驚きでもなんでもいいんだけど、その作品と接している間、至福の喜びを感じられるようなもの。リアルを追及するにせよ、それでいてエンタテインメントとしても成立している、そんなものが見たいのだ(うーーん、我ながらヘタクソな説明だ。すみません。)。

この作品が追及するリアリティと、僕が考えるエンタテインメントというものは、残念ながら一致しなかったということだと思う。おそらく監督にとっては、この映画もひとつのエンタテインメントと考えているだろうから、要するに僕とは噛み合わなかったという、ただそれだけのこと。カンヌでグランプリを取っているということは、映画祭の審査員とはその感覚がピタリと合ったということだろう。そして、僕の両隣で観ていた見知らぬ男性たちが2人とも爆睡していたということは、彼らとはその感覚が合わなかったということだろう。ただ、それだけのことなんだと思う。

ただ、感覚的に好きにはなれなかったとはいえ、これだけ1時間半ぶっ通しでリアルな世界を見せられると、やっぱりいろんなことを嫌でも考えさせられる。

”ある子供”。タイトルの子供が差しているのは、売られてしまった”子供”のことだけではないだろう。”子供”を売り飛ばしたブリュノもまた、ただの”子供”でしかない。子供が子供をもってしまったが故に起こった悲劇。でも、僕の中では、ただ単に「あ、コイツ、バカだなぁ」では終わらなかった。なんかわかるなこの感覚、って。

実際、僕はいま25歳だけれど、もしも今自分に子供が突然できたら、おそらく相当パニックになるだろうと思う。情けないけど、自分のことをまだまだ子供だなぁって思うし、人の親になるだけの覚悟がまだ自分には備わっていない。ブリュノもきっと、怖かったんじゃないかな。20歳にして、他人の人生を背負わなくちゃいけないっていう状況が。

すごく絶望的な気持ちになる映画なんだけれど、でも、救いもあった。赤ちゃんを売ってしまったブリュノが、ソニアに叱責されたあとで、渋々ながらも赤ちゃんを取り戻しに行ったこと。それによって、事態はさらに絶望的な方向に向かってしまったけれど、でも、このブリュノの行動にはすごく意味があったと思う。そして、ラストシーン。ネタバレはしないけれど、ここは素晴らしかった。この映画が感覚的にピタリとはまった人にとっては、きっと映画史に残るようなエンディングになったと思う。僕もそこまではいかなかったにせよ、強く心揺さぶられた。

”生きる”ということ、そして命というものの意味を、改めてシビアに考えさせられる力作。いつか自分が”親”になったときに、もう1度観てみたいなって思う。
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by inotti-department | 2006-01-10 00:22 | cinema
『SAYURI』 ~「なんで英語!?」は禁句です~
e0038935_0204629.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)

『SAYURI』(2005、米)
    監督 ロブ・マーシャル
    出演 チャン・ツィイー  渡辺謙

9歳のときに置屋へ売られた千代は、姉とも離れ離れになり、たったひとりで芸者としての道を歩みはじめる。彼女の唯一の願いは、かつて自分を慰めてくれた紳士「会長さん」と再会すること。15歳になった千代は、一流の芸者・豆葉の妹分となり、彼女のもとで修行を開始。そんなある日、豆葉の紹介で会長さんと再会を果たすが・・・。

「なんで英語やねん?」
この疑問を、自分の中で消化できるかどうか。
日本人である僕たちがこのハリウッド映画を楽しめるかどうか、全てはこの点にかかっていると思う。

舞台は日本。キャラクターはみな日本人。当然、言語が英語である必然性は全くない。でも、交わされる言葉はオール英語。ときどきいろんなキャラクターが唐突に発する日本語は、なぜかカタコト。「なんで英語やねん?」この映画は、そのことに対して変な言い訳的な逃げ道はいっさい用意しない。「なんで英語かって?だって、ハリウッド映画なんだもん!」ある意味、潔いとも言えるけども(笑)。でも、ここで引っかかっちゃって抜け出せなかった人にとっては、たぶんこの映画はB級映画か、もしくはただのコメディになりさがってしまったかもしれない。

でもこれって、ハリウッド映画では珍しいことではない。例えば、ヨーロッパが舞台の映画で、現地の人たちがみんな当たり前のように英語のみを話す、そういう場面はよく目にする。でも、日本人の僕たちにとって、欧米人が細かくどういう言語を話しているのかということはあまり馴染みがないし、正直に言うとドイツ人とルーマニア人の顔の違いなんて区別がつかない。だから、ヨーロッパ系の主人公が英語で2時間押し切ったとしても、さほど違和感は感じない。

でも、この『SAYURI』は、舞台が日本だからね。日本人である僕たちは、この映画を観た全ての国の人たちの中で、最もそのことに対する違和感をおぼえざるを得ない。そもそも、チャン・ツィイーとかコン・リーなんかが、ときどき”なんちゃってジャパニーズ”を喋ったりするのが、気になって仕方がないのだ(この感覚は、今回に限っては日本人だけの特権ですね)。

でも、それを言ってたら、先へは進めない。そこはわりきって、いかにこの”米国人が作った日本映画”を楽しめるかどうか。せっかく1300円払うんだもん、細かいツッコミは我慢、我慢。

じゃあ、1本の映画として、この作品はどうだったか。なかなか面白い。何がって、やっぱり、”外国人が撮った日本の風景”だよね。『ロスト・イン・トランスレーション』のときも思ったけど、日本人が撮る絵とは、やっぱりちょっと雰囲気が違う。

この『SAYURI』に関しては、かなり監督の中で確固たる映像のイメージが最初から出来ていたんじゃないかと思う。着物、日本舞踊、お茶、温泉。ひとつひとつの描写が、すごく繊細で、そして美しいのだ。海外の人から見ると”日本らしさ”ってこういうことなのかなって、普段生活していても思い至らないようなことを、映画を観ながら考えたりした。

ストーリーもまずまず。決して派手さはないけれど、エピソードを丁寧に積み重ねることで、観客を飽きさせない。サユリの幼少期のエピソードを丁寧にじっくり描いていた点にも好感がもてた。普通、この手の映画って、開始5分とか10分ぐらいで主人公が成人になっちゃうものなんだけれど。序章がしっかりしていたぶん、中盤のストーリーに厚みが出たと思う。ずっと描かれる初桃とサユリのやりあいなんか、単純に面白かったしね。そして、映像、音楽とのハーモニーもとても素晴らしい。

ただ、どうなんだろう。もうちょっと話を整理できたんじゃないかな、っていう気は個人的にはしたけれど。サユリと会長の異質なラブストーリー、サユリと初桃の歪んだライバル関係、サユリと豆葉のユニークな師弟関係、時代に翻弄されたサユリの一代記。いろんなことを同時並行で描いていて、でも結局何が言いたい映画だったのかということは、もうひとつピンとこなかった。まぁ、テーマを絞るほどの大した話でもないから、あえていろんな要素をとりいれることで、映画に厚みをもたらそうという狙いもあったんだろうけど。それにしても、もう少しクリアにできなかったかなぁ。特に、後半の展開はどうもピンとこなかった。

俳優陣は健闘。アジアのオールスターキャストとしての意地を、十分にハリウッドに示してくれたと思う。チャン・ツィイー、コン・リー、ミシェル・ヨー。3人とも、日本人を英語で演じるという二重の難しさがあったと思うが、それぞれがすごく存在感を見せていた。特に、ミシェル・ヨーの貫禄が、個人的には強く印象に残った。

日本勢も頑張った。でも、やっぱり日本人の目から観ると、「この役を日本語で演じさせてあげたかったなぁ」って思っちゃうんだよね。特に、役所広司は、普段の良さの半分も出ていなかったと思う。まず英語っていう苦労が最初にあるぶん、セリフの言い方とか役作りに、全エネルギーを注げないっていう難しさがあったんだろうな、って。それを考えると、渡辺謙は、やっぱりハリウッド慣れしている強みがあるぶん、さすがの貫禄を放っていた。あと、桃井かおりも最高。英語の発音として、欧米の人にはどう聞こえるんだろうっていういらぬ心配は抱かせたものの、英語を通してもいつもの”桃井節”が健在だったのは素晴らしかった。

それにしても、日本が舞台の映画なのに、主演が日本人女優じゃないっていうのは悔しい!というか、日本映画界として、恥ずかしいって思わなくちゃダメでしょ。サッカーだって野球だって国際化の時代。俳優さんも、もっと世界に飛び出さなくちゃ。世界を股にかける国際派女優、そろそろ出てきてもいいんじゃないかなー。チャン・ツィイーに負けるな!でも、カワイイけどね(笑)
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by inotti-department | 2006-01-09 01:18 | cinema
『Mr. & Mrs. スミス』 ~ザ・エンタメ・ムービー!~
e0038935_22563862.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『Mr. & Mrs. スミス』(2005、米)
 監督 ダグ・リーマン
 出演 ブラッド・ピット アンジェリーナ・ジョリー

早いもので、2005年も今日で終わり。

今年もたくさんの映画を観てきたが、とうとう最後の1本。
『Mr. & Mrs. スミス』。豪華スター競演の娯楽大作。
大いに笑って、楽しんで、とても良い1年の締めくくりになりました。

では、あらすじ。
結婚から5~6年。情熱的な恋愛関係は今や昔、スミス夫婦は深刻な倦怠期に突入していた。理由は明白。お互いに、重要な隠し事をしているからだ。ある日、ついに2人はその秘密を知ってしまう。2人は、それぞれ凄腕の殺し屋だったのだ。相手に正体を知られてしまった2人は、互いの組織の存続を賭け、自宅を舞台に殺し合いをはじめるが・・・。


なーーんて、あらすじだけ読むと妙にヘヴィーな感じがするかもしれないけれど、なんてことはない。その正体は、ポップで気軽な超おバカ映画(笑)。

いやいや、これ、褒め言葉ですから。今年もいろいろ大作系映画はあったけれど、けっこうシリアスなテーマのものも多かった(スターウォーズにしたってそうだしね)。そんな中、2005年の最後の最後にして、ようやく出てきた究極のエンタメ・ムービー!なーーんにも余計なこと考えないで、ただただスクリーンに身を委ねちゃえばいい。細かいことは言いっこなし。ただただ楽しんじゃったもん勝ちだ。

要するに、ただの”夫婦ゲンカ”。
「実は殺し屋なんです」なんてことはないにせよ、多かれ少なかれ、どんなおしどり夫婦にだって秘密の1つや2つはあるだろう。夫婦じゃなくって、カップルに置きかえたっていい。そして、その秘密が重大なものだったりすると、「何で黙ってたのよーー!」てな感じで、大変な修羅場を迎えてしまう。くわばら、くわばら(笑)。

そんなときは、大いにやりあっちゃえばいいのだ。といっても、スミス夫婦の場合、それが殺し合いになっちゃうところが異常なんだけれど(笑)。でも、散々銃をぶっ放しあったあとで、夫婦の絆はより深まる。愛を確認しあう。だって、相手のことを想っているからこそ、怒りとか悲しみの気持ちも湧いてくるわけで。互いに対してどんどん無関心になっていた映画の冒頭の状況と比べたら、ストレートに気持ちをぶつけてやりあうぐらいの方が、よっぽど健全なのかもしれない。

ブラピ&ジョリーのセレブ・パワー(?)が全開!これぞ、ビッグ・スター競演の醍醐味。演技力うんぬんじゃなく、2人がスクリーンにおさまっているだけで、なんだか胸がワクワクしてしまうのだ。おちゃめなブラピもグッドだったけれど、やっぱりジョリーだよなぁ。そのセクシー・パワーには参りました。はい。この人、いつのまにこんなにキレイになってたのだろう?でも、あの2人の息の合いっぷりは、やっぱり私生活が・・・。って、プライベートへの言及はやめとこう(笑)。

と、カタカタとキーボードを叩きつつ、テレビを見たり年越しそばを食べたりしているうちに、年が明けてしまいました(笑)。

みなさま、ハッピー・ニュー・イヤー!
”エンタメ!あれこれ百貨店”、2006年もよろしくお願いいたします!
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by inotti-department | 2006-01-01 00:58 | cinema
   
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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