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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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カテゴリ:小説ネタバレstory紹介( 9 )
<小説ネタバレstory紹介>も開設しました!
<映画ネタバレstory紹介>につづいて、<小説ネタバレstory紹介>も開設します!

基本的な考え方は、<映画ネタバレ・・・>の冒頭に書いたものと同じです。

「あの小説、一度読んだんだけど、どういう話だったかなぁ。どうやって終わるんだっけなぁ」
そんな悩みをお持ちの方のために、さらっとstoryを復習できるデータベースを公開しようというのが狙いです。というか、要は忘れっぽい私自身のためのコーナーなのですが(笑)

映画版は「タイトル順」になっていますが、こちらの小説版の方は「作者順」にしたいと思います。アイウエオ順になってますので、気軽に探してみてください。

ただ、やはり完全ネタバレ状態になりますので、未読の方の予習目的でのご利用はあまりオススメいたしません。出来ることならば、復習のために使っていただければと思います。

劇場公開作の紹介が中心の映画版と違って、小説版は、新刊をガンガン紹介するという風にはいかないと思います。というわけで、たとえ古い文庫の紹介ばかりになってしまっても、温かい目で見守ってやってください(笑)
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by inotti-department | 2005-08-12 02:28 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <ア行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。

<い>
・伊坂幸太郎『死神の精度』(2005)  ★★★★★★★★☆☆(8点)
<story> 死神である千葉の仕事は、8日後に死ぬことになっている人間と1週間接して、その人の死について「可」(実行)と「見送り」のどちらが適切かを判断すること。しかし、クールな千葉は、人間の死には何の興味もない。それが仕事だから一応しっかりと調査はするが、それによって「見送り」の結論が出されることはほとんどない。「人間は、いずれ皆死ぬ」それが、彼の基本スタンスだ。彼の楽しみは、音楽を聴くことだけ。そして彼が仕事をするときは、いつも雨が降る。そんな千葉が遭遇する、6つの物語。
①「死神の精度」:調査対象の一恵は、22歳OL。大手メーカーで苦情処理の仕事をしている。仕事内容は精神的にきつく、最近も妙なストーカーに付きまとわれて困っている。その男は、一恵を何度も指名して電話で苦情を言ってきて、しまいには「歌を歌え」という意味不明な要求をしてくるのだという。冴えない日々を過ごしている一恵を見て、千葉は結論をほぼ「可」に固める。そして調査最終日。千葉は、一恵がストーカーに絡まれて困っている場面に遭遇する。しかし、千葉はその男を知っていた。男は、有名な天才音楽プロデューサー。電話で耳にした一恵の声に衝撃を受け、彼女を歌手にするためにコンタクトを取ろうとしていたのだ。千葉は想像する。もし一恵が将来歌手になり、その歌を聴けたら・・・。迷った千葉はコイントスで決めるが、表だったらどちらにするつもりだったのかを忘れてしまう。千葉は決意する。いいか、「見送り」で。
②「死神と藤田」:調査対象の藤田は、やくざ。藤田は、自分の兄貴分を殺した栗木への復讐を企んでいた。藤田を慕う阿久津は、「藤田さんは負けない」と信じて疑わない。しかし、組の親分は、任侠を重んじる藤田に手を焼いており、藤田を罠にはめて殺すことを計画。そして阿久津は、親分から藤田の監視を命じられていた。思い悩んだ阿久津は、栗木を自ら殺すことを決意。千葉とともに乗り込むが、逆に捕えられてしまう。千葉は藤田の電話番号を栗木に教える。阿久津は千葉の裏切りに激怒する。しかし、千葉は知っていたのだ。今日はまだ7日目。藤田が死ぬのは明日だ。だから、藤田は栗木には殺されない。「藤田さんは負けない」そう信じる阿久津のもとへ、藤田は向かうのだった。
③「吹雪に死神」:今回の調査対象は、聡江という老婦人。彼女は夫ともに旅行でとある洋館に宿泊していたが、激しい吹雪でそこの宿泊客たちは誰も身動きがとれなくなってしまう。そんな中、聡江の夫・幹夫が毒で殺される事件が起こる。さらに、元刑事の権藤、若い娘・真由子も続けざまに殺される。千葉は、残された聡江たちの前で推理を披露する。宿泊客たちは全員、真由子を殺すために洋館に集まったのだ。聡江の息子に結婚詐欺を働き、彼を自殺に追い込んだ真由子に復讐するためだ。権藤を殺したのは真由子。権藤に幹夫殺しの犯人と疑われたためだ。真由子を殺したのは、権藤の息子のフリをしていた英一。彼は聡江の息子の親友だったのだ。では、幹夫はなぜ最初に死んだのか?彼は、息子の復讐を自らやり遂げようとし、料理に毒を盛り込んだ。しかし、真由子は死ななかった。なぜなら、その料理を真由子は食べず、代わりに死神である千葉が全て食べたから。そして、不審に思い、毒の確認をしたため、幹夫は死んでしまったのだ。全ての謎が解けた洋館で、千葉は「可」の結論を出すのだった。
④「恋愛で死神」:対象は、荻原という青年。洋服屋で働く彼は、片想いをしていた。相手は、向かいのマンションに住む朝美という女。店員とお客さんとして1度接して以来、ずっと密かに想いを寄せていた。朝美は、悪徳勧誘業者からの脅迫に悩んでいた。荻原はその相談に乗り、2人は意気投合する。千葉は2人の恋を見つめつつ、「可」の結論を出す。荻原は、朝美の部屋に侵入する男を目撃して、彼ともみ合った拍子に刺されてしまう。命を落とす荻原。荻原の死をまだ知らない朝美と会った千葉は、彼女から「以前ある洋服屋で、セール除外品を安く売ってもらった」というエピソードを聞く。彼女は店員の顔を覚えてなかったが、その店員こそ荻原だったのだ。
⑤「旅路を死神」:対象は、森岡という青年。母親を刺し、さらに街で喧嘩した若者を殺し、車で東北へ逃げていた。運転するのが千葉。森岡は、奥入瀬渓流でもう一人殺したいのだという。彼は5歳のときに誘拐された経験があった。そしてそのとき、犯人グループの1人の深津という男が自分を励まし、逃がしてくれたことは、彼にとってその後の人生の支えだった。しかし、森岡が家に帰ると、母親が深津と電話で親しげに話していた。なぜ犯人の1人と母親が?みんなグルだったのか。取り乱した森岡は母親を刺し、深津が現在いるという奥入瀬へと向かうことにしたのだった。しかし、千葉はある仮説を立てる。深津は犯人ではなく、彼もまた誘拐の被害者だったのでは?しかし森岡少年を不安にさせないために、犯人のフリをした。そして、恩人である深津に、母親はずっと感謝し、連絡をとっていたのではないか?真相はわからない。が、とにかく森岡は、深津のもとへ駆け寄るのだった。
⑥「死神対老女」:対象は、海辺の小さな美容院を経営するある老女。彼女は会っていきなり、千葉が人間でないことを見破る。彼女は、これまでに多くの知り合いを亡くしているため死の気配がわかるのだといい、千葉が自分の死を見に来たのだと確信する。老女は、千葉に依頼する。その内容は、街で10代の若者を勧誘して、明後日美容院へ連れてきてほしい」というもの。千葉は、その通りにする。全てが終わり、老女は理由を明かす。彼女には、音信不通の息子がいた。そして彼には子供がいた。つまり、老女の孫だ。その孫が、美容院へ来ることになったのだ。しかし、息子は条件を出した。それは、孫だと名乗らないこと。ところが、美容院には大して客がいない。だから、誰が孫だかわかってしまう。老女は、それが怖かった。だから、千葉に同世代の若者を連れてこさせたのだ。老女がカーテンを開けると、そこには晴れ間が広がっていた。千葉が初めて目にする青空。そして、千葉は気付く。老女の持っている洋服。それは、かつて自分が担当した荻原という青年の片想い相手・朝美が持っていたもの。千葉は、太陽を笑顔で見つめる老女の横顔を眺めるのだった。
<ひとことreview> 最後のエピソードを読み終えたときに浮かんでくるメッセージ。「限りある命。ならば、悔いなきように精一杯生きろ」。精一杯ジタバタ生きてきた老女が、最後に達する悟りの境地。そこに至るために必要なのは、藤田であり、荻原であり、森岡のような生き様なのだ。一見バラバラに思えた6つのエピソードが、最後の最後でひとつに繋がる。老女の正体がエピソード4の朝美で、エピソード1の一恵が6で実際に歌手になっているのは、その象徴だろう。この物語のテーマは、死というものが身近にありながら、それに気付かずに生きている人間の滑稽な姿をシニカルに描くことではない。そんな人間の姿を温かく見つめる、優しくてハッピーな物語なのだ。主人公たちがみな死を迎えながらも、各短編の後味がすこぶる良いのもそのためだろう。もちろん、常にユーモアを忘れない文章の楽しさによるところも大きい。最後、ついに太陽というものを目の当たりにする死神。それは、人間という存在に対する、温かい賛歌のように私には感じられた。

伊坂幸太郎・石田衣良他『I LOVE YOU』(2005)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)

①伊坂幸太郎『透明ポーラーベア』: 優樹には、千穂という付き合って2年の恋人がいる。が、優樹の転勤が目前に迫っており、2人は今後に大きな不安を感じていた。そんなある日、優樹は、デート先の動物園で富樫と再会する。富樫は、5年前に姉と交際していた男。今は、一緒に来ている芽衣子と付き合っているが、現在プロポーズを留保されている状態なのだという。優樹は、姉のことを思い出す。姉は奔放な性格で、手品好きのバーテンダーやギタリストなど、10人以上の男と付き合い、別れるたびに旅に出る習慣を持っていた。富樫は、一番優樹が好きだった人。今度こそ姉が結婚するかと期待したが、やはり別れた。その後、姉は北極に大好きなシロクマ(ポーラーベア)を見に行くと出掛け、以来行方不明になった。優樹は、芽衣子が結婚に踏み切れないのは、姉が原因なのではないかと睨む。芽衣子が、「今日はシロクマを見に来た」と言っていたからだ。一方、優樹たちも、今後の遠距離恋愛を懸念し、微妙な空気になっていた。姉の別れを散々見てきた優樹には、2人の”繋がり”への不安があるのだ。その夜の花火大会。会場では、ウェイターが手品を披露し、ギタリストが音楽を演奏していた。ウェイターは、手品で花束を出して、富樫に渡す。富樫から差し出された花束を、芽衣子は受け取る。そして、会場のギタリストに、優樹は見覚えがあった。彼は、かつての姉の彼氏。そして、ウェイターもまた同じく元彼氏。”繋がり”を感じた優樹は、涙を流す。「大丈夫」優樹は、隣の千穂にそう告げるのだった。
②石田衣良『魔法のボタン』: 彼女にフラれ、傷心の隆介。幼馴染の萌枝と飲み歩き、慰められる。休みのたびに会ううちに、2人の親密度は増していく。そんなある日のデート、萌枝はおめかしをしてくる。さらに、初めて自身の恋愛話を告白。彼女は、大学の4年間、妻子持ちの男と不倫をしていたのだという。萌枝は、”魔法のボタンごっこ”を隆介に提案する。それは、右肩を押すと相手は透明人間になり、左肩を押すと石になるという遊びだ。萌枝は、隆介の右肩を押す。そして、透明人間になった隆介に、想いを告白する。それが終わると、隆介は萌枝の左肩を押す。そして、石になった萌枝を、うしろから抱き締めるのだった。
③市川拓司『卒業写真』: 木内は、同級生の渡辺と、中学卒業以来の再会をはたす。”ミンク”というあだ名の彼は、恋愛感情こそなかったが、気の許せる数少ない異性だった。ミンクから「もうひとりの渡辺が、木内さんを好きだっていう噂があった」という話を聞き、彼女は舞い上がる。もうひとりの渡辺である”かわちゃん”を、彼女は好きだったからだ。しかし、どうも話がかみ合わない。そして、彼女はハッと気付く。彼女は、勘違いをしていたのだ。彼の話に出てきた”渡辺”というのは”ミンク”のことで、実は目の前にいる彼こそが”かわちゃん”だったのだ。「”かわちゃん”が自分を好きだった」という発言に舞い上がった姿を本人に見られてしまったこのに気付き、彼女は恥ずかしさで顔を真っ赤にする。そして、そのことを彼から突っ込まれ、彼女は何も言えなくなる。そんな彼女に、彼は告白する。自分も、ずっと君を好きだったのだ、と。彼からのデートの申し出を、彼女は迷わず承諾するのだった。
④中田永一『百瀬、こっちを向いて』: 大学生の相原は、久々に戻った故郷で神林先輩とバッタリ再会する。出産間近の神林と、相原は高校時代の思い出話に花を咲かせる。神林は、高校時代、相原の幼馴染で兄貴的存在・宮崎と付き合っていた。ある日、宮崎に呼び出され、百瀬という女性と付き合っている演技をしてほしい、と相原は頼まれる。宮崎は、百瀬とも付き合っており、それを神林に隠すために、相原に協力を依頼したのだった。しかし、地味な相原と活発な百瀬では、話も全く合わない。しかし、次第に仲良くなり、宮崎と神林と一緒に4人でWデートしたりする。そのデートのとき、神林は宮崎にほおずきの花をプレゼントする。そんな親しげな2人の姿に、百瀬は取り乱す。相原は、宮崎を呼び出す。相原が、宮崎に意見をするなど、初めてのことだった。宮崎は、相原にとって、かつて命を救ってくれた恩人でもあったからだ。そんな相原の覚悟を知り、宮崎は百瀬に宛てた手紙を彼に渡す。相原は、手紙を持って百瀬のもとへ。手紙を読み、百瀬は涙を流す。宮崎は、神林を選んだのだ。2人の交際はその後もつづき、ついに、神林は宮崎の子を身ごもったのだ。宮崎は、資産家の娘である神林の資金で、父親の会社を建て直した。宮崎は、自分の夢のために、神林を選んだのだ。相原は、神林に聞く。「ほおずきの花言葉は”裏切り”。先輩は、それをあのとき知っていたのでは?」と。微笑む神林。1番の演技派は、実は神林だったのかもしれない。相原は、大学へ通うために東京へ行くとき、ホームで百瀬に告白した。そしてこれから、相原は百瀬に会いに行くのだった。
⑤中村航『突き抜けろ』: 大学生の大野は、彼女と変わった付き合い方をしていた。それは、週3回決まったときにだけ電話して、週1回だけデートするというものだ。一方、親友の坂本は、同じクラスの飯塚に想いを寄せていた。坂本は、毎週火曜日に木戸という先輩の家へ通い、皿洗いや掃除をしていた。大野もそれに同行するようになり、3人は仲を深める。しかし、そんなある日、飯塚に彼氏ができたことが判明。木戸は、その彼氏を殴りに行くと宣言する。大野はそれを止め、木戸をボコボコにする。その後、3人は富士山へ登る。そこで、木戸は言った。「オレは全盛期を過ぎた。でも、必ず這い上がってやる」と。そして、大野と坂本を頂上へ送り出す。しかし、2人は登頂を断念する。その後、坂本には新たに好きな人が。そして、大野は木戸の家へ行く。すると、あれだけ彼の部屋にあった酒が、ついに底をつく。木戸は、「これは何かの啓示だ」と確信する。そして大野は、「今から彼女に電話しなくちゃ!」と思い立つのだった。
⑥本多孝好『Sidewalk Talk』: 彼女との待ち合わせ。彼女は、いつも通り遅刻。でも、こうやって待つのも、もうこれが最後だ。レストランで、離婚届を受け取る。浮気でも借金でもないが、夫婦生活は5年で終わり。「子供がいたら、違ったかしら?」彼女はかつて、流産してしまったのだ。思い出を語り合う2人。彼女に想いを寄せる友人についていったのが、彼女との出会いだった。友人の引き立て役という立場に怒り、高価なネックレスを贈る友人の横から、拾った花を渡した。彼女は、友人ではなく自分に礼を言ってくれた。その後、何度もの偶然の遭遇を経るうちに、それらが全て奇跡に思え、彼女に告白して、交際をはじめたのだった。2人の残り時間は、あとわずか。「会社をやめる」といつになく弱音を吐く彼女に、何も気の利いたことを言ってやれない。2人は、店を出る。これで終わりでよいのだろうか?そのとき、横を通り過ぎた彼女の香りに誘われるように、ある記憶が甦ってくる。初めて、彼女の部屋に泊まった日。彼女は言った。「私は素直じゃないから、うまく謝ったりできない。だから、この香水をつけてたら、心の中で”とめんなさい”って謝ってると思って」と。しかしそれ以来、彼女がその香水をつけることはなかった。「もう少し歩かない?」彼女が提案してきた。見上げると、夜空には、奇跡のような丸い月が浮かんでいる。うなずいて、彼女とともに歩き出す。今夜、奇跡を見つけられるだろうか?と期待しながら。
<ひとことreview> 6人の男性作家による、恋愛短編集。面白い順に、①伊坂→⑥本多→④中田→②石田→⑤中村→③市川。③は、アイデアは良いが、読んでいる側はすぐに”人違い”のトリックに気付いてしまうため、話が意外なほど盛り上がらない。④②⑤は、ほとんど差がない。⑤の荒削りなパワーも魅力的。勇気をもてず冴えない日々を過ごしていた3人それぞれの最後の”突き抜け方”が、とてもユニーク。②は、王道の恋愛もの。話は平凡だが、”魔法のボタンごっこ”を用いた告白シーンが印象に残る。④は、映画のようなドラマチックな展開に、自然と風景が目に浮かんでくる。登場人物のキャラクターもそれぞれ良く、ハッピーエンドを期待させる終わり方も爽やかだ。⑥は、締めくくりにふさわしい良作。ラスト4ページの”香り”のクライマックスが、とにかく見事のひとこと。”別れ”を描きながら”奇跡”を予感させる前向きな終わり方で、読後感がすこぶる良い。そして、なんといっても傑作なのが①。人と人との”繋がり”を描いた、奇跡の物語。テーマもそうだが、構成の”繋がり”も凄い。「成田山の法則」(初詣参拝客は正月三が日に分散し、元旦に集中することはないというバランスの法則)が伏線となった、クライマックスの花火大会。ちょっとした会話や描写が全て伏線となっており、構成に少しも無駄がない。僕たちの人生には別れは付き物だけれど、みんなどこかでずっと繋がっている。作者のメッセージは、いつも温かく、やさしい。伊坂ではじまり本多で終わる、順番の妙。よくみるとただの作者「あいうえお順」なのだから偶然なのだろうが、ひょっとしたら製作側の意図的なキャスティングがあったのかもしれない。だけど、この本を読み終えた僕は、奇跡のような偶然の”繋がり”を、信じてみたい気持ちでいる。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:27 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <カ行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:26 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <サ行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。

<し>
・雫井脩介『犯人に告ぐ』(2004)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
<story> 相模原で発生した、男児誘拐事件。誘拐されたのは、桜川夕起也と麻美の息子・健児。神奈川県警の警視・巻島は、娘の出産を控えて非番だったが、呼び出されて捜査にあたる。身代金受け渡し時の逮捕を狙うが、神奈川県警と警視庁の縄張り争いなどが原因となり、捜査体制に遅れや不備が生じ、接触に失敗する。巻島は、現場の山下公園で不審人物を尾行するが、逃がしてしまう。その後、健児の死体が見つかり、犯人”ワシ”から警察を非難する手紙が届く。巻島は記者会見に臨むが、記者たちの容赦ない追及に逆ギレし、大ブーイングを浴びる。さらに、娘が出産後に危篤状態に陥っていたことから、「他人の子供より自分の子供の方が大事だ」と失言してしまう。その6年後。川崎で連続児童殺害事件が起こる。「ワシ事件」の指揮を採っていた曾根部長は、左遷されていた巻島を呼び戻す。曾根は、捜査の行き詰まりを打破する策として、テレビを利用した「劇場型捜査」を掲げ、その現場指揮を巻島に委ねる。巻島は、まず被害者家族の理解を得たうえで、人気番組「ニュースナイトアイズ」に出演し、情報提供を呼びかける。しかし、それは表向きの理由で、真の狙いは、犯人”バッドマン”からの反応を誘うこと。番組は反響を呼び、続々と手紙が届く。一方、巻島を管理する立場で、曾根の甥である植草課長は、いまも学生時代の失恋を引きずっていた。その相手、未央子は現在アナウンサーで、「ナイトアイズ」の裏番組である「ニュースライブ」のメインキャスター。植草は立場を利用し、事件の情報をちらつかせて未央子に接近する。そんな中、バッドマンから手紙が届く。巻島はそれを番組で公開するが、すると今度は別のバッドマンから手紙が届く。被害者が着ていた洋服の色についてエンジをベージュと書いている以外は、警察と犯人しか知らない事実が記されていた。どうやら、最初のは偽物で、今度のものが本物のバッドマンからの手紙のようだ。植草は、偽物は巻島が書いたと睨み、未央子に疑惑を伝える。「ライブ」がこれを報じ、さらに6年前の不祥事にも触れたことから、巻島バッシングが起こる。そんな中、有賀という男が自殺する。有賀は、”ワシ”の正体と思われ、ずっと警察がマークを続けていた男だ。”ワシ”は自殺したのか?しかしその数日後、”ワシ”から再び手紙が届く。一方、巻島は、バッドマンの反応をさらに引き出すため、犯人に理解を示す発言を番組で繰り返す。さらに巻き起こるバッシング。そして、エスカレートする植草のリーク。巻島は、リーク犯捜しの罠をはる。それは、架空の容疑者を作り出し、その男が映った映像を捏造し、ビデオを1本ずつ植草ら幹部に渡すというもの。一方、植草は、巻島の指紋と偽バッドマンの手紙に残された指紋を照合する。しかし、一致せず、自分の考え違いを知る。「ライブ」は、植草から渡された映像をスクープとして放送する。巻島は、植草がリーク犯だと確信する。そんな中、バッドマンからの手紙が街中で発見される。バッドマンからの連絡が1週間ほど途絶えていたのは、彼が手紙を落としたことで神経質になっていたから。バッドマンの小心者っぷりを見抜いた巻島は、チャンス到来とみて色めき立つ。しかし、植草はこの手紙の存在をも未央子に教えてしまい、巻島は、植草をハメるための罠をはる。別の件で逮捕された男を”バッドマン逮捕”として植草に伝え、そのウソの逮捕映像を「ライブ」は放送してしまう。世紀の大誤報。曾根は、植草をハメた巻島に激怒する。しかし、巻島は「偽バッドマンの手紙を書いたのは曾根部長では?」と追及し、曾根を黙らせる。バッドマン逮捕へ、巻島の作戦は”ローラー作戦”。手紙の発見場所付近にバッドマンの居住地を絞り込み、片っ端から家を訪問して、偽バッドマンの手紙に残された指紋との照合を行うのだ。もちろん、指紋は曾根のもののため、指紋の一致はありえない。狙いは、不審者のあぶり出し。運命の日、バッドマン逮捕の報を待つ巻島のもとに飛び込んできたのは、孫の誘拐事件の発生。ワシから電話で呼び出され、巻島は山下公園へ。そこにやって来たのは、6年前の事件の被害者の父親・夕起也。巻島は、夕起也に刺されて重体に。病院へ運ばれる巻島の耳に、バッドマン逮捕の一報が伝えられる。決め手になったのは、指紋採取を拒否した不審者が、エンジをベージュと言ったこと。意識を取り戻した巻島は、病室へ謝罪に来た夕起也の妻・麻美に、涙を流して謝罪する。その数時間後、事件の被害者の母親の一人が、巻島に事件解決の礼を言いに来る。巻島は、深々と礼を返すのだった。
<ひとことreview> 1章が最高に面白く、グイグイと物語に引き込まれる。被害者救出より犯人逮捕という本音が見え隠れする警察の悪しき体質、他人の弱みにガンガンつけこんでいくメディアの凶暴性、そして、そのドタバタに翻弄される悲しき事件被害者たち。この小説のテーマの全てが、この1章には詰まっている。本筋は、2章以降。公開捜査という斬新な捜査手法を、娯楽性たっぷりに描いていて抜群の読み応え。しかし、警察の捜査のレベルの低さには、なんだかガッカリさせられる(まぁ、フィクションだけど)。とはいえ、「事件解決は被害者のため」という基本的なことを6年かけて取り戻した主人公・巻島の最後の涙には感動させられる。でも、この小説、詰めが甘くて不満もいっぱい。特に、凋落したあとの植草と未央子のシーンがないのは、どうにも解せない。クライマックスに巻島と夕起也の対峙をもってきたのも、テーマを考えれば悪くはないのだが、個人的には巻島VSバッドマンで盛り上げてほしかった。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:26 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <ナ行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。

・法月綸太郎『生首に聞いてみろ』(2004)  ★★★★★★★★☆☆
<story> 作家で探偵の法月綸太郎は、後輩のカメラマン田代の写真展で、顔見知りの翻訳家・川島敦志とバッタリ再会する。会場には、敦志の兄で前衛彫刻家の川島伊作の娘であり、敦志の姪にあたる江知佳も来ていた。2人を見て、敦志と伊作は絶縁状態にあるという噂を綸太郎は思い出す。が、敦志いわく、最近になって和解したのだと聞かされる。そこに、伊作が自宅のアトリエで倒れたという急報が入る。伊作は病気を患っていて、そのまま亡くなってしまう。数日後、敦志に呼ばれ、綸太郎は川島家を訪れる。伊作は生前、長年封印していた新作人体直取り彫刻の制作に没頭していた。彼は21年前に、江知佳の母親の律子が妊娠中に、律子をモデルにした「母子像」という作品を発表していた。今回の作品のモデルは江知佳だったが、そのポーズは21年前の作品と全く同じだった。その新作の首が、何者かによって切られてなくなってしまったのだという。敦志は、江知佳への殺人予告なのではないかと疑い、綸太郎に調査を依頼したのだった。伊作展のプロモーターを務める美術評論家の宇佐美は、「もともと首はなかった」という推理を展開し、綸太郎もその説得力に圧倒される。敦志は、首切りの犯人は堂本というカメラマンだと主張する。堂本は、かつて江知佳にストーカーをしていて、それを妨害した伊作に恨みを持っているのだという。綸太郎は、事件のカギは16年前にあると睨む。伊作は16年前に律子と離婚していた。その原因は、律子の妹・結子と伊作の不倫。結子は伊作の子どもを妊娠し、それに苦しみ遺書を残して自殺したのだという。そしてその半年後、結子の夫・各務と律子が再婚。それ以来、律子は伊作と江知佳の前に現れていないのだという。江知佳が、伊作の葬儀に来た各務に「律子さんに確かめたいことがある」と話したのが、綸太郎は気になっていた。そんな中、江知佳が行方不明になってしまう。江知佳が産婦人科を探していた形跡があることから、綸太郎は江知佳の妊娠を疑う。そして数日後、江知佳の生首が宇佐美のもとに送られてくる。差出人が堂本になっていたこと、残っていた指紋から、警察は堂本を容疑者として捜査を開始。その後、宇佐美も、首のない石膏像を持ち出したまま姿を消してしまう。堂本の女・さやかに話を聞いた綸太郎は、堂本が「江知佳の本当の母親は律子ではなく、死んだ結子だ」ということをネタに、誰かを脅して金を取ろうとしていたことを知る。綸太郎は、結子が通っていた産婦人科を訪ねる。そこには、江知佳も話を聞きにきていた。そこで、院長の口から「結子さんは、義弟に犯されたと言っていた」ということを聞く。警察は、宇佐美を発見する。宇佐美は、堂本と接触しようとしていたところを拘束されたのだ。宇佐美の話を聞き、綸太郎は真相への確信を得る。石膏像の首を切ったのは江知佳。江知佳は自分から堂本に接触し、首を預かってもらった。その首には、目が付いていた。人体直取り彫刻というのは、目が開いていることはありえない。モデルが目を開けた状態で型を取ることは不可能だからだ。方法はただひとつ。死体から型を取ることだ。堂本は、「母子像」というタイトルから、その顔のモデルが結子の遺体から取ったものであることに気付き、結子と江知佳が母子であると推理した。そして、その写真を宇佐美に送り、金を脅し取ろうとしたのだ。写真を見た宇佐美は、堂本とは別の結論に行き着いた。江知佳の本当の母親は、すでに死んでいる。つまり、16年前に自殺したのは実は結子ではなく律子で、いま各務の妻になり律子と名乗っている女性は、実は結子なのではないか、と。律子は自殺に見せかけられ、各務と結子夫妻に殺された。そして、各務夫妻は保険金を手にし、その後結子は律子になり、各務と再婚したのだ。完成した石膏像を見た江知佳もこの真相に気付き、首を切断。その生首を持って各務夫妻を問い詰め、彼らに殺されたのだ。そして、各務夫妻は、その罪を堂本になすりつけようとしたのだ。では、伊作の狙いは何だったのか。彼は、目を開いた母子像によって、各務夫妻の罪を告発しようとした。しかし、なぜ回りくどい方法を取ったのかというと、それは彼もまた16年前の計画の共犯者だったからだ。当時スランプに陥っていた伊作は、どうしても目の開いた石膏像を作りたかった。そのために、死体から型取りしたデスマスクを欲していたのだ。さらに、律子の妊娠を知り逆上し、律子のデスマスクを交換条件に、各務夫妻の計画に乗ってしまったのだ。伊作の罪を知った宇佐美は、それを隠すために、首のない石膏像を運び出したのだった。そして、写真が公表されることを恐れ、堂本と接触しようとしていたのだ。では、死んだ律子のお腹の子の父親は誰だったのか。「義弟に犯された」という証言から、綸太郎は当初、敦志を疑った。そしてそれは、16年前の伊作も同じだった。伊作が敦志と絶縁していたのも、そのためだ。しかし、相手は敦志ではなく、各務だった。各務は律子をレイプして孕ませた。事実を隠したい律子に、結子は、結子になり代わって産婦人科へ行くように持ち掛け、保険証を渡した。それで産婦人科医は、患者は結子だと思い込み、また警察も遺体の女性が妊娠していたことから、自殺したのは結子だとして処理してしまったのだ。結子から「律子の相手は敦志」だと聞かされた伊作は、律子を問い詰めた。「義弟の子か?」と。律子は「義弟」とは「各務」を指しているのだと思い込み、それを認めてしまったのだ。そして16年たち、伊作は自分の勘違いを知った。彼は敦志と和解し、各務夫妻への復讐のため、母子像制作に取り掛かったのだった。
<ひとことreview> 2005年版「このミステリーがすごい!」第一位に輝いた傑作ミステリー。とにかく、緻密。精緻な計算のもと、パズルのようにひとつひとつ謎が解かれてゆく。登場人物たちの謎の満ちた行動も、最後には全て論理的に説明されるので、読み終わって不満や混乱が何も残らない。まさに、本格ミステリーのお手本のような作品だ。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:25 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <タ行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。

<タ>
・ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』(2004)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
<story> ルーブル美術館の館長ジャック・ソニエールが殺された。殺害現場に残されたのは、謎のメッセージ。象徴学者ロバート・ラングドンは、フランス警察のファーシュ警部から呼び出される。ラングドンは、ソニエールとその夜会うことになっていた事件の参考人であり、そして、暗号が象徴するものを読み解く適任者でもあるからだ。そこに現れた女性。彼女は、ソニエールの孫であり、暗号解読官のソフィー・ヌヴー。トイレで彼女と2人きりになったラングドンは、自分が容疑者であることを教えられる。ファーシュは隠しているが、メッセージの最後に「ラングドンを探せ」と書かれていたからだ。2人は、トイレから脱出したフリをして、ファーシュをまく。暗号を並び替えると「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「モナ・リザ」という単語が浮かび上がってくることを解いたラングドンは、「モナ・リザ」の展示部屋へ。そこで、鍵を発見。それは、スイス銀行の鍵。銀行へ行くと、そこには謎の箱と「P・S」の文字。文字を見て、ラングドンは事件の背景に”シオン修道会”の存在があることを知る。シオン修道会は、異教の集団として異端扱いされながら、テンプル騎士団などを組織しつつ、秘密の聖杯”サングリアル文書”を守ってきた。箱の中身は、聖杯への手がかり”キー・ストーン”か?と、ラングドンは色めきだつ。箱を開けるパスワードを解読するため、2人はラングドンの友人リー・ティービングのもとへ。ティービングは宗教学者で、ずっと聖杯について研究している男。ティービングは、聖杯とは、イエス・キリストは神ではなく人間であり、彼にも妻がいたことを示すものであると説明。妻は、聖書の中では娼婦とされている”マグダラのマリア”。ローマ教会は、その存在が明るみに出ることを恐れ、聖書を捏造したのだ、と。3人は、事件の背景には聖杯(つまりマグダラのマリアの血筋であり遺骨)を手に入れたい教会の陰謀が潜んでいると睨む。そこに現れた侵入者・シラス。彼は、過激なキリスト教団”オプス・デイ”の修行僧。さらに迫り来る警察。3人は、ティービングの執事レミーと、捕捉したシラスを連れ、イギリスへ。道中、暗号を解読。中には、さらに箱が。第二のパスワードを解読するため、3人はテンプル騎士団の墓へ。そこで、突然シラスを解放し、寝返るレミー。ティービングを人質に、キー・ストーンを奪う。レミーは、実は”導師”と呼ばれる黒幕に雇われていた。レミーは、キー・ストーンを手に導師のもとへ。一方、シラスもまた導師の指示でオプス・デイの宿舎へ。シラスは、導師の顔を知らない。シラスを利用しきった導師は、彼をはめるため宿舎に警察を呼ぶ。導師の裏切りに気付いた”オプス・デイ”の代表アリンガローサ司教は、シラスのもとへ。しかし、取り乱したシラスは、司教へ発砲してしまう。その頃、導師はレミーを殺していた。レミーが、ラングドンらの前に姿を見せてしまったからだ。レミーは唯一自分の顔を知っているため、始末する必要があると考えたのだ。一方、ラングドンは暗号の意味を理解し、ウエストミンスター寺院へ。そこに現れたティービング。彼こそ、導師の正体だったのだ。ソニエールは、教会の圧力で家族を殺され、聖杯公開をやめてしまった。事件は、聖杯に触れたいティービングが、オプス・デイを利用して起こした陰謀だったのだ。銃をむけるティービング。そこに飛び込んできたファーシュ。アリンガローサと繋がっていたファーシュは、ことの真相に気付いたのだ。ティービングは逮捕される。ラングドンはまたもや暗号を解読し、ロスリン礼拝堂へ。そこにいたのは、ソフィーの弟と祖母。祖母とソニエールは、ソフィーの両親が死んだことで孫たちの危険を知り、離れて暮らすことにしたのだ。奇跡の再会を果たし、家族は喜びあう。そして、結ばれるソフィーとラングドン。しかし、聖杯は見つからない。ホテルへ戻るラングドン。突然のひらめき。ラングドンは、再びルーブルへ。聖杯は、そこにあったのだ。マグダラのマリアの遺骨がすぐそこにあるのを、ラングドンは感じ取るのだった。
<ひとことreview>世界的ベストセラー。それも納得の、魅力的な謎に満ちたミステリー。謎が謎を呼び、箱の中にまた箱があるという展開には「いいかげんにせえよ!」とツッコミたくもなるが、とにかくページを捲る手が止まらない。しかし、その謎とは、決して「犯人が誰か?」ということではない。そんなことはどうでもよい。最大の魅力は、「聖杯探しのミステリー」としてのものだ。西洋史の暗部に潜んだ重大なミステリー。これは歴史好きの人にはたまらない素材だろうし、僕のような宗教的素人にとっては、純粋に色メガネなしで楽しむことができる。犯人逮捕後の展開に”もうひと衝撃”欲しかった感もあるが、余韻の残るエンディングはとても良い。

・天童荒太『包帯クラブ』(2006) ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
<story>高校生のワラは、病院の屋上で不思議な青年・ディノと出会う。その奔放な言動に嫌悪感も覚えるが、柵に包帯を巻いて、その場所に流れる見えない血の治療を行った彼のアイデアに心を動かされる。親友のタンシオが恋愛で傷つき自殺をほのめかすのを見て、ワラは彼女の傷ついた場所に包帯を巻いてみせる。傷が癒されるのを感じるタンシオ。さらに、タンシオの友人・ギモにも同様の行為を見せ、心の傷を癒す。その効果をもっと多くの人に教えてあげたいと考えた3人は、「包帯クラブ」の発足を思いつく。しかし、その前に、ワラは発案者であるディノの許可を得たいと考え、彼を探す。やっとの思いでディノと再会したワラがクラブについて話すと、彼も仲間に入りたいと申し出る。こうして、「包帯クラブ」は4名でスタートするが、ディノは自分が抱える本当の傷についてはワラに話してくれない。「包帯クラブ」のもとにはたくさんの依頼が寄せられ、彼らは多くの人の傷を順番に癒していく。活動は軌道に乗り始めるが、ワラにはあと2人仲間に加わってほしい友人がいた。それは、中学時代の親友であるテンポとリスキ。テンポは進学校へ、リスキは悪い仲間たちとつるむようになり、もう1年ほど連絡をとっていなかった。ワラは久しぶりに2人と会い、クラブの話をするが、テンポは全くとりあおうとはせず、それを見てリスキも激怒する。リスキは自分の傷について話し、ワラたちが巻いてくれた包帯によって救われる。リスキを加えてクラブはさらに活動を広げるが、町にいたるところに放置された包帯に対し、周囲の風当たりは次第に強くなる。さらに、包帯は全員に対して効果があるわけでもなく、クラブは批判によって解散を余儀なくされる。そんなある日、テンポが行方不明になったという連絡が入る。心配したワラは、メールでテンポに呼びかける。最初はうっとうしがるテンポだったが、ワラの優しさを受け、本音を打ち明ける。友人もおらず勉強だけの孤独な日々を過ごすテンポにとって、ワラたちののん気な様子は苦痛でしかなく、クラブを解散に追い込むような噂を流したのもテンポの仕業だった。しかし、ワラはテンポの傷を受け入れ、彼女の傷にも包帯を巻いてあげるのだった。そして、ついにディノも、親友を死なせてしまった自分の傷について話し、そこにも包帯を巻く。こうして、「包帯クラブ」は復活し、町には再び包帯の花が咲き並ぶのだった。
<ひとことreview>名作『永遠の仔』の著者が描く新たな世界。とても優しくて、温かくて、希望を感じさせる小説である。弱者を包み込み、全ての傷を認めて他者と繋がろうとする者たちを描いた物語は、いつもながらの天童ワールドなのだが、なぜか今作からはあまり心揺さぶられるものがなかった。物語があまりにも寓話的すぎて、その中で描かれる傷や癒しの描写に対して、心が入り込んでいけなかったことが原因かもしれない。セリフも文章も、やや説明的すぎたか。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:25 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <ハ行>
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by inotti-department | 2005-08-12 02:24 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <マ行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。

<む>
・村上春樹『風の歌を聴け』(1979)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
<story> 大学が夏休みに入り、生まれ育った街に帰省した”僕”。僕は、友人の”鼠”と毎日酒を飲みながら、とりとめのない会話を交わしていた。そんなある日、行きつけのバーのトイレで、倒れている女性を発見する。小指がなく、左手の指が4本しかない女性。そんな彼女を介抱して家まで送った僕だが、目覚めた彼女からいらぬ誤解を受けて罵倒される。しかし、偶然レコード屋で再会したのをきっかけに、次第に親しくなっていく。いろいろな会話を交わし、互いに距離を縮めていく2人。しかし、突然彼女は、旅行に発ってしまう。一方、鼠もまた、女性との何らかの問題を抱えているらしく、そのことに関しては僕に対して口を閉ざす。やがて、彼女が旅行から戻る。久しぶりに僕は彼女と再会するが、彼女は涙を流し、顔も思い出せない男との間にできた子供をおろしたことを告白する。僕は、彼女とセックスはせずに、一晩ベッドを共にする。夏休みが終わり、僕は街をあとにする。一方、女との不幸な別れを迎えたらしい鼠は、思い立って小説を書き始める。そして冬休み、再び帰省した彼が彼女の家を訪ねると、もうそこに彼女の姿はなかった。そして数年後。彼は結婚し、それなりに幸せな生活を送っている。そして鼠は、今も小説を書き続けている。
<ひとことreview> 村上春樹、伝説のデビュー作。『羊をめぐる冒険』以後の作品に見られるような圧倒的なストーリーテリングの力は、この時点の彼にはまだ欠如している。良くも悪くも、アマチュア的な作品。しかし、その後30年間トップに君臨しつづけている男のデビュー作としてとらえると、やはり感慨深い。そして、気付かされるのは、この作品は彼にとっての「作家宣言」であるということだ。冒頭、彼はこう書いている。「今、僕は語ろうと思う。」語られるテーマは、「喪失の哀しみと孤独。そして、そこからの再生」。自分の前を次々に過ぎ去っていく人々や出来事。そして残されるのは、孤独。しかし、”僕”はその状況を諦めているわけではない。中盤にも、こんな記述がある。「他人に伝える何かがあるかぎり、僕は確実に存在している。」孤独を乗り越えて再生するために、彼は”語り”、”書き”つづけるのだ。そして、そのテーマは、現在も一貫して変わらない。「今、僕は語ろうと思う。」全ては、この宣言から始まった。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:24 | 小説ネタバレstory紹介
小説ネタバレstory紹介 <ヤ・ラ・ワ行>
※完全ネタバレでstoryを紹介しています。未読の方はご注意ください。
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by inotti-department | 2005-08-12 02:22 | 小説ネタバレstory紹介
   
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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