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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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『うつせみ』 ~静かな愛のファンタジー~
e0038935_20393963.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)

『うつせみ』(2004、韓)
    監督 キム・ギドク
    出演 イ・スンヨン  ジェヒ


留守宅に侵入し、まるで自分の家のようにひとときを過ごす。寡黙な青年テソクは、家から家へとバイクで移動しながら、毎日をそんな風に過ごしていた。そんなある日、いつものように侵入したある家で、ソナという女性と出会う。彼女は、夫から暴力を振るわれ、心身ともに深い傷を負っていた。仕事から戻ってきた夫に仕返しをしてくれたテソクに、ソナは次第に心を許していく・・・。


これほどセリフの少ない映画を観たのは、初めてかもしれない。

もっとシンプルなラブストーリーのようなものを想像していたのだけれど、あそこまでいくと、もはやシンプルというかなんというか・・・。最後まで観終えて、結局この映画はひとつの寓話というかファンタジーだったのかな、という印象を抱いた。

そもそも、キャラクターにまったくリアリティが感じられない。映画の冒頭から、僕には主人公のテソクという人間の考えていることが全然掴めなかった。もしも、この映画がセリフを排除していることの狙いが登場人物たちの心理模様をより浮き彫りにすることなのだとしたら、その狙いは僕という観客に対しては残念ながら功を奏さなかった。

おそらく、テソクという人間もものすごく深い傷を持った青年なのだと思う。映画の中ではいっさい彼という人間のバックグラウンドは描かれないが、彼のあの陰影に富んだ表情を見ているだけでそれは伝わってくる。そのテソクとソナが、運命的な出会いをきっかけに互いの傷を癒していく物語ってことなのかな?と、考えてはみるものの、やっぱりリアルじゃないんだよなー。そんなことをぼんやりと考えながら、映画の中の時間に身を委ねていた。

そしたら、あの後半の展開だ。やっぱり、前半に僕が感じていた違和感というのは、見当ハズレなものではなかったんだと思う。ひとりひとりのキャラクター、ひとつひとつのエピソードをリアルに描いていくような映画ではないのだ、この映画は。

とかなんとか言いながら、こういう映画って嫌いじゃないんだけどね。あるひとつの愛を、静かに丁寧に描いていく物語。ひとつひとつの仕草や表情の微妙な変化にまで細心の注意を払って撮影しているのがよくわかる。特に、2人がはじめてキスをするシーン、そしてラストの2人のシーンなんかは、もう素晴らしいのひとこと。

全面的に大絶賛とはいかないが、韓国映画界の奥行きの広さを改めて思い知らされた。
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by inotti-department | 2006-03-28 21:38 | cinema
『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』 ~コケてるのは、サブタイトルのせいだと思う(笑)~
e0038935_22513541.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)

『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005、英=米)
 監督 ニック・パーク スティーヴ・ボックス
 声の出演 ピーター・サリス R・ファインズ

町で最大のイベント「巨大野菜コンテスト」を目前に、人々の胸は高鳴っていた。しかし、彼らを悩ませているのがウサギ。野菜が大好物のウサギたちが、せっかく育てた”作品”を狙っているからだ。発明家のウォレスとその飼い犬グルミットの仕事は、そんなウサギたちを捕捉すること。しかしそんな中、超巨大な”ウサギ男”が町を荒らしはじめる・・・・。


『千と千尋の神隠し』に続いてアカデミー賞受賞が期待された『ハウルの動く城』。そんな日本アニメ界の期待を見事に打ち砕いたのが、実はこの『ウォレスとグルミット』だったって知ってました!?

僕はそのことは一応知ってたのだが、この『ウォレスとグルミット』が世界に何千万人ものファンを持つ超人気シリーズだということは知らなかった。恥ずかしながら。そうなのだ、実は世界的には大変な作品なのだ、この映画は。

にもかかわらず!この日本では、まーーったく話題になってない。「春休みといえばアニメ!」の定説通り、『ドラえもん』も『ワンピース』もきっちりトップ10入りしているというのに、だ(笑)。

ということで、「どんなもんだろ?」と半信半疑で観に行ってきました。

感想。ふむふむ。まずまず面白いッスよ。「世界的な・・・」とか「アカデミー賞最優秀・・・」とか大げさな形容詞がつくほどの傑作だとは思わないが、子供も大人も十分に楽しめるアニメ作品にはなっていると思う。

僕はあまりアニメーションの技術には強くないのだが、こういうアニメを”クレイ・アニメ”というらしい。要するに、粘土の人形を1コマ1コマ動かしながら撮影をしていくというわけ。すごく手がかかっているのだ。だからというわけじゃないが、製作者たちが愛情を注いで作った映像は、たしかにとってもユニークでかわいらしい。

そんな映像の中で躍動するキャラクターたちがとっても良い。ウォレスとグルミットのコンビネーションが最高なのだ。大変な状況なのに妙にポジティブですっとぼけてるウォレスもいいし、頭が切れてやけにシニカルなグルミットも面白い。

作る側は一生懸命やっているのに、じゃあなんでこの春休みにヒットしないのよ!?って、原因はわかってる。タイトルだな、タイトル。

『野菜畑で大ピンチ!』って(笑)。ただでさえアニメの場合、油断すると大人は誰も見向きもしてくれないのだから、宣伝の仕方には細心の注意が必要だ。『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』のピクサーは、そのへんが非常にウマイ。「これは子供向けのアニメじゃないんだよ」ということを、予告編やポスターなどで上手に浸透させる。

それが、『野菜畑で大ピンチ!』って(笑)。これはマズイっすよ。めちゃめちゃ安っぽいもん。いまどき、『週間少年ジャンプ』のマンガのタイトルだって、こんなの付けるまい(笑)。

タイトルだけで食わず嫌いになってる方がもしもいらっしゃいましたら、そこはグッと我慢して劇場へ行ってみてください。後半はやや失速しますが、中盤あたりは笑えるシーンもたくさんあってなかなかのものですよ。
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by inotti-department | 2006-03-25 23:28 | cinema
『博士の愛した数式』~こんな授業があったらいいな~
e0038935_11545276.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

『博士の愛した数式』(2006、日)
   監督 小泉堯史
   出演 寺尾聰  深津絵里  吉岡秀隆


数学教師のルート先生は、新学期最初の授業で自己紹介をする。そこで語られたのは、自分と数学との出会い、彼が「ルート」と呼ばれるようになった理由、そして彼が”博士”と一緒に過ごした日々について・・・。ルートが10歳のとき、母親が家政婦として”博士”の家に通うようになった。博士は、事故の後遺症で、記憶が80分しかもたなかった。ある日、家政婦に10歳の息子がいることを知った博士は、息子も一緒に家に連れてくるように彼女に命じる・・・。


小川洋子のベストセラー小説の映画化。

なかなか良く出来ているのではないだろうか。決して派手さのあるストーリーではないし、同時期公開の『THE有頂天ホテル』と比べると、いかにも話題性に欠ける。でも、地味ながらもロングヒットを続けているのは、この映画がもっているやさしい雰囲気に多くの人が共感したということなんだと思う。それは、原作に関しても全く同じだろう。

ひょっとすると、原作を未読の方の中には、大ベストセラーの映画化ということで大きな期待とともに劇場へ足を運んだ人も多かったかもしれない。そして、「あれ?ずいぶん地味な話だな。原作とは違うのかな?」などと感じたかもしれない。でも、ご安心ください(笑)。原作もこんな感じです。無理に盛り上げず、感動を押し付けようともしない、そういうナチュラルな物語なのだ。

『博士の愛した数式』の最大の魅力は、数学というとっつきにくい題材を扱いながら、立派なエンタテインメントとして成立しているところだと思う。ルート先生の授業、博士の授業。キャラクターたちの数学・数字への愛情が画面いっぱいに溢れていて、それがそのまま観ているこちらにまで伝わってくる。それが、何よりも素晴らしい。

これは、「数学(算数)なんて嫌い!」と思っている子供たちにこそ観てほしい映画かもしれない。僕も決して子供の頃、数学を好きだった人間ではないけれど、この映画の中で語られる数学や数字の話は、もっとずっと聞いてみたいと思った。「子供の頃、こういう授業を受けていれば、いまごろきっと・・・」というのは、ただの言い訳(笑)。

僕が原作を読んで感じた魅力も、これと全く同じだった。そういう意味では、小泉監督が感じたことも同じだったのだろう。数学・数字の魅力をしっかりと映画を通じて伝える。そのことを念頭に作品を作り上げたということが、映画を観ているとよくわかる。例えば、大人になったルート先生の授業を軸に物語を進行させる手法などは、その象徴。これは原作にはない映画オリジナルのシーンだが、結果的には大成功だったと思う。

一方で、僕が原作の中で好きだったシーンがいくつか省略されていたのは少し残念だった。特に、物語の中盤から終盤にかけて、物語を盛り上げる工夫がこの映画には欠けている。映画全体に一貫している”やさしい空気感”が魅力とはいえ、もっと心揺さぶられるような印象的なシーンやエピソードがあってもよかったのかな、と思わなくもない。

俳優陣の中では、大人になったルートを演じた吉岡秀隆が、短い出番ながらも好演。寺尾聰もさすがに上手いが、僕がイメージしていた”博士”像とは少し違った。
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by inotti-department | 2006-03-18 12:15 | cinema
『ブロークバック・マウンテン』 ~驚くほどシンプルな、素晴らしきラブストーリー~
e0038935_22593916.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8点)

『ブロークバック・マウンテン』(2005、米)
   監督 アン・リー
   出演 ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール

1963年、ブロークバック・マウンテン。山でテントを張りつつ羊の世話をする仕事に従事することになったジャックは、そこでイニスという男と出会う。寡黙なイニスと、無邪気なジャック。最初はウマが合わない2人だが、過酷な環境で共に過ごすうち、次第に友情が芽生えはじめる。そして、凍えるほど寒い夜、2人はテントの中で愛を交わす。しかし、互いへの熱い想いを胸に抱えたまま、冬の訪れとともに2人は山を下りる。その後、互いに結婚し家庭を持つが、あの夏のブロークバック・マウンテンでのときめきは、2人の中で消えることはなかった・・・。


今年度のアカデミー賞。作品賞の大本命と言われながら、『クラッシュ』に賞をさらわれてしまった問題作『ブロークバック・マウンテン』。

この映画の何が”問題作”なのかというと、そのテーマ。少し雑な言い方をするけれど、要は「ホモ映画」なのだ。男と男の、禁断の愛。一説によると、保守的なアカデミー会員にとって「同性愛」は受け入れがたいテーマであり、そのあたりが原因で作品賞を逃したのでは、という見方もある。

で、僕の感想。いったい、この映画のどぉーーーこが”問題作”なのさ!全然、何の問題もないよ。何にも過激じゃない。教育に悪いなんてことも全くないし、別に衝撃的なシーンがガンガン続くような映画でもない。もしもこの映画が”問題作”だとみなされたのならば、僕にはアカデミー会員という人たちが全く理解できない。

これは、ラブストーリーだ。驚くほどシンプルで、驚くほどピュアで、そして驚くほど切ない、とっても魅力的なラブストーリーなのだ。この映画の中で描かれる全ての感情が、僕には手にとるように理解できたし、心から共感できた。とても素晴らしい映画だと思う。

「同性愛」というものがなぜ存在するのか、僕にはよくわからない。僕は同性の誰かに対して、女性を好きになるのと同じような感情を抱いたことは1度もないし、おそらく今後もないと思う。でも、この映画を観て、わかったことがある。それは、異性を好きになるのも、同性を好きになるのも、きっかけは同じようなものだろうということ。

たまたま、なんだろうと思う。気が付いたら、自分は同性に対してドキドキを感じる人間になっていた。あるいは、そういう人間なんだと気付いた。それだけのことなんだろうと思う。映画の中のジャックとイニスも同じ。気が付いたら、相手を好きになっていた。気が付いたら、抱き合っていた。「男&男」だろうが「男&女」だろうが、恋愛の始まり方にはなんら変わりがない。

そんな2人を、ブロークバック・マウンテンの雄大な景色が、やさしくやさしく包み込む。美しい。もう何も言葉の必要がないぐらい、ただただ美しい。ホント、いいタイトルだよなぁ。2人の美しい愛の象徴、それがあの美しい景色なのだ。

しかし、一方で、世間は山のようにやさしく2人の愛を受け入れてはくれない。「同性愛」に対する、圧倒的な偏見。嫌悪感。特に、1960年代・70年代というこの映画の時代は、今以上にその風潮は強かっただろう。

そして、愛を素直に受け入れられないのは、何も世間だけじゃない。当の本人たち、ジャックとイニスも同じ。2人も、自分の中に存在する”許されない感情”に戸惑い、悩み、葛藤する。「男&男」と「男&女」の恋愛の唯一にして最大の違いは、その点だろう。愛する2人が、その想いを貫くことさえ、困難になってしまうのだ。

また、苦しむのは何も本人たちだけじゃない。周囲の近しい人たち。彼らもまた、それぞれに葛藤する。イニスの妻。ジャックの妻。イニスの娘。ジャックの両親。スタンスはそれぞれに違うが、彼らもまた葛藤と戦い、思い悩む。

イニスのキャラクターがすごく良い。物静かでクールな男。一見、「ジャックはイニスが大好きだけど、イニスは果たして?」と疑いそうになるほど、彼は気持ちをなかなか表に出さない。その彼が、ジャックと山で別れたあと、激しく号泣する。このシーンの、なんと美しく切ないことか。この瞬間、イニスがどれだけジャックを愛しているかということがはじめて映画の中で明らかになる。

中盤の複雑な感情の揺れにも、そのあまりの切なさに激しく心揺さぶられる。妻との離婚。それでも、彼はジャックのもとに飛び込むことができない。世間と自分とのバランス、娘の存在、そして幼い日に目撃した、同性愛者の殺害現場・・・。

2人の愛に、ハッピーエンディングは訪れるのか?映画の後半には、誰もが願うようになるだろう、2人の幸せを。観客をそういう気持ちにすることが出来た時点で、この映画が「傑作」になることは約束された。

今年のアカデミー賞。『クラッシュ』もたしかに良い映画だ。作品の完成度だけ取るならば、確かに『クラッシュ』に分があるだろう。

でも、個人的な思いを言うならば。『ブロークバック・マウンテン』に、切なくも美しい2人の男性の愛の物語に、それは与えられるべきだったと僕は思っている。

<以下、終盤のネタバレ含みます。未見の方、これから観られる方はご注意ください。>

しかし、2人の幸せを祈りつつも、僕は心のどこかで覚悟していた。2人の愛に、切ない結末が待っているのであろうことを。そして、あっけなく、前触れもないままに訪れる悲劇。悲しんだり、泣いたりする時間さえ与えられない。あまりにも突然の悲劇。

理由はまだいいのだ。そこまでは、まだ。問題は、それが発覚するに至った、その相手。それが、”ジャックとイニス”ではなかったということ。その事実が、もう感情のやり場がないほどに、あまりにも切ない。

そして、ラストシーン。
うまく言えないけれど、これはこれでハッピーエンドなのかもしれないなって、僕はそんな風に感じた。あの瞬間、やっと2人は、全ての制約から解放されて一緒になれたのだから。
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by inotti-department | 2006-03-15 23:49 | cinema
『僕のニューヨークライフ』~ウディ作品はいつも安心~
e0038935_2274174.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)
『僕のニューヨークライフ』(2003、米・英・仏・蘭)
  監督 ウディ・アレン
  出演 ジェイソン・ビッグス ウディ・アレン 
      クリスティナ・リッチ

NYで暮らす駆け出しのコメディライター・ジェリー。彼には、アマンダという同棲中の恋人がいた。奔放な性格のアマンダに振り回されっぱなしのジェリーだが、彼女のことを心底愛していた。しかし、ここ半年、アマンダは彼とのセックスに応じてくれない。ジェリーは、コメディ作家の先輩ドーベルに相談するが、風変わりな性格のドーベルは「彼女は絶対に浮気している」と断言し、一緒にカリフォルニアへ引っ越そうと提案してくるが・・・。


コメディ界の大御所、ウディ・アレン監督の待望の最新作。

まぁ、マンネリというか、なんというか、「これぞ、ウディ・アレン映画!」と言わんばかりのキーワードのオンパレード。ニューヨーク、セックス、精神科医、コメディ作家、ブラックジョーク、ジャズ・・・。

この人が作る映画っていうのは、良くも悪くも似たような雰囲気のものになる。だから、この映画も、「ウディ・アレンいいよね」って人には十分面白いと思うし、「ウディ・アレンは嫌い。わからん」という人には全然楽しめないと思う。まぁ、毎度のことだから、改めて言うこともないんだけれど(笑)。

僕は、もちろん前者。何が好きって、やっぱりあの彼の映画だけが持ってる独特の世界観なんだよね。例えば、冒頭のクレジットの出し方。例えば、バックで流れるジャズのBGM。例えば、時々イヤになるぐらい延々と喋りつづけられるジョーク混じりの会話。要するに、とってもオシャレなのです、僕にとってこの人の映画は(といっても、”新しい”という意味では全くなく。どちらかといえば、あの”クラシック”な感じがオシャレというか)。

この『僕のニューヨークライフ』に関しては、ストーリーや設定のアイデアに特別なユニークさは感じられない。物語だけを追うならば、過去に彼が作ってきた映画群の焼き直しでしかないと思う。その点は、時々こちらが驚嘆してしまうようなユニークなプロットを考えつくウディ・アレンを愛する僕としては、今回はちょっと残念。

<以下、ちょっとだけ終盤の展開のネタバレします。未見の方は、ご注意ください。>

その中で、興味深かったのは、後半の展開。主人公ジェリーがNYを出る、という展開は少し意外といえば意外だったかも。

ウディ・アレンといえば、NY。なんだかんだ言われながらも、彼自身も製作の拠点はずっとNYに置いてきた。その彼の分身とも言える主人公を、NYとバイバイさせるとは。そこで思い出されるのが、2005年製作の『マッチ・ポイント』(今年のゴールデングローブで作品賞にノミネートされるなど、非常に欧米での評価が高い作品。日本では、秋に公開とのこと。)から、彼が製作の拠点をロンドンへ移した、という話。

何か思うところがあったんだろうなー。ひょっとして、彼自身もさすがにマンネリを感じはじめていて、もう1度新しいテイストの映画を作りたいと思いはじめたのかな。もしかすると、そういう彼の想いが、主人公の行動、あるいはドーベルのアドバイスには反映されているのかもしれない。「自分やドーベルとは違う道を、ジェリーには歩ませたい」なんてね。

何はともあれ、相変わらずのウディ節は居心地サイコー。
これからも、オシャレで楽しい映画を作りつづけてほしいものです。
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by inotti-department | 2006-03-11 22:43 | cinema
『クラッシュ』 ~誠実で精巧な”アカデミー賞受賞作”~
e0038935_2147036.jpg満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)

『クラッシュ』(2005、米)
   監督 ポール・ハギス
   出演 サンドラ・ブロック ドン・チードル


夜のLAで起こった1つの交通事故。そこから出てきたのは、黒人刑事ルイスの死体。同じく黒人刑事のグラハムは、捜査に乗り出す。一方その頃、同じLAの様々な場所で、様々な人たちがそれぞれの葛藤と戦っていた。雑貨屋を営むペルシャ人は、イラク人と間違われてテロリスト扱いを受ける。裕福な黒人夫婦は、人種差別主義者の白人刑事から辱めを受ける。若き黒人2人組に車を奪われた夫婦は、家にまで強盗がやってくるのではないかと怯える。それぞれの想いを胸に、彼らは同じ夜を超えていく・・・。


今年度のアカデミー作品賞、受賞作は『クラッシュ』に決まりました!

前評判では、『ブロークバック・マウンテン』が大本命と言われてたので、ビックリした映画ファンも多かったかもしれない。といっても、今年の候補作は日本未公開のものも多かったし、日本人の僕たちにとっては、予想のしようもなかったのだけれど。

ということで、アカデミー賞が発表された翌日、さっそく『クラッシュ』を観てきました!昨年、アメリカで最も評価された映画、その出来栄えはどんなもんざんしょ。お手並み拝見ってな気持ちで劇場へ行ったら、いたいた、同じこと考えてる同類の仲間たちが(笑)。夜8時50分からのレイトショーだってのに、席は半分以上埋まっていたから驚き。相変わらず、日本人は賞に弱い。もちろん、自分も含めて(笑)。

感想。
うんうん、さすがによく出来てます。すごく誠実に作られているし、最後までスキがない構成は見事のひとこと。しかも、後半へ進むに従って映画がどんどん面白くなっていく。とっても、いい映画だと思う。

何が素晴らしいって、やっぱりひとりひとりの人物描写。いろんな登場人物が出てきて、ひとりあたりの持ち時間はすごく限られてるんだけれど、誰ひとりとして”いいかげん”に扱われていない。とても誠実に、丁寧に、全ての人物を映画の中にしっかりと存在させている。

しかも、みんなすごくリアルな人間なのだ。人間って、「この人は善人で、あの人は悪人」なんて単純なものじゃないはずなんだけど、どうしてもフィクションの世界だとステレオタイプな人物設定になりがち。でも、この映画の登場人物たちはそうじゃない。善人かと思ってた人が思いもかけない行動に出たり、その逆もまたしかり。だから、ひとりひとりが抱えている痛みや葛藤が、すごくヒリヒリと観ているこっちに伝わってくるのだ。そういう誠実さこそ、この映画の最も素晴らしいところだと思う。

それにしても、人種差別というのは、すごく難しい問題だ。ましてやアメリカという国には、世界中のありとあらゆる人種が集結している。この『クラッシュ』という映画は、アメリカが抱える闇の部分を、改めて真剣に取り上げて問題提起してみせている。

差別っていうのは、もう人間の性(さが)みたいなものなのかもしれない。って、こんなこと書いたら怒られるかもしれないけれど、そういう面って誰しもが多かれ少なかれ持っているんじゃないかな。例えば、道を歩いていて怖そうな顔したお兄さんが歩いてきたら、なんとなく目をそらしてしまう。例えば、デパートで奇声を発している人がいたら、なんとなくジロジロ見たり舌打ちしたりしてしまう。こういう行動だって、言ってみればひとつの差別みたいなものだと思うのだ。

この映画の中でも、たびたびそういう人間の一面が描かれる。病的なまでに黒人を嫌悪する女性。ペルシャ人を見ただけでテロリスト扱いする人。黒人の女性に権力を振りかざして嫌がらせする白人刑事。自分が黒人だということを誇りに思えず、白人に対して弱腰になってしまう男。などなど。

『クラッシュ』は、そうしたひとつひとつのエピソードに、ほとんど感情を挟まない。クールに、シビアに、一定の距離を置きつつ、エピソードを積み重ねていく。しかし、そうしたエピソードの繰り返しが、やがて大きなエネルギーを持ちはじめる。そのエネルギーが少しずつ解き放たれるとき、無関係に見えた様々な断片が、わずかずつではあるが絡まりはじめるのだ。見事な構成。しかも、その絡ませ方が、すごく自然で、全くいやらしくないのだ。

と、これだけ褒めておいてなんなんだけど、僕はそこまでこの映画が大好きなわけではない。少なくとも、2005年にアメリカで作られた全ての映画の中で、この映画が最も優れた作品だとは僕は思わない。スミマセンね、褒めたりけなしたり落ち着きがなくて(笑)。

うまく言えないんだけど、前半のエピソードの積み重ね方が、個人的にはあまり好きではなかったのだ。「差別」「差別」のオンパレードが、しつこいというかクドいというか。そりゃあリアルな実態を見せるというのはわかるけど、その時間を使って、もっと映画として何かを仕掛けることはできなかっただろうか?何かを訴えることはできなかっただろうか?要求が高すぎるかもしれないけれど、やっぱりアカデミー賞の作品賞を取るような映画には、僕はプラスアルファを求めてしまうのだ。

とはいえ、すごく誠実に、精巧に作られた良作だと思います。
暗い映画だし、辛くなるシーンも少なくないけれど、最後にはほのかな希望も見えてくる。そういう優しさや温かさが少しでも感じられたことが、僕には何よりもうれしかった。
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by inotti-department | 2006-03-08 22:40 | cinema
   
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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