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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:42 | 映画ネタバレstory<ナ・ハ>
<ハ>
・パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(2003、米)    
  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
  監督 ゴア・ヴァービンスキー
  出演 ジョニー・デップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ
<story> 総督の娘エリザベスは、若き提督との縁談を控えながらも浮かない気分でいた。幼い頃に海で救助された青年・ウィル・ターナーのことが気になっているからだ。彼女は、ウィルからもらった黄金のメダルをいまだに大切に身につけていた。そしてウィルもまた、エリザベスに叶わぬ恋心を抱いていた。そんな中、町に海賊ジャック・スパロウがやってくる。一匹狼のジャックは、あっけなく捕まってしまう。その夜、次なる侵入者が町を襲う。バルボッサが率いる海賊軍団だ。彼らの狙いは、メダル。ターナーという名の海賊がメダルを盗み出したことによって呪いにかかった彼らは、生ける屍となってしまった。その呪いを解く唯一の方法は、メダルを元の場所に戻し、メダルの持ち主の血をささげること。彼らは自らを「ターナー」と名乗ったエリザベスをさらい、ブラックパール号に乗せて町をあとにする。彼女を助けたいウィルは、ジャックと手を組み、ジャックのもとに集まった船員たちとともにブラックパールを追いかける。一方ジャックにとっても、バルボッサは因縁の相手だった。かつてブラックパールはジャックの船だったのだが、バルボッサの裏切りによってジャックは船を奪われてしまったのだ。ウィルとジャックはエリザベスを救出するが、今度はジャックが捕らえられてしまう。戦いを挑むウィルら船員たち。しかし、不死身のバルボッサたちには勝てず、ウィルは捕らえられ、ジャックとエリザベスは島流しになってしまう。なんとか島を脱出したエリザベスは、提督を説得し、ウィルの救出に向かう。一方、メダルを盗んだ海賊こそが自分の父親で、海賊たちが欲しているのは自分の血だということに気付いたウィルは、自らの名を名乗り出て事態の打開を図る。しかし、ジャックの裏切りによってあえなく捕らえられてしまう。バルボッサによって生贄になりそうになったそのとき、ジャックが立ち上がる。彼は裏切っていなかったのだ。ジャックはバルボッサを撃つが、不死身の彼は死なない。と思ったそのとき、バルボッサが苦しみはじめる。機転をきかせたウィルの血によって、呪いは解けたのだ。こうして、戦いは幕をとじる。しかし翌日、町では、ジャックの公開処刑が行われようとしていた。海賊には死刑、が鉄則なのだ。刑が執行されるそのとき、ウィルが立ち上がる。つづくエリザベス。2人の熱意に、提督は死刑をとりやめる。さらにウィルはエリザベスにプロポーズし、エリザベスは承諾する。解放されたジャックの目の前に、ブラックパール号が現れる。操っているのは船員たち。ジャックを船長に、船は港を出るのだった。
<ひとことreview> イケイケドンドンの娯楽大作。ストーリー自体はなんだかよくわからないほど大雑把なのだが、この映画はとにかくキャラクターとキャスティングの勝利だと思う。マジメなヒーローを誠実に演じることでジャック・スパロウとのバランスを巧くとっているオーランド・ブルーム。パワフルにヒロインを演じているキーラ・ナイトレイも健闘しているし、ジェフリー・ラッシュのさすがの役作りにも最敬礼。しかし、なんといってもやっぱり、ジョニー・デップだろう。彼のこのアプローチがなければ、ジャック・スパロウはこれほど魅力的なキャラクターにはなりえなかっただろうし、映画自体もあまり印象に残らないものになっていただろう。キャスティング主導の娯楽大作という意味では、近年稀有な作品と言えるかもしれない。

・八月のクリスマス(1998、韓)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 ホ・ジノ
     出演 ハン・ソッキュ  シム・ウナ
<story> 暑い夏のある日。ジョンウォンが経営する小さな写真館に、ひとりの女性が飛び込んでくる。彼女の名はタリムといい、仕事は駐車違反の取り締まり。その日から、彼女は毎日のように店にやってくるようになり、ジョンウォンを”おじさん”と呼び、なついてくる。しかし、ジョンウォンには、彼女の知らない秘密があった。彼は不治の病を患っており、余命いくばくもないのだ。普段は常に笑顔を絶やさず、そんな素振りは微塵もみせないジョンウォン。しかし、親友と飲みに行った夜に、冗談めかして死が近いことを語り、泥酔して交番で暴れてしまう。また、家では、自分が死んだら1人になってしまう父親のために、いつそうなってもいいように、ビデオの使い方などを熱心に教える。しかし、タリムとは、2人で遊園地に行くなど楽しい時を過ごし、自分の病気のことは明かさない。季節が秋になり、ジョンウォンの病気は悪化。ついに入院を余儀なくされてしまう。一方、タリムは異動を命じられる。しかし、彼女がその報告に写真館へ行っても、彼の姿はない。彼女は、彼への手紙を店のドアにはさむ。数日後、退院したジョンウォンが店に行くと、店の窓ガラスが割られている。手紙がいつまでも開封されないことに怒り、タリムが石を投げつけたのだった。ジョンウォンは手紙を読み、返事を書く。それを渡しにタリムのもとを訪ねるが、仕事に夢中な彼女は、彼が来たことに気付かない。ジョンウォンは、黙って彼女を見つめる。店に戻った彼は、自分の写真を撮る。そして時が経ち、彼は死んでしまう。遺影として飾られているのは、彼が自分で撮った写真。季節は冬に移り変わる。タリムは、写真館を訪れる。そこには、ジョンウォンが撮った彼女の写真が。彼女は微笑み、冬の街を歩きはじめるのだった。
<ひとことreview> とても静かな映画。セリフは少ないし、過剰な演出もほとんどない。”不治の病”をテーマにすると、普通ならどこかに「泣きどころ」が用意されるものだが、この映画にはそれがない。そもそも、彼の病名も明かされないし、2人のキスシーンはもちろん、告白シーンすらない。互いが書いた手紙も、映画の中においては読まれることがなく、内容はわからないまま。これほどまでに説明を排除した映画は、最近においてはすごく珍しい。でも、そこがとても良い。余計に、悲しい運命を背負った主人公の姿が、切なく、そして愛しく見えてくる。微笑みを絶やさないジョンウォンの表情が、とても印象的。温かい家族や友人に囲まれ、そしてタリムとの幸せな時間を過ごすことのできた彼の最期は、ものすごく充実したものだったと思う。人生には終わりがあるからこそ、いかに悔いのない濃密な時間を過ごすことができるか、それが大切なのだ。押し付けがましくない優しいメッセージが、とても心地よい。

・バットマン(1989,米)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 ティム・バートン
     出演 ジャック・ニコルソン  マイケル・キートン  キム・ベイシンガー
<story> 犯罪が多発するゴッサム・シティー。そこでは、悪のボス・グリソムが暗躍していた。さて、そんな街で話題になっているのが、謎のヒーロー・バットマンの活躍。敵か味方か?新聞記者のノックスは、美人カメラマン・ビッキーとともにバットマンを追う。ノックスはビッキーに好意を抱いていたが、ビッキーは謎の富豪・ブルースに夢中。一方、グリソムの部下・ジャックは、グリソムを出し抜いてトップになることを企む。しかし、グリソムにそれを見抜かれ、ハメられる。警察に囲まれたジャックは、さらに現れたバットマンに倒され、命を落とす。しかし、池に落ちたジャックは、実は死んでいなかった。ジャックは怪人・ジョーカーに変身し、まずグリソムに復讐する。次の狙いはバットマン。ジョーカーは、バットマンを追いかけるビッキーの美貌にひと目ぼれし、彼女を狙う。ビッキーの危機。そこにバットマンが登場し、ビッキーを救う。ジョーカーは、街に毒をばら撒き、バットマンをおびき出す。一方、ビッキーは、自分に心を開かず、謎の行動を続けるブルースに不満を抱いていた。そんなビッキーにブルースは、「ジョーカーを倒してからだ」と告げる。ジョーカー(ジャック)は、自分の両親を殺した仇。そんなブルースを見て、ビッキーはブルースこそバットマンの正体ではないかと勘づく。バットマンとジョーカーの決戦。バットマンは、ジョーカーをやっつけ、ビッキーを守る。こうして、バットマンは、シティーのヒーローとなった。そしてビッキーは、ブルースの執事の車に乗り込み、「用事があって遅くなる」というブルースの帰還を待つのだった。
<ひとことreview> 奇才ティム・バートンの出世作。バートン監督のオタクパワーが、全編にわたって発揮されている。映像に関しても、いま観ても古く感じないぐらい豪華だし、ストーリーも王道の娯楽作品として十分に楽しめる。ブルースの過去の因縁など、とってつけたようなエピソードが多く、あまり話に深みこそないが。特筆すべきは、なんといってもジャック・ニコルソンの怪演。バットマンのキャラクターがあまりにも地味なため、完全に悪役のほうが目立っている。

・バットマン・ビギンズ(2005,米)  ★★★★★★★★☆☆(8点)
     監督 クリストファー・ノーラン
     出演 クリスチャン・ベイル  リーアム・ニーソン  ケイティ・ホームズ
<story> ブルースは、監獄で謎の男デュカードから声をかけられ、ヒマラヤへ。そこで、謎の秘密結社のボス・ラーズのもと、恐怖に打ち勝つための修行をするブルース。恐怖の源は、幼少時の暗い経験。庭で穴に落ちて、コウモリの囲まれたこと。目の前で、両親を殺されたこと。両親の仇を討とうとしたが、犯人に恨みをもつマフィア・ファルコーニに先を越されたこと。そのファルコーニを前に、何も出来なかったこと。修行を終え、それらの恐怖と折り合いをつけたブルースを、ラーズは悪の道へ誘う。しかし、ブルースはこれを拒絶し、ラーズを倒して山を下りる。ゴッサム・シティに戻ったブルースを、執事のアルフレッドは迎え入れる。ブルースの父が興した会社は、引きついだアールが経営していた。ブルースが戻った目的は、ゴッサムから犯罪を撲滅すること。しかし、ゴッサムには悪や汚職がはびこっていた。ブルースの幼馴染のレイチェルは、検事として、マフィアのボス・ファルコーニらに立ち向かっていた。しかし、戻ってきても遊んでばかりに見えるブルースに、「行動が大事なのよ」と言い放つ。実は、ブルースは、水面下で悪と戦う準備を進めていた。手段は、”バットマン”というシンボルを用いて、悪を掃討すること。さっそく、バットマンに変身して、ファルコーニを逮捕に追いやる。警察は謎のバットマンを要警戒するが、ゴードン刑事だけはバットマンを歓迎する。一方、精神科医のクレインは、ファルコーニを病院へ移送する。レイチェルは、この行動に疑いの目を向ける、病院へ向かう。そこでは、クレインの指示で、毒物が生産されていた。クレインはレイチェルを殺そうとするが、現れたバットマンが救出。クレインは、黒幕はラーズであると告白する。ブルースの誕生日パーティーに、デュカードが現れる。黒幕は彼らの組織だった。目的は、ゴッサムシティを消滅させること。ブルースの会社から盗んだ”水を気化させる機械”を使って、モノレールに乗せて毒を撒く計画を進めていた。混乱する街。そこに、バットマンが現れる。彼は、レイチェルに告げる。「行動が大事だ」と。レイチェルは、バットマンの正体を知る。バットマンは、ゴードンと協力して、モノレールを破壊し、デュカードを倒す。デュカードと通じていたアールを追放して、ブルースは社長に就任する。レイチェルは、彼に言う。「あなたの本当の顔はバットマン。ブルースは死んだ。でも、いつか会えるはず」と。ゴードンは、バットマンを呼び出す。「暴力は暴力を呼び、仮面は仮面を招く。」次の敵は、”ジョーカー”―――。
<ひとことreview> シリーズの”エピソード1”的な作品。バートンが作り上げた世界観とは全く別の形で、ノーラン監督が傑作を作りあげた。娯楽的性格はグッと低くなり、物語は暗く、深く、そして壮大になっている。バットマンが抱える心の闇。恐怖。それに打ち勝ったうえで存在する、ヒーローの強さ。そして、ヒーローであることの孤独。哀しみ。ラストのレイチェルのセリフに、全てが言い表されている。ゴッサムシティの映像イメージも、魅力的で良い。そして、物語自体もよく練られていて、飽きさせない工夫がなされている。また、シリーズのファンへのサービス精神を発揮する余裕も憎らしい。バットモービルの登場、そして、最後の最後で登場する”ジョーカー”。人気シリーズの続編で、しかも途中参加の監督が、ここまで新しく魅力的な世界観を提示してみせた例はあまりない。シリーズに、新しい1ページが刻まれた。

・バットマン・リターンズ(1992,米)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 ティム・バートン
     出演 マイケル・キートン  ダニー・デビート  ミシェル・ファイファー
<story> クリスマスに沸くゴッサム・シティ。怪人ペンギンによる、街の有力実業家マックスの誘拐事件が起こる。ペンギンは、マックスに願い出る。自分を捨てた両親を探し出したいので手伝ってほしい、と。マックスは承知し、市民も同情するが、両親はすでに死んでいた。マックスは、原発建設を計画通りの進めるため、ペンギンを利用することを思いつく。そしてペンギンを市長選に担ぎ出し、市民の支持を集めていく。そんな中、マックスの秘書セリーナは、マックスの計画の真の狙いに気付く。マックスが、不要な原発をあえて建てたいのは、街の電力をそこに蓄えるためだったのだ。マックスにそれを指摘するが、彼によって窓から突き落とされてしまう。一方、ブルースもまた、マックスに疑いの目を向けていた。また、ペンギンが地上に出てきた本当の目的も、両親を探すことではないのではないかと睨む。マックスは、そんなブルースを疎ましく感じていた。そんな中、突然、死んだはずのセリーナが現れ、マックスは驚く。セリーナは、キャットウーマンとして生まれ変わり、夜の街で暴れていた。そして、バットマンの前にも現れる。しかし、バットマンにあっさりやられ、キャットはペンギンと手を組むことに。作戦は、バットマンを悪役に仕立てること。そして、バットマンの運転する”バットモービル”を遠隔操作すること。一方で、セリーナとブルースは、互いの正体を知らぬまま惹かれあっていた。しかし、重大な隠し事のために、一線を越えられない。再び夜の街で遭遇したバットマンに、キャットは口づけする。一方、キャットとペンギンは仲間割れ。ペンギンは、バットモービルを操って、バットマンに攻撃する。なんとか生き延びたバットマンは、ペンギンに反撃。ペンギンの本性を市民に暴露し、ペンギンは市民の信頼を失う。マックスも、そんなペンギンを見放す。怒ったペンギンは、真の計画を実行にうつす。それは、街中の長男たちを誘拐して、自分と同じ目にあわせるというものだ。一方、セリーナとブルースは、マックスのパーティーでキスを交わした際に、互いの正体に気付いてしまう。パーティー会場を、ペンギンが襲う。ブルースはバットマンに変身し、激闘の末、ペンギンを倒す。キャットは、マックスへの復讐を果たそうとする。バットマンの仮面をはずして、止めようとするブルース。しかし、セリーナはそれを拒絶し、マックスと戦う。そして、自爆する。帰り道で、ブルースはキャットウーマンらしき女性を目撃する。慌てて駆け寄るブルース。しかし、そこには、黒猫がいるだけだった。ブルースは、猫を拾って帰路につくのだった。
<ひとことreview> シリーズ第2弾。キャラクターのインパクトでは前作には及ばないものの、ストーリーの面白さはアップしている。ペンギン、キャットウーマン、マックスが入り乱れて、見せ場も盛りだくさん。バートン監督ならではの、こだわりの映像美も健在だ。基本的には娯楽作なのだが、話のテーマは意外に深く、そして哀しみに満ちている。ペンギンという存在の哀しみ、そして、バットマンとキャットウーマンが抱える宿命の哀しみ。2人は愛しあいながらも、仮面を持つ者の宿命を背負っているため、想いを実らせることができない。後の『スパイダーマン』シリーズにも繋がるような、ヒーローであるということの切なさが、しんみりと綴られている。

・ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005、米)★★★★★★☆☆☆☆(6点)
   監督 マイク・ニューウェル
   出演 ダニエル・ラドクリフ  エマ・ワトソン
<story> クィディッチW杯の観戦に出掛けたハリーらの前に、突然現れた「闇の印」。それは、ヴォルデモート復活を告げるものだった。ハリーらがホグワーツへ戻ると、ダンブルドア校長は「三大魔法学校対抗試合」の開催を宣言する。魔法省のクラウチ氏も登場し、代表を選出する”炎のゴブレット”によって各校から1名ずつの名前が示されるが、最後にもうひとり追加される。そこに記されていたのは、ハリーの名前。こうして、ハリーを含めた4人による対抗試合がスタートする。しかし、17歳以上という年齢条件を満たしていないハリーの出場に関して、周囲はやっかみの声を上げる。そしてそれは、親友のロンも同様だった。第1の課題は、ドラゴンとの戦い。ハリーは苦戦するも、事前に情報を得ていたこともありクリア。実はこの情報を他人経由で伝えていたのはロン。ハリーとロンは、仲直りする。第2課題の前に、ダンスパーティーが開かれる。ハリーは、密かに想いを寄せるチョウにパートナーを頼むが、先約ありと断られる。一方ハーマイオニーは、代表の1人でもある人気者・クラムとダンスを。激しく嫉妬するロンに、彼女もまた怒り交じりに、本当はロンから誘ってほしかったことを仄めかす。第2の課題でも、他の代表者を救出してクリアするなど活躍したハリー。最後の課題は、不気味な迷路からの脱出。校内でクラウチ氏が殺される事件が起きたこともあり、厳戒体制の中で開催される。そこに現れたのは、ヴォルデモート。アズカバンを脱出したクラウチ・ジュニアが、忠実なしもべとなって復活させたのだ。ついに人間の姿となって現れたヴォルデモートからどうにか逃れ、ハリーは課題をクリアする。しかし一方で、もう1人のホグワーツ代表・セドリックは命を落としてしまう。いよいよ復活したヴォルデモートとの対決の日が迫っていることを、ハリーはひしひしと感じるのだった。
<ひとことreview> ハリポタ第4弾。壮大なシリーズもいよいよ折り返しとなり、とうとうヴォルデモートが完全に復活。物語が本格的に動き出したという意味では、非常に重要な作品になりそうだ。しかし、一方で、『アズカバン』でも感じた物足りなさは今回も消えず。長い原作をある程度忠実に再現しようとすると、どうしても”浅く広く”なるのは避けられないだろうが、もう少し話に奥行きがほしい。原作を読んでみると、映画では気付けなかった発見がきっとあるのだろう。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:41 | 映画ネタバレstory<ナ・ハ>
<ヒ>
・ヒトラー ~最期の12日間~(2004,独)  
                   ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
     出演 ブルーノ・ガンツ  アレクサンドラ・マリア・ララ
<story> 1942年、ユンゲはヒトラーの個人秘書として採用される。それから2年半後、ヒトラーとユンゲは、彼の腹心たちとともにベルリンの地下要塞に身を潜めていた。ドイツの戦況は悪化し、敗戦は目前。部下たちは降伏を提案するが、ヒトラーは全く聞く耳をもたない。しかし、彼が心の拠り所にしていた攻撃作戦が失敗に終わり、ヒトラーもついに敗戦を認める。ヒトラーはユンゲにベルリン脱出を勧めるが、彼女はヒトラーとともに残ることを決意する。その後、忠臣のヒムラーも裏切り、ヒトラーは自殺の準備を進める。愛人のエヴァと結婚し、彼女とともに死ぬことを決める。ヒトラー、自殺。彼の遺体は、すぐに部下によって火葬処理される。ヒトラーの死後、部下たちは、降伏か抗戦かで意見が対立。しかし、抗戦しても無駄なほど軍は弱体化しており、ついに全面降伏する。ヒトラーを崇拝するゲッベルス夫人は生きる希望をなくし、6人の子供を毒薬で殺したあと、夫とともに自殺する。さらに多くの者たちが、降伏よりも自殺を選ぶ。ユンゲは、ソ連の包囲網をかいくぐり、ベルリンを脱出。その後、60年近く、若き日の過ちに対する罪悪感を背負いながら生きたのだった。
<ひとことreview> あまりにも、重い映画。世界史に突如現れた怪物として語られることの多いヒトラーを、神経質で臆病で、そして女性に対する優しさを持ちあわせた1人の人間として描いている。「ヒトラーってのは、とんでもない奴だったんだねー」と、全ての原因を彼に求めてこの映画を処理することは簡単だ。でも、監督が言いたかったのは、そういうことではないはず。誰もが怪物を生む要因になりうるし、同時に誰もが自分自身が怪物になる可能性をもっている。映画の語り部であるユンゲは、その後、何も知らずにヒトラーを敬愛していた自分自身を、ずっと責めつづけたことだろう。ことは、ヒトラーだけの問題ではないのだ。これからもし、戦争が起こったとして、そのとき僕らは、何に原因を求めるのだろう。テロリスト?独裁者?マスコミ?問われているのは、僕たちひとりひとりの心、なのだ。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:40 | 映画ネタバレstory<ナ・ハ>
<フ>
・武士の一分(2006、日)  ★★★★★★★★☆☆(8点)
   監督 山田洋次
   出演 木村拓哉 檀れい 笹野高史
<Story> 藩主の食事に毒が盛られていないかを調べるのが仕事の”毒見役”三村新之丞。貧しい下級武士ながらも、妻の加世、中間の徳平と幸せに暮らしていた。ある日、いつものように毒見をした新之丞は、突然苦しみ始め意識を失う。藩主暗殺を狙ったものではなく毒性を持つ食材が盛られていただけと判明し、城内にはホッとした空気が流れるが、新之丞はこの毒が原因で視力を失ってしまう。何も見えなくなった新之丞は切腹自殺を考えるが、「ずっと側にいる」と固く誓う加世の言葉を受け、生きる決意を固める。一方、三村家の親戚たちは緊急会議を
開く。新之丞が働けなくなったこのままでは、家名も財産も取り上げられてしまう可能性が高い。危機感を抱く一同だが、加世が藩の有力者である番頭・島田と知り合いであるという話を聞き、島田に相談するよう加世に命じる。数日後、藩主から「三村の家名は存続。新之丞は静かに養生せよ」との言葉が届けられ、新之丞は大いに喜ぶ。そんな新之丞のもとを、叔母が訪れる。「加世が男と茶屋に入っていくところを目撃した」という。新之丞は信じようとせず叔母を追い払うが、やはり気になり徳平に加世の後をつけさせる。すると、やはりその日も加世は男と茶屋に入っていった。新之丞にバレたと知った加世は、観念して全てを正直に打ち明ける。親戚の命令で島田の屋敷へ相談に行ったこと。島田は藩主への口添えを了承した代わりに、加世の体を求めてきたこと。その後3回、島田に抱かれたこと。ショックを受けた新之丞は、加世に離縁を言い渡し、彼女を家から追い出す。徳平と2人の生活になった新之丞は、刀をとり稽古を始める。そして友人に、藩主が自分に恩赦を与えた経緯の調査を依頼する。友人の報告は、「藩主自身が、自分の命を救ってくれた三村の働きへの感謝の気持ちとして決断した」というものだった。島田は口添えなどしていなかったのだ。新之丞は、徳平に頼み、島田に果し合いを申し込む。剣を向け合う島田と新之丞。相手の目が見えないのをいいことに卑怯な戦法をとる島田を、新之丞は一太刀に倒すのだった。島田は、辛うじて残っていた武士の誇りを胸に、新之丞の名を誰にも語らず自害する。数日後、徳平のヘタな食事に苦しむ新之丞を見かねて、徳平が新しい女中を連れてくる。女中の作った食事を口にする新之丞。新之丞は、徳平に女中を自分の隣に連れてくるよう命じる。女中は、戻ってきた加世だった。新之丞には、ひとくち口にしただけで、誰の作った食事かがわかったのだった。2人は抱きしめ合い、再び共に暮らしはじめるのだった。
<ひとことreview> 山田洋次の時代劇3部作最終章。主演に木村拓哉を起用した渾身の一作は、実にエンタテインメント性豊かな快作に仕上がっている。『たそがれ』のような深みにこそ欠けるものの、娯楽性という意味では3部作の中でもピカイチではないだろうか。実にシンプルかつ力強い、愛と誇りの物語である。木村が予想以上の好演。テレビではいつも同じ演技のキムタクだが、サムライ役はなかなかのハマリ役。もともと武士道を感じさせるタイプの男なだけに、やわい現代劇よりはよっぽど時代劇の方がピタっとくるのかもしれない。檀れいの美しさ、笹野高史の飄々としながらも真っ直ぐな演技も印象的。

・フライ、ダディ、フライ(2005,日)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 成島出
     出演 岡田准一  堤真一  松尾敏信  星井七瀬
<story> 平凡なサラリーマン鈴木は、愛する妻と娘とともに幸せな毎日を過ごしていた。しかし、そんな平凡な日常に、突然悲劇が起こる。高校生の娘が暴行され、入院してしまったのだ。暴行したのは、インターハイ連覇のボクシング高校王者・石原。石原に復讐するため、鈴木は包丁を手に学校に乗り込むが、間違えて隣の学校に行ってしまう。さらに、そこにいたひとりの男子学生に殴られ、気絶してしまう。その学生の名は、朴舜臣。彼に喝をいれられた鈴木は、舜臣の指導のもと石原に素手で勝つためのトレーニングをすることに。舜臣らとの友情を深めつつ、次第に強さを手に入れる鈴木。そしてついに、石原との一騎打ちに挑む。鈴木は石原を素手で倒し、娘を迎えに行くのだった。
<ひとことreview> 真っ直ぐで力強い物語。愛する者を守るために必要な、本当の強さとは何か。鈴木のトレーニングとは、石原を倒すためのものだったのではない。愛する家族を守るためのものだったのだ。ストーリーに驚きこそないが、観ていて元気になる熱い物語だ。

・フライトプラン(2005、米)   ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
    監督 ロベルト・シュヴェンケ
    出演 ジョディ・フォスター ショーン・ビーン
<story> 滞在先のドイツで夫を亡くした航空機設計士のカイルは、悲しみに打ちひしがれながら、娘のジュリア、そして夫の遺体とともにNY行きの飛行機に乗る。睡魔に襲われウトウトしてしまったカイルが目を覚ますと、ジュリアの姿がない。機内の保安官カーソンや機長の協力によって機内をくまなく捜すが、どこにもいない。それどころか、ジュリアを見た記憶のある者すらいない。不審に思った乗務員が調べると、ジュリアの搭乗記録自体がないという。混乱するカイルに、乗務員のステファニーからさらに衝撃の新事実が告げられる。ジュリアも夫とともに、6日前に亡くなっているというのだ。ショックで気を失うカイル。しかし、機内には、ジュリアのぬいぐるみがあり、さらに窓にはジュリアが描いたハートマークが。絶対にジュリアは機内にいる、そう信じて再び走り出すカイル。機内を停電させ、機械室へ。すると、そこにはやはり夫の棺しかない。やはりジュリアはどこかにいる。一方、カイルの暴走を重く見た機長は、飛行機を緊急着陸させることを決断。すると、カーソンから機長に進言が。カイルは機内に爆弾を仕掛けており、本当の狙いは身代金なのだという。送金を指示し、カイルが油断したスキに着陸先で逮捕するというプランをカーソンは提案、機長も了承する。しかし、実はこれはカーソンの策略。ジュリア誘拐事件は、カーソンが乗務員のステファニーを巻き込んで仕組んだものだったのだ。全ての罪をカイルに背負わせ、飛行機をジュリアごと爆破し、金をせしめる。これがカーソンの計画で、カイルの夫を転落死させたのも彼の犯行だった。こうして、飛行機は緊急着陸。しかし、カーソンが降りる直前、カイルは彼の陰謀に気付く。激しくつかみあうカイルとカーソン。そしてついに、カイルは機械室でジュリアを発見。爆弾を爆発させてカーソンを倒し、ジュリアを抱いてカイルは脱出。母の強さに、乗客や乗務員たちは驚嘆するしかなかった。
<ひとことreview>パーフェクトな前半に、イヤでも高まるオチへの期待。うーむ。うーむ。さんざんあおったわりには・・・・、というのが正直な感想。犯行計画に説得力がないし、そもそもなんでそんな方法を犯人はとる必要があったのか?その点に対する説得力にやや欠けたか。とはいえ、プロセス重視で楽しめれば、ごくごく上質な一級のエンタテインメント映画。

・プライドと偏見(2005、英)  ★★★★★★★★☆☆(8点)
   監督 ジョー・ライト
   出演 キーラ・ナイトレイ マシュー・マクファディン
<story> 18世紀末、イギリスの田舎町。ベネット夫人の専らの関心事は、5人の娘を良家に嫁にやること。ベネット夫妻には息子がいないため、当時の慣習で女性には相続権がないことから、夫が死んだら家を他人に譲らなければならないからだ。そんな中、大富豪のビングリーが、妹と親友のダーシーと共に町へ越してくる。色めきたつベネット家の女性たち。さっそく開かれた舞踏会で、長女のジェーンとビングリーが打ち解け、夫人は大喜び。しかし、次女のエリザベスは、2人の恋は応援するものの、ダーシーの高慢な態度が気に入らない。後日、ジェーンのもとにビングリーから招待状が届く。夫人は娘を派遣し、風邪をひいてしまったジェーンは数日間ビングリーの屋敷に泊まることに。エリザベスは姉の様子を観に行くが、頭はキレるが勝気な彼女は、やはり高慢なダーシー、そして身分の低いベネット家を軽蔑する妹とぶつかってしまう。そんな中、町に将校たちがやってくる。またまた興奮するベネット家。エリザベスも、好青年のウィッカムと接近する。ウィッカムは、ダーシーの知り合いらしく、かつてダーシーに裏切られた経緯を彼女に説明する。その後に開かれた舞踏会にウィッカムが現れなかったことから、彼女はダーシーを強くなじる。家に戻ったエリザベスを待っていたのは、コリンズからの求婚。彼はベネット家の遠縁にあたり、父の死後は彼が家を相続することになっている。コリンズとしては、娘たちの誰かと結婚し、家を継いだあとも彼女たちの面倒をみたいという思いがあったのだ。しかし、このコリンズ、非常識で空気が読めずデリカシーもないため、姉妹は全く相手にしていなかった。即座にプロポーズを断るエリザベスを、母は激しく責める。しかし一方、本当に好きな人と一緒になってほしいと願っている父は、彼女の選択を支持する。結局、コリンズはエリザベスの親友シャーロットと結婚。一方、ビングリーは、進展しないジェーンとの恋に見切りをつけるかのように、ダーシーとともに町を離れ、ロンドンへ向かってしまう。シャーロットの新居を訪問したエリザベスは、そこでバッタリ、ダーシーと再会する。ダーシーの伯母であるキャサリン夫人から教育のなさを蔑視されながらも、しっかりと自分の意見を主張して譲らないエリザベスの芯の強さに、ダーシーは惹かれはじめる。しかし、ジェーンとの恋を諦めるようにビングリーに進言したのがダーシーだという事実をエリザベスは知り、ますます彼のことを軽蔑する。ダーシーはエリザベスに想いを告白するが、彼女は「あなたは私が一番結婚したくない人」と残酷な言葉で断る。翌日、ダーシーが手紙をもって彼女のもとへやってくる。そこには、ウィッカムに裏切られたのは自分だということ、そしてジェーンの件は、彼女には全く気がないと誤解したダーシーが親友のことを想って助言したのだという真実が書かれていた。動揺するエリザベス。彼女は、叔父夫婦と出掛けた旅行先で、ダーシーの実家を訪問する。気立てのよい彼の妹と会い打ち解けるが、ダーシーとはどこかギクシャクしてしまう。そんな中、事件が起こる。妹のリディアが、駆け落ちしたというのだ。しかも、あろうことか、相手はウィッカム。必死に捜索するベネット一家。叔父が多額の持参金を負担してくれたおかげで、ウィッカムとリディアは結婚することに。誇らしげに帰還した娘を、大喜びで迎える母。しかし、エリザベスは妹の口から驚くべき事実を耳にする。結婚式の費用を負担してくれたのは、ダーシーだというのだ。しかも、そのことは誰にも言わないでくれと口止めされたのだという。そんな中、町に再びビングリーとダーシーがやってくる。ビングリーは、ついにジェーンに想いを告げ、彼女もそれを受け入れる。エリザベスは自分のことのように喜ぶが、その夜、キャサリン夫人が彼女のもとを訪ねてくる。自分の娘とダーシーを婚約させていた夫人にとって、ダーシーとエリザベスの間の噂が我慢ならなかったのだ。さんざん罵られるエリザベスだが、「ダーシーと結婚しないとは約束できない」とハッキリと告げて夫人を追い返す。彼女のもとに、ダーシーがやってくる。改めて、告白するダーシー。エリザベスは、想いを受け入れる。やっと本当に愛する人を見つけた娘を、父親も心から祝福するのだった。
<ひとことreview> とっつきにくい格調高き文芸作品かと思いきや、まぁ面白いのなんのって!昼メロ・チックなストーリーよし、魅力的なキャラクターよし、映像・衣装のこだわりよし。恋愛映画の教科書のような、繊細な脚本と気のきいたセリフまわしも素晴らしい。とりわけ、主人公エリザベスのキャラクターがすごくよい。彼女の人物的な魅力もあるけれど、演じたキーラ・ナイトレイによる貢献も大。筋が通っていて聡明で、でも恋にはピュアで不器用な面もある彼女の魅力を、完全に自分のものにして表現していた。ドナルド・サザーランド演じる父親も最高!ボーっとしてそうで、でもすごく芯が強くて、とっても家族想いで。いっぱい笑って、いっぱいイライラして、そして最後はハッピーな気持ちになれる、文句なしに素敵な恋愛映画。

・プラダを着た悪魔(2006、米)   ★★★★★★★★☆☆(8点)
   監督 デビッド・フランケル
   出演 メリル・ストリープ アン・ハサウェイ
<Story> 名門大学を卒業しジャーナリストを志望するアンディは、NYの一流ファッション誌「ランウェイ」の第二アシスタント採用試験を受ける。第一アシスタントのエミリーは、アンディのダサイ服装を見て帰るように命じるが、編集長ミランダの判断で採用される。喜ぶアンディだが、その仕事内容は過酷そのもの。ミランダは鬼編集長として知られ、無謀な注文を矢継ぎ早にまくしたてられ、アンディはマトモに応えることができない。恋人のネイトも、休日にも電話でミランダに呼び出されるアンディが心配でたまらない。あるミスがきっかけでミランダを失望させたアンディは退職を考えるが、ミランダの片腕のディレクター・ナイジェルに「甘えるな」と言われ、もう少し頑張ってみようと決意する。その日から、アンディは豹変する。ナイジェルにお願いしてオシャレな洋服を貸してもらい、仕事もミランダの要求の一歩先を読むスピードでこなしていく。そんなアンディに、ミランダは次第に強い信頼を置くようになる。そんな中、ファッション業界最大のイベントであるパリコレの開催が迫ってくる。ミランダは、「パリには最も信頼できる人間を連れていく」と語り、アシスタントにアンディを指名する。しかし、アンディはエミリーがパリ行きを励みにずっと頑張ってきたことを知っているだけに、素直に喜ぶことができない。アンディがエミリーに自分のパリ行きを告げようとしたそのとき、エミリーが交通事故に遭ってしまう。こうして、アンディがパリに行くことに。しかし、恋人のネイトは仕事一辺倒で自分の誕生日すらマトモにデートしてくれないアンディに嫌気がさし、パリ行きの前に別れを告げる。パリでも、アンディはしっかりとアシスタントの仕事をこなす。さらに、ナイジェルから「新しく立ち上がるブランドのプロジェクトに抜擢された」という話を聞き、共に喜ぶ。そんなアンディに言い寄ってきたのが、エッセイストのクリスチャン。彼には、以前にミランダから「子供たちにハリーポッターの発売前の新作を読ませたい」という無謀な命令をされたときに、助けてもらったことがあったのだ。アンディは、クリスチャンとひと晩関係をもってしまう。翌朝、アンディはクリスチャンから驚くべき陰謀を聞かされる。「ランウェイ」の会長が、ミランダを解任し、新しい編集長を立てようとしているというのだ。アンディはこの話をミランダに教えようとするが、うまく伝えることができない。そして、パーティーの席で、新ブランドのプロジェクトメンバーが発表される。しかし、そこで呼ばれたのは「ナイジエル」の名ではなく、新編集長候補といわれた女だった。ミランダは全てわかっていて、裏で手を回していたのだ。女に高い報酬をチラつかせ新ブランドの方に就任させ、編集長交代の話を闇に葬る。それが、彼女のしたことだった。ミランダは、自分を助けようとしたアンディに感謝し、「あなたは私に似てる」と告げる。しかしアンディは、ナイジェルを犠牲にしたミランダを責めるが、ミランダは「あなたがエミリーにしたことと同じ」と話す。この言葉を受けたアンディは、ミランダの元をそっと去る。数日後。アンディはネイトと復縁し、新聞社の試験を受け合格する。新聞社の幹部から「ミランダから”君を採用しなかったら大バカ者だ”と言われた」と告げられる。帰り道、アンディはミランダと遭遇する。視線をかわす2人。ミランダは一瞬微笑み、そして車で走り去るのだった。
<ひとことreview> とても完成度の高いライト・コメディ。音楽・ファッション・ストーリーなどどれもセンスがよく、高いレベルでミックスされている。特に素晴らしいのが、女優陣の演技。メリル・ストリープの圧巻の鬼編集長ぶりは間違いなくアカデミー賞ものだし、それを引き出しているのはアン・ハサウェイのフレッシュでキュートな魅力。驚きこそないが、期待通りに楽しませてくれるエンタテインメント・ムーヴィーになっている。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:40 | 映画ネタバレstory<ナ・ハ>
<ヘ>
・蛇イチゴ(2002、日)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
   監督 西川美和
   出演 宮迫博之  つみきみほ
<story>小学校教師の明智倫子は、真面目一徹のサラリーマンである父と、痴呆の祖父の面倒を一手に引き受ける献身的な主婦である母と、平凡だが温かい家庭で幸せに暮らしていた。倫子は、婚約者である同僚教師の鎌田を家族に初めて紹介するが、裕福な家庭で育った鎌田も、倫子の家庭の温かさを好意的に受け止める。しかし、明智家には2つの秘密があった。1つは、倫子の兄・周治の存在。周治は、学生の頃から親を騙して学費をネコババするような問題児で、10年ほど前に父に勘当されて行方知らずになっていた。そしてもう1つの秘密。これは、倫子も母も知らないことだった。父は、実はずいぶん前に会社をクビになっており、それを隠して生活を取り繕おうとして借金まみれになっていたのだ。そんな明智家の見せかけの平和は、祖父の突然の死により、終焉を迎える。祖父の葬儀の日、借金取りが葬儀場に乱入し、父の秘密が全て明るみに出てしまったのだ。借金取りに追い詰められた父を救ったのは、偶然そこに居合わせた周治だった。周治は弁護士のフリをして、借金取りを追い返す。その夜、久しぶりに家族4人が同じ屋根の下に顔を合わせる。そこに、再び借金取りが現れる。周治は懐から120万円を取り出し、父はそれを借りてひとまず借金取りを追い返す。周治は、借金の返済は不可能と判断し、父に破産を勧める。さらに、財産の名義を周治に移してしまえば、今と変わらない生活を送ることができる、と。思考能力が停止してしまった父母は、この周治の提案に賛成する。一方、倫子は鎌谷に呼び出され、家族ともどもウソつき呼ばわりされ傷つく。帰宅する途中、ラジオから飛び込んできたのは、葬儀場で香典泥棒が連続発生しているというニュース。倫子は、その犯人こそ周治であると確信する。家についた倫子は、母と周治の会話を聞きショックを受ける。「倫子は優等生すぎて息がつまる。あの子は嫁に出て行くから、周治は戻ってらっしゃい」というのだ。倫子は、周治が風呂に入っている隙に、「周治を警察へ突き出して、3人でやり直そう」と提案するが、父は「倫子は家を出て、幸せになれ」と言い放つ。両親が寝たあと、兄妹は語り合う。倫子は「お兄ちゃんはいつもウソばかり」と周治を責め、周治は「倫子はいい子。お前がウソをついたことは一度もない」と認める。倫子は、子供の頃の周治のあるウソを思い出す。「学校の裏山に蛇イチゴの木がある」というウソに騙された、というのだ。周治は、それは本当だと釈明する。倫子は、「今から連れて行って」と申し出る。真夜中、裏山を登る2人。しかし、兄が林の奥深く入ったところで、倫子は突然駆け出し、もと来た道を戻る。携帯電話を取り出し、倫子は警察を呼び出し、兄の居場所を告げる。明け方、家に戻る倫子。すると、テーブルの上には、たくさんの蛇イチゴが並んでいるのだった。
<ひとことreview>傑作『ゆれる』を生み出した西川監督の長編デビュー作。既にデビュー作にして、その才能の豊かさを感じさせる良作となっている。一見幸せな温かい家庭も、実はそれぞれが我慢したり、取り繕ったり、諦めたりすることで成り立っているにすぎない。そのシニカルな視点は、『ゆれる』にも通じるものであり、そのシャープな語り口こそこの監督の才能そのものだろう。兄と妹の対比が面白い。兄は確かにウソつきだが、他人に対しては優しく、それなりに家族のことを信じ、理解してもいる。一方、妹は確かにウソはつかないが、他人に対しては厳しく、本心では家族の心を信じることも理解することもできずにいる。財産の名義を自分に移すように指示した周治。彼は、本当に、家族から財産を騙し取ろうとしていたのか?僕は、周治は本心から、家族を再生しようとしていたのではないか、と思う。4人が4人とも、家族というものを窮屈に感じながら、それでもやはり、家族を必要としていたのではないか、と思うのだ。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:39 | 映画ネタバレstory<ナ・ハ>
<ホ>

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# by inotti-department | 2006-02-21 12:38 | 映画ネタバレstory<ナ・ハ>
<サ>
※完全ネタバレでstoryを紹介しております。未見の方はご注意ください。
・サンキュー・スモーキング(2006、米) ★★★★★★★☆☆☆(7点)
   監督 ジェイソン・ライトマン
   出演 アーロン・エッカート マリア・ベロ
<story>タバコ研究アカデミーのスポークスマンを務めるニックは、その話術の巧みさから「情報操作の王」と呼ばれている。ニックの仕事は、タバコを有害な存在として世の中から抹殺しようとしている面々を議論で打ち負かし、タバコ業界の利益を確保すること。タバコの有害性を力説するフィニスター議員は、ニックの存在を苦々しく思っているが、テレビの討論番組ではいつも議論負けしてしまう。ニックは、仕事の性質上世間から嫌われており、そんな夫に愛想を尽かす形で妻とは別居状態。ただ、ひとり息子のジョーイは、話術で人生を切り開いていく父親を密かに尊敬していた。そんな中、タバコのパッケージにドクロマークを載せようとする法案が議会に提出され、公聴会が開かれることに。この苦しい流れを打ち破るため、ハリウッド映画の中で主人公にタバコを吸わせてイメージアップを図ろうという策をニックは提案。これが採用され、映画プロデューサーの説得にも成功し、企画が動き始める。その頃、ニックは自分を取材に来た女性新聞記者のヘザーと肉体関係を持つようになっていた。公私ともに絶好調のニックだが、出演したテレビ番組の中で謎の男から脅迫電話を受けてしまう。そしてその数日後、ニックは誘拐され、二度と大好きなタバコを吸えない身体にされてしまう。しかし、世間はそんなニックに同情。フィニスター議員は苦境に追い込まれる。ところが、そんな中突然、ヘザーが書いたニックに関する新聞記事が掲載される。そこには、ニックがこっそり明かしたオフレコのネタが全て赤裸々に書かれていた。ニックは世間の総スカンを食い、映画の企画も頓挫。さらにアカデミーからも追放され、仕事を失ってしまう。消沈するニックだが、自分を尊敬してくれる息子のためにもう一度立ち上がる決意を固め、ドクロマーク法案に関する公聴会に乗り込む。「タバコが有害というなら、コレステロール満載のチーズはどうなんだ?」など、いつも通りの弁舌を披露するニック。さらに、息子ジョーイの将来の喫煙に関しては、「大切なのは教育。最後に決めるのは彼」と堂々と発言し、フィニスターは何も言い返すことが出来ず会は終了する。会場から出てきたニックを、アカデミーのボスは満面の笑みで迎え入れる。しかし、ニックはスッパリと誘いを断る。ニックはもともとこの仕事をビジネスと割り切っており、業界の未来が苦しいことを重々承知していたのだ。そして数ヵ月後、タバコ業界はついに被害者との和解に応じ、アカデミーは解散する。ニックが新たに始めた仕事は、発ガン性を疑われる携帯電話業界の弁護。今日も言葉で人生を切り開こうとする父親を、ジョーイは羨望のまなざしで見つめるのだった。
<ひとことreview> アメリカ社会をクールに皮肉るブラック・コメディ。テンポよい語り口とシャープな物語展開で、存分に楽しませてくれる。タバコの有害性を疑わない人はいないにも関わらず、この映画を観ているとなんとなくニックを応援したくなってしまうのが不思議だ。タバコにまつわる業界モノとしても面白いが、僕はそれ以上に「お仕事モノ」として楽しませてもらった。世間からどんなに疎まれようが、自分の能力を信じてその世界の中で戦っている人間の姿は、やっぱりカッコイイ。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:36 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<シ>
・四月の雪(2005、韓)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 ホ・ジノ
     出演 ペ・ヨンジュン  ソン・イェジン
<story> 照明ディレクター・インスの妻スジンが、交通事故で病院に運ばれた。駆けつけたインスは、事故に遭ったスジンが乗っていた車には別の男が同乗していたことを知り、ショックを受ける。同乗者は、ギョンホという男。病院には、ギョンホの妻ソヨンも駆けつけていた。インスとソヨンは、事故の被害者家族のところへ一緒に謝りに行くなどしているうちに、同じ立場であるという親近感もあり、次第に心を通わせていく。2人の関係はさらに深まっていき、ついに肉体関係を結んでしまう。そんな中、スジンが意識を取り戻す。病院の医師から、インスとスジンがソウルの大きな病院に移ることになったと聞かされたソヨンは、ショックを受ける。しかし、インスはソヨンのことが忘れられず、再び2人は結ばれる。インスと抱き合ったあと病院へ向かったソヨンは、医師からギョンホの死を知らされる。ソヨンは、インスの前から姿を消す。一方、インスは、ギョンホの死をスジンに告げる。号泣するスジンを置いて、インスは病室をあとにする。ソヨンは荷物をもって列車に乗ろうとするが、できずにホテルへ戻る。そこでインスの姿を目にし、涙を流す。一方、インスもまた、ソヨンのいなくなったホテルで、号泣する。もとの生活に戻り、仕事を再開するインス。すると、現場に雪が舞い降る。それは、かつてインスがソヨンに見たいと言っていた、春に降る季節外れの雪だった。雪を見て、互いのことを想いあうソヨンとインス。インスは車にソヨンを乗せ、どこに行くともない旅路へと出発するのだった。
<ひとことreview> ヨン様主演で話題になった韓国映画。とかくヨン様ばかりが注目されがちだが、それはさておきなかなかの良作である。ダブル不倫という、ともすると昼メロのようなドロドロの展開になってしまいそうな素材だが、ホ・ジノ監督はそれを避け、2人の心理の揺れを丁寧に丁寧に拾い上げていく。感情を抑制し、説明的な描写を排除した演出が非常に効果的だ。ヨン様も、持ち前の微笑みを封印して、巧みな”泣きの芝居”で好演している。途中まで、2人の関係が”恋愛”と呼べるのものなのかという疑問が抜けなかったが、最後まで相手を想いあう2人の強い”愛”に、最後は納得した。誰にも理解されなくとも、それもまた確かに、ひとつの”愛”の形なのだ、と。

・疾走(2005、日)  ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
  監督 SABU
  出演 手越祐也  韓英恵  中谷美紀  豊川悦司
<story> とある街。”浜”と呼ばれる場所で暮らす人々にとって、かつて海だった”沖”と呼ばれる場所は、蔑視の対象だった。”浜”で暮らすシュウジは、ある日”沖”でヤクザの鬼ケンと出会い、親切にされる。しかし数日後、鬼ケンは死体で発見される。数年後。中学生になったシュウジは、クラスメイトで思いを寄せるエリの影響もあり、”沖”の教会に通うようになる。そこの神父とも親しくなるが、カンニングで停学になり精神を乱しはじめていた兄のシュウイチによると、神父には殺人の前科があるらしい。シュウイチが神父を狂ったように問い詰めると、神父は、自分の弟が恋人一家を皆殺しにして死刑目前だという事実を告白する。その後、”沖”で連続放火事件が起こる。犯人として捕まったのは、シュウイチ。そのことでシュウジはイジメに遭い、さらに両親もいなくなってしまう。同じ頃、事故に遭って歩けなくなったエリが、東京へ引越してしまう。エリが神父に宛てた手紙には、両親が心中し、さらに引き取られた叔父からレイプされた辛いエリの過去が綴られていた。神父は、シュウジを監獄の弟に会わせる。しかし、弟は「オマエはオレと同じだ」と言い放ち、シュウジはショックを受ける。街でばったり鬼ケンの彼女アカネに会ったシュウジは、アカネとセックスする。しかし、それをアカネの恋人であるヤクザの新田に見つかり、ボコボコにされる。シュウジは、アカネと力をあわせて新田を殺す。現場から逃げたシュウジは、エリのもとへ。壁に「私を殺して」と書いたエリに対し、シュウジは「誰か一緒に生きて」と記す。道で会ったエリの叔父を、シュウジは包丁で刺す。2人は逃げるが、ついに警察に囲まれてしまう。発砲されるシュウジ。そのとき、シュウジの携帯が鳴る。壁にメッセージとともに残した電話番号を観て、どこかの少女が掛けてきたのだった。シュウジは死ぬが、アカネは彼の子を出産する。そしてエリは、松葉杖を外し、神父の待つ教会へと歩いてくるのだった。
<ひとことreview> 暗い。どうしようもなく暗い。世の中の”どうにもならない部分”を見つめる視線は、たしかにリアルでシャープだが、一方で映画としてのまとまりには欠け、さほどのインパクトもなかった。ただ、ラストはなかなか。何も解決されてないのに、それでも未来に微かな希望を感じさせ、好感がもてた。良くも悪くも、好き嫌いは分かれる映画。個人的には、SABU監督にはもっとエンタテインメント性を追及してほしいな、と思う。

・SHINOBI(2005,日)  ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
     監督 下山天
     出演 仲間由起恵  オダギリジョー  黒谷友香  椎名桔平
<story> 1614年。長く続いた戦乱の世は終わり、平和な日々が訪れた。そんな中、ぽつりと残された2つの里、伊賀と甲賀。そこでは、妖しい力を持ち、戦うことしか生きる術をもたない”忍”たちが、ひっそりと暮らしていた。伊賀と甲賀は、互いにライバル関係にあり、長年に憎しみあっていた。一方、徳川家康は、強い力を持つ彼らの存在に、危機感をおぼえていた。そんな中、伊賀の朧と甲賀の弦之介は、互いの素性も知らぬまま、許されぬ恋に落ちる。そんな2人に、家康より残酷な指令が下る。それは、伊賀と甲賀の代表5人ずつが戦い、生き残った者が次期将軍を決するというもの。ともに里を背負う立場である2人は、激しく混乱する。弦之介は、その指令の真意を疑い、家康に会いに駿府へと向かう。甲賀の4人は弦之介に同行し、伊賀の5人は彼らを追う。弦之介は戦おうとはしないが、他のメンバーは激しい戦闘を繰り広げ、次々に命を落としていく。朧も最初は戦いに積極的ではなかったが、妹のようにかわいがっていた蛍火が殺されたことに怒り、甲賀勢に戦いを仕掛ける。残るは、互いに2人ずつ。伊賀の天膳は、弦之介を呼び出し、ことの真相を告げる。家康の狙いは、伊賀と甲賀の里に総攻撃を仕掛け、生き残った”忍”を掃討することなのだ、と。甲賀の陽炎と天膳が刺し違え、いよいよ残るは朧と弦之介のみ。弦之介は、わざと朧に殺され、彼女に”忍”の未来を託す。朧は、駿府へ上り、家康と謁見する。伊賀と甲賀への攻撃を指示しつづける家康に、朧は、忍術の源である自分の両目を潰し、攻撃をやめるように願い出る。彼女の覚悟に心動かされた家康は、攻撃の中止を決める。こうして、”忍”たちは、その後も数百年にわたって生き続けたのだった。
<ひとことreview> 良くも悪くも、”形”からはいった映画。そのため、映像やキャストにはこだわりが感じられてそれなりの魅力があるのだが、そこにストーリーが全くついてこない。「こういう映像を撮りたい」という意欲は伝わるのだが、「こういうことを伝えたい」というテーマや哲学が少しも見えてこないのだ。キャラクターの使い方も中途半端だし、主役2人の愛情の深さも全く描けていないから、話に説得力がない。悲劇性も出ない。なんとなく戦って、それで終わってしまったという印象だ。映像は、チャン・イーモウの『HERO』をかなり意識したな、という印象。パクリといってしまえばそれまでだが、スタイリッシュな活劇を描こうとした意欲は、大いに評価しても良いと思う。そういう日本映画は、もっとあっていい。ただ、問題は、中身がないこと。それが全てだ。

・シュガー&スパイス~風味絶佳~(2006、日)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
   監督 中江 功
   出演 柳楽優弥 沢尻エリカ 夏木マリ
<story> 高校を卒業した志郎は、大学へ行く気にもならず、とりあえずガソリンスタンドで働きはじめる。両親は反対するが、自分のことを”グランマ”と呼ばせるアメリカかぶれの祖母は、志郎の決断を応援する。そのガソリンスタンドに、女子大生の乃里子が新たなバイトとして加わる。志郎は、乃里子に次第に惹かれはじめ、初めての恋心を実感する。一方、乃里子は矢野という彼氏と別れたばかりで、志郎の純粋な優しさに居心地の良さを感じる。彼女を家まで送ったりしながら、2人は次第に打ち解け始める。そして、乃里子が何気なく言った「好き」という言葉に、志郎は心を躍らせる。ある日、乃里子が矢野から渡されていた合鍵を返しに行くことになり、志郎も一緒について行く。しかし、乃里子と矢野が話しはじめたのを見ると、志郎は先に帰ってしまう。自分を置いていった志郎を激しく責める乃里子。そんな彼女に志郎は自分の想いをぶつけ、2人は結ばれる。それから、2人は毎日を一緒に過ごすようになる。乃里子は、「志郎くんが19歳になったら、一緒に暮らそう」と約束する。今まで経験したことのない幸せを感じる志郎。ししかしある日、乃里子を喜ばせようと彼女のずっと欲しがっていた指輪を購入したその帰り、志郎は自分の部屋を出て行く矢野の姿を発見する。矢野は乃里子に復縁を申し出ていたのだ。動揺する乃里子と、そのことに触れたくても触れられない志郎。2人の間に、微妙な空気が漂い始める。ある日志郎は、乃里子が試験に集中するためという理由でガソリンスタンドのアルバイトを一時休むことを申し出たことを知りショックを受ける。しかし、志郎はそれを隠して、クリスマスイブにグランマのバーでパーティをやるから来てほしいと招待状を渡す。そして、2人は顔を合わさない日々が続き、ついにイブの夜に。バーでずっと乃里子を待つ志郎。しかし、とうとう乃里子は姿を現さない。荒れる志郎を、グランマは優しく包み込むのだった。翌日、志郎がバイト先へ行くと、数分前に乃里子が現れ、バイトを辞めることになったという。志郎がロッカーを開けると、乃里子からの手紙が。そこには、「ごめんね」という言葉と「ありがとう」という言葉が書かれていた。志郎は自転車で乃里子を追いかけるが、乃里子は矢野の車に乗り、遠ざかって行ってしまう。泣き崩れる志郎は、初めて味わう失恋の苦味を噛み締め、来るべき次の恋へ向けて再び前を向くのだった。
<ひとことreview> シンプルかつ王道の青春ラブストーリー。柳楽くん&沢尻エリカという旬のフレッシュなキャスティングが魅力的だ。柳楽の初々しい純粋さを百戦錬磨の沢尻が翻弄するという設定もピッタリの組み合わせ。大きな驚き・大きな感動こそないが、丁寧に若者の恋愛を描いていて好感がもてる。このぐらいの年代の恋愛って、たいてい女の子が一枚上手なもんなんだよね。自転車の志郎がどんなに頑張っても、車の矢野には追いつけないという描き分けが実に象徴的で上手い。周りが見えなくなるほど自分の全てをぶつける初めての大恋愛。共感をおぼえる男性は多いのでは?

・ジョゼと虎と魚たち(2003、日)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 犬童一心
     出演 妻夫木聡  池脇千鶴  上野樹里
<story> ジョゼとの出会い。それは、バイト先の雀荘からの帰り道。坂から落ちてきた乳母車を覗くと、中にジョゼがいたのだ。乳母車をひく老婆の家で、恒夫は朝食をごちそうになる。ジョゼは老婆の孫で、半身不随で歩けないのだという。恒夫は、ジョゼの家に通うようになる。一方、恒夫は大学の同級生・香苗に想いを寄せていた。2人は次第に親しくなり、付き合うことに。一方、恒夫の勧めで、ジョゼの家をリフォームすることに。そこに現れた香苗。彼女は福祉関係の仕事への就職を希望しており、バリアフリーに興味があって見学に来たのだ。恒夫と親しげな香苗にジョゼは嫉妬し、「もう来るな!」と恒夫を拒絶する。数ヵ月後。恒夫は、ジョゼの祖母が死んだという噂を聞きつけ、久しぶりにジョゼの家へ。頑なな態度をとるジョゼ。しかし、帰ろうとする恒夫を、ジョゼは泣いて引き止める。2人は、そこで結ばれる。動物園でデートし、念願の虎を見るジョゼ。幸せなジョゼのもとに、香苗がやって来る。2人は、ビンタを張り合う。1年後。恒夫とジョゼの交際は続いていた。恒夫の親に彼女を紹介することも兼ね、旅行をすることに。そんなある日、恒夫は香苗と再会する。香苗は、街頭でタバコ配りをしていた。恒夫と別れてから、恋も仕事もどうでもよくなったという香苗を、恒夫は優しく慰める。恒夫は、ジョゼと車で旅に出る。しかし、親に紹介する気持ちは、恒夫の中ではなくなっていた。ジョゼ念願の水族館は休み。代わりに、海へ行き、さらに魚が部屋じゅうに描かれたホテルへ。そこでジョゼは、別れへの不安を口にする。数ヵ月後。2人は別れる。恒夫がジョゼから逃げたのだ。ジョゼの家を出た恒夫を、迎え入れる香苗。恒夫は号泣する。そしてジョゼは、ひとりでたくましく買物へ出かけるのだった。
<ひとことreview> 障害者と健常者(言葉が適切かは別にして)の切ないラブストーリー。2人は丁寧に時間を積み重ねるが、それでも間に立ちはだかる高い壁を越えることはできない。物語の筋だけを追うと、恒夫の優柔不断で身勝手な行動ばかりが目につき、それに振り回される2人の女性はかわいそう、という印象を受けるかもしれない。が、実はその逆。映画がエンディングを迎えたとき、ジョゼと香苗はどちらもたくましさを増している。ジョゼはひとりで生きる強さを身につけ、香苗はさらにしたたかさを増し恒夫を取り戻す。一方、恒夫は、自分の弱さだけを思い知り、香苗の前で号泣する。2人の女優が輝きを放っていて、それぞれがとても魅力的。そして忘れてならないのは、それを引き出したのが妻夫木だということ。妻夫木聡という俳優は、彼自身にはさほどの個性は感じられないが、そのナチュラルな透明感で共演者を引き立たせる力をもっている。3人のハーモニーがとても心地よい良作。

・シン・シティ(2005、米)  ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 ロバート・ロドリゲス  フランク・ミラー
     出演 ブルース・ウィリス  クライヴ・オーウェン
<story> 犯罪と裏切りがはびこる街、”シン・シティ”。その夜も、”謎の男”が金髪の美女を抱いたあと、その命を奪った。”罪の街”と呼ばれるこの街で、愛する者を守るため、3人の男が立ち上がる。①ハーティガン警部は、誘拐された11歳の少女ナンシーを助けるため、犯人を追いかける。犯人は、街を牛耳るローク上院議員の息子(ジュニア)。ハーティガンはジュニアを仕留めるが、ハーティガンの相棒ボブの裏切りにあい、警察に捕えられてしまう。②前科者のマーヴは、傷だらけの顔のせいで、女に愛されたことがない。そんな彼に愛を教えてくれたのは、高級娼婦のゴールディ。しかし、マーヴが寝ている間に、彼女は彼の隣で殺されてしまう。ゴールディの仇討ちを誓うマーヴは、犯人を追う。たどり着いたのは、ケビンという青年。さらにその背後には、ローク上院議員の弟”ローク枢機卿”の存在があることを知る。マーヴはケビンを倒しロークに迫るが、そこにやって来た警察によって捕まってしまう。マーヴは、死刑を執行される。③ドワイトは、恋人シェリーを殴ったジャッキー・ボーイの暴走を止めるため、彼を追う。ジャッキーが向かったのは、女たちが支配する街”オールド・タウン”。そこでは、警官たちに楽しみを提供するかわりに、女たちに自治権が与えられていた。ドワイトは、オールド・タウンを仕切る元恋人ゲイルの協力もあり、ジャッキーを殺す。しかし、ジャッキーの死体から出てきたのは、彼の警官バッヂ。女たちは慌てる。オールド・タウンの秩序は、警官がどんなに羽目を外しても、決して彼らを殺さないというルールのもとで保たれていたからだ。ドワイトはジャッキーの死体を隠しに車を走らせるが、娼婦ベッキーの裏切りでゲイルがギャングに襲われてしまう。”オールド・タウン”に戻ったドワイトは、女たちと力を合わせて、ギャングたちを一掃する。④ハーティガンは、全ての罪を着せられて、長い獄中生活に入った。そんな彼の唯一の支えは、週に1度ナンシーから届く手紙。しかし、8年が経ったある日、パッタリと手紙が届かなくなる。刑務所を出たハーティガンは、ナンシーのもとへ。美しい大人になったナンシーとの再会を喜ぶハーティガンだが、ジュニアの魔の手が忍び寄る。ジュニアは瀕死の状態から回復し、以来ハーティガンへの復讐を計画していたのだ。ジュニアはナンシーを人質にとるが、ハーティガンはジュニアを倒し、ナンシーを救出する。ハーティガンはナンシーを先に家へ帰らせ、ローク上院議員との抗争にナンシーを巻き込まないために、自らの頭に銃を放つ。⑤ベッキーは、病院のエレベーターで、ある青年に声をかけられる。その男は、美女をつけ狙っては命を奪う、”謎の男”だった。
<ひとことreview> ”映画のような漫画のような映画”。原作はアメリカの人気コミック。その大ファンであるロドリゲス監督が、コマ割もほぼコミックのままに忠実に映像化したのが、この作品だ。監督として原作者のフランク・ミラーも一緒にクレジットされているのも、映画の世界観がほぼコミックのそれを踏襲したものであるからだろう。全編モノクロで描かれた映像が、最高にカッコイイ。モノクロの中で美女の紅いドレスだけが彩りを放つオープニングから、グイグイそのスタイリッシュな世界に引きずり込まれてしまう。豪華キャストも、全員が伸び伸びと各々のキャラクターを演じている。クールでオシャレでカッコイイ、新しいスタイルの映画の誕生だ。

・シンデレラマン(2005、米)   ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 ロン・ハワード
     出演 ラッセル・クロウ  レニー・ゼルウィガー
<story> 1930年代。世界チャンピオン目前までいった元スターボクサーのジミー・ブラドックは、日々の食事にも苦労する貧しい毎日を過ごしていた。アメリカを襲った大恐慌。さらに、故障が原因で冴えない試合を続けたことを理由に、ライセンスも剥奪されてしまう。いよいよ追い込まれたジミーに追い討ちをかけるように、妻のメイが3人の子供たちの身を案じて、彼らをよその家に出そうとする。家族を守ることを誓うジミーは、プライドを捨てて、ボクシング協会にカンパを募りにいく。そんなジミーのもとを、かつてのマネジャーであるジョーが訪ねてくる。彼がもちかけたのは、一夜限りの試合。手当てを得るために出場した試合で、ジミーは見事勝利。ライセンスを取り戻し、さらに連勝を伸ばすジミーに、苦しい生活を強いられている庶民は熱い声援をおくる。いよいよ次は、タイトルマッチ。しかし、王者は、過去2回リングで対戦相手を殺している超強敵。メイは止めるが、ジミーは戦う決意を固める。いよいよ当日。熱い応援に支えられ、ジミーは善戦。見事15ラウンドを戦いきり、判定勝ちをおさめるのだった。
<ひとことreview> きわめて”マジメ”な映画。奇をてらうことなく、気持ちがよいほどの直球勝負を見せてくれる。ストーリーに個性こそないが、グイグイとスクリーンに引き込む力強さは、なかなかのもの。大恐慌に苦しむ庶民の姿がしっかり描けていることが素晴らしい。それによって、ジミーの復活の感動度合いがさらに深まっている。もう少し後半のストーリーに”浮き沈み”が欲しかった感はあるが、実話である以上、それも仕方ないだろう。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:34 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<ス>
・スターウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005,米)  
                        ★★★★★★★★★☆(9点)
   監督 ジョージ・ルーカス
   出演 ユアン・マクレガー ナタリー・ポートマン ヘイデン・クリステンセン
<story> ドゥークー伯爵率いる分離主義者たちの反乱によって、共和国の内情は混乱の度を深めていた。そんな中、ドゥークーにより、元老院のパルパティーン議長が誘拐される事件が起こる。アナキンとオビ=ワンはドゥークーを倒し、議長を救出する。議長はアナキンへの信頼を深め、彼をマスターに推薦する。しかし、ヨーダら評議会の面々は、独裁色を強め、ジェダイにまで口を出してくる議長に不信感を抱きはじめる。一方、アナキンは、妻のパドメの妊娠の知らせに喜びながらも、彼女が死んでしまう悪夢を毎晩見て、悩みを深めていた。さらに、自分をマスターに昇格させず、そのうえ議長のスパイを命じるジェダイたちへの不信感を募らせる。そんなアナキンに、議長の魔の手が忍び寄る。「フォースの暗黒面を学べば、パドメを死から救える」「ジェダイは共和国を裏切ろうとしている」パルパティーンの正体は、シスの暗黒卿ダース・シディアスだったのだ。彼の誘惑に、アナキンは動揺する。そんな中、逃走を続けていた分離主義者一味のグリーバス将軍が発見され、オビ=ワンが彼を倒す。あとは議長を倒せば、内乱も終わる。マスター・ウィンドゥは、議長を仕留めに向かう。しかし、それをアナキンが阻止。ウィンドゥを殺したアナキンを、シディアスは迎え入れる。そして、アナキンに「ダース・ベイダー」の名前を与える。シディアスは、議会からの圧倒的な支持を集めて銀河帝国の誕生を宣言。”裏切り者ジェダイ”の一掃を命じ、それを受けアナキンはジェダイ修行中の子供たちを皆殺しにする。アナキンの裏切りを知ったオビは、パドメとともにアナキンのもとへ。説得を試みるパドメだが、アナキンは銀河系支配の野望を語り、聞く耳をもたない。失望したパドメは、彼を拒絶する。アナキンは、全てはオビのせいだと、彼への憎悪を深める。オビVSアナキン。オビの激しい攻撃にアナキンは瀕死の状態に陥るが、オビはとどめをささずにその場を去る。生きる力を失ったパドメだが、気力で双子を出産。子供たちをルークとレイアと名付け、この世を去る。ヨーダとオビは、いったん撤退し、反撃の時を待つことに。ルークとレイアは、帝国に見つからないように別々に育てられることになる。そして双子の父親であるアナキンは、瀕死の状態から救われ、ダース・ベイダーのマスクをかぶるのだった。
<ひとことreview> スターウォーズ6部作の完結編。シリーズ完結編にして、最高傑作。序盤からハイテンションな映像にグイグイ引き込まれ、後半の悲劇的な展開は最高にドラマチック。エピソード4の冒頭とピタリとつながる、ラストのタトゥイーンの太陽は鳥肌もの。あくまでも感動ドラマではなく冒険活劇としてのスタイルを貫いたルーカスの姿勢にも感服。大満足!
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:33 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<セ>

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# by inotti-department | 2006-02-21 12:32 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<ソ>

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# by inotti-department | 2006-02-21 12:32 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<タ>
・タッチ(2005、日)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 犬童一心
     出演 長澤まさみ  斉藤祥太  斉藤慶太
<story> 双子の兄弟、上杉達也・和也と、お隣の浅倉南の3人は幼馴染。幼少の頃からいつも一緒だった3人の共通の夢は、甲子園へ行くこと。和也は、野球部のエースとして、夢に向かって一直線。南は、それを支えるマネジャー。一方、達也は、ボクシングをはじめる。和也が予選決勝進出を決めた日、達也はボクシングで敗戦。落ち込む達也に、南はキスをする。動揺する達也に、南は「達ちゃんだからキスしたんだよ」と告げる。南に想いを寄せる和也は、その会話を聞いてしまいショックを受ける。決勝前夜、和也は南に「キスして」と強引に迫るが、南は拒む。試合当日。和也が球場に現れない。和也は事故に遭い、帰らぬ人となってしまったのだ。時が流れ、達也は野球部のキャプテンから誘われ、野球部に入部。しかし、母は「和也のために生きることはない!」と強く反対する。反対を押し切って試合に出場する達也だが、登板した試合でメッタ打ちにあい、野球を諦める。南は激怒するが、達也は戻らない。南も、マネジャーを辞める。しかし、達也は友人の原田から喝をいれられ、復帰を決意。そして、決勝へ。奮闘する達也を応援するため、南は球場へ走る。母も、テレビで達也を応援。達也は、和也得意のスライダーでライバル新田を三振にとり、甲子園出場を決める。達也は「上杉達也は浅倉南を愛しています。世界中の誰よりも」と告白するのだった。
<ひとことreview> 国民的大人気マンガの、実写映画化。「なぜいまさら!?」との思いは見終えたいまも消えないが、出来は案外悪くない。キャラクターたちの絶妙な”間”が持ち味のあだち充テイストとは全く別物だが、一本の青春映画としては十分に魅力的だ。作品がもつ素材の面白さを、うまく活かしていると思う。”長澤版南ちゃん”は堂々たるもの。難しい挑戦を難なく乗り切り、女優としてさらにステップアップした。一方、斉藤兄弟はもうひとつか。特に、和也と達也それぞれの個性の違いがあまり明確でなかったのは残念だった。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:31 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<チ>
・父親たちの星条旗(2006、米) ★★★★★★★★★☆(9点)
  監督 クリント・イーストウッド
  出演 ライアン・フィリップ アダム・ビーチ
<story> 小さな葬儀屋を営む男・ドク。病で倒れ、今まさに最期の時を迎えんとする彼こそは、1945年硫黄島の激戦を生き抜いた”英雄”のひとり。しかし、ドクは生涯、その戦いについて口を開こうとはしなかった。硫黄島で撮られた、1枚の写真。6人の兵士たちが1本の星条旗を山の頂上に立てているその写真は、アメリカ全土に知られ、ドクを一躍英雄にした。その写真の裏に秘められた真実に、ドクの息子が迫る・・・。1945年2月、その星条旗は硫黄島に立てられた。その姿を収めた写真に写された兵士は、マイク、フランクリン、ハンク、レイニー、アイラ、そしてドクの6人。その写真は、アメリカ国民に戦争の勝利を印象付けたが、実際には硫黄島での戦闘はその後35日間続き、結局生きて帰ったのはレイニー、アイラ、ドクの3人だけだった。3人を待っていたのは、彼らを英雄に祭り上げようとする政府の企みだった。戦争の長期化により、アメリカ政府の財政は破綻寸前。危機を脱するためには国債を大量に売るしかなく、そのために政府はドクら3人をキャンペーンに利用しようと企てたのだった。3人は、アメリカ全土をキャンペーンで回り、各地で熱狂的な歓迎を受ける。レイニーは、彼女とも結婚し、英雄視されもてはやされる毎日を満喫する。一方、インディアンのアイラは、戦争で失った友のことを忘れられず、英雄扱いされる異常な日々に違和感を感じ続ける。そしてドクは、時折硫黄島での悲惨な記憶に苛まれながらも、沈黙を守り静かにキャンペーンに参加しつづける。アイラには、ずっと納得できないことがあった。写真に載っている6人のうちの1人はハンクと伝えられているが、実はハンクではなくハーロンだったのだ。そんな中、ドクら3人と、死んだ3人の母親が顔を合わせるイベントが開催される。アイラは、尊敬するマイクの母親と抱き合ったまま、ただただ泣きつづける。そしてドクは、ハンクの母親から「ここに写っているのは本当に息子?」と尋ねられるが、真実を伏せ静かに頷く。あの写真には、実は隠されたもうひとつの真実があった。もともと、その写真が撮られる少し前に、既に旗は立てられていたのだ。しかし、そこに1人の政治家が現れ、「あの旗を記念に欲しい」とワガママを言い出したのだ。そこで、その旗は降ろされ、急遽もう1本の旗が立てられた。そのときに撮られたのが、ドクら6人の写ったあの写真だったのだ。アイラは、英雄扱いされる毎日を受け入れられず、酒でフラフラになりながらキャンペーンをこなしていくが、ついにクビを言い渡され、再び戦場に戻る。その後は、ドクとレイニーの2人でキャンペーンを回り、やがて終戦を迎えるのだった。戦争が終わると、世間は英雄の存在を次第に忘れ始める。レイニーは、キャンペーン中に多くの財界人から名刺をもらっていたが、誰にも相手をしてもらえず、ビルの清掃人としてその生涯を終える。アイラは、終戦の数年後、ヒッチハイクでハーロンの父親のもとを訪ね、写真についての真実を伝える。一方でハンクの母親にもマスコミ経由で真相が伝えられ、その後彼女は一切のセレモニーに呼ばれなくなってしまうのだった。アイラはその後、酒酔いで転倒し、人生に幕を下ろした。そしてドクは、戦争に関して一切口を開かないまま、今まさにその生涯を終えようとしていた。息子が唯一知っているのは、ドクが終戦の数年後に、ある女性のもとをこっそりと訪ねたこと。その女性は、ドクが共に硫黄島で戦ったイギーという兵士の母親だった。彼は、イギーを悲惨な形で死なせてしまったことが、ずっと忘れられずにいたのだった。死ぬ間際にも、彼はうわ言のようにイギーの名を繰り返し呼びつづけた。最期に、ドクは硫黄島の海岸で戦友たちと子供のようにはしゃいだ思い出についてのみ語り、息をひきとるのだった。
<ひとことreview> イーストウッド硫黄島2部作の”アメリカ編”。世間では、そしてアメリカでは”日本編”である『硫黄島からの手紙』のほうが称賛されているようだが、僕は断然こちらを推す。ミステリー的要素も兼ね備えたストーリーの面白さ、登場人物の心理に深く深く迫る圧倒的な心理描写、戦争をとりまく社会の矛盾をクールに捉える切れ味鋭い視点。どれをとっても素晴らしい、ハイクオリティな傑作だ。僕が特に唸ったのは、そのパーフェクトな構成力。戦闘シーンと戦後のキャンペーンと現代のインタビューの織り交ぜ方が、ものすごく巧みなのだ。写真の裏に秘められた真相を、映画の終盤でサラっと明かすクールな語り口も素晴らしい。ラストにながれるドクの息子のナレーション、「もし彼らを英雄と思うのならば、彼らのありのままを心に記憶しよう」に心の震えが止まらなかった。

・チャーリーとチョコレート工場(2005、米)   
                 ★★★★★★★★☆☆(8点)
     監督 ティム・バートン
     出演 ジョニー・デップ  フレディ・ハイモア
<story> 貧しくも温かい家庭に育った少年・チャーリー。そんな彼のもとに、ある日ビッグニュースが。世界一のチョコレート工場を経営するウィリー・ウォンカが、チョコレートの中に隠された”ゴールデン・チケット”をゲットした5人の子供を、工場に招待すると発表したのだ。誕生日プレゼントで両親からチョコをもらい、期待をもって開けるも、中はハズレ。ジョーおじいちゃんの小遣いで買ったチョコもハズレ。諦めかけるが、道端で拾ったお金で買ったチョコで、見事、チャーリーは最後のチケットを手に入れる。工場の見学を許された5人は、付き添いの家族とともに中へ。そこで待っていたのは、風変わりな工場主ウォンカと、中で働く謎の小人ウンパ・ルンパ。5人の中の1人だけに特別賞が与えられるとあって、チャーリー以外の4人は勝手な行動をとる。そんな4人にウォンカは次々にお仕置きし、最後にチャーリーだけが残される。ウォンカは、チャーリーを自分の後継者にしたいと申し出る。しかし、工場に住むと家族と離れ離れになってしまうため、チャーリーはそれを断る。それを機に、ウォンカの運気は下り坂。商品もあたらず、経営が苦しくなってしまう。ウォンカは、チャーリーの前に再び姿を現す。チャーリーは、ウォンカにも家族の素晴らしさを教えようと考える。ウォンカは、父親から厳しく育てられ、絶縁関係になって以来、”両親”という言葉すら発せなくなってしまったのだ。2人は、ウォンカの父親が経営する歯医者を訪れ、ウォンカは父親と和解する。ウォンカは、チャーリーと共同で工場の経営をすることに決め、チャーリーは家族みんなで幸せに、”甘~い”生活をつづけましたとさ。
<ひとことreview> 最高に笑えて、最高に楽しいファンタジー。ストーリーがどうこうというよりも、とにかくチョコレート工場の描写が素晴らしい。CGの正しい使い方の見本のような映画だ。ウンパ・ルンパの奇妙な動きは爆笑ものだし、ウォンカのキャラクターも実にユニークで魅力的。ジョニー・デップの見事な怪演は、アカデミー賞ものだ。”家族”をキーワードにしたメッセージは極めてシンプルだが、その切り口がブラック・ユーモアに溢れているあたりが、バートン作品の真骨頂。声高なメッセージよりも、よっぽど心に届いてくる。いっぱい笑えて、それでいて心温まる、愛すべき傑作ブラック・ファンタジーだ。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:31 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<ツ>

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# by inotti-department | 2006-02-21 12:30 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<テ>
・電車男(2005,日)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 村上正典
     出演 山田孝之  中谷美紀  国仲涼子  佐々木蔵之介  
<story> 「アキバ系」のオタク青年のもとに、ある女性からティーカップが届く。その数日前に、彼女が電車で酔っ払いの男に絡まれていたのを、青年が救ったのだ。初めて届く女性からの贈り物に浮き足立った青年は、”電車男”の名前で2ちゃんねるにこのエピソードを書き込む。2ちゃんねるの住人たちは最初は本気にしないが、そのカップが高級ブランド”エルメス”のものだったことを知り、俄然色めき立つ。彼女を”エルメス”と名付け、お礼の電話をかけるように電車男にアドバイスする。食事の約束を取り付けることに成功した電車男に、住人たちは、食事の日までにカッコイイ男に変身するように命じる。美容院へいき、メガネをコンタクトに変え、オシャレな洋服を買う電車男。その甲斐あってか、初デートは成功に終わり、その後2人は仲を深めていく。交際はトントン拍子に進み、あとは告白あるのみ。しかし、勇気が出ない。さらに、エルメスと自分の吊り合わなさに自信を喪失し、ついには彼女を諦めようとする。しかし、そんな電車男に、2ちゃんねるの住人たちは熱いエールを送る。「がんばれ!おまえにはおれたちがついている」エルメスのもとへ走る電車男。一方、エルメスも、パソコンが買いたいという自分のために、電車男が手作りで作ってくれたパソコン選びのカタログ集を見て、彼の優しさを改めて感じていた。彼女が秋葉原へ向かったと知り、電車男も秋葉原へと走る。道中、コンタクトもおしゃれなシャツも落とし、ガンダムのTシャツにメガネの「アキバ系」姿でエルメスと向かい合う電車男。震えながら想いを告白する電車男を、エルメスは優しく抱き締め、受け入れる。そして、想いを貫いた電車男の姿に勇気をもらい、2ちゃんねるの住人たちもまたそれぞれの生活の中で、新しい世界へと踏み出していくのだった。
<ひとことreview> 大ベストセラーの映画化。電車男と2ちゃんねる住人たちの奇妙な友情の形がとてもユニーク。「おまえにはおれたちがついている」など、思わず感動させられるシーンも少なくない。ただ、デートシーンなど恋愛部分は、観ているこっちが恥ずかしくなるほど幼稚で陳腐。もう少し、友情部分をたくさん見たかった。電車男がメガネにガンダムTシャツの「アキバ姿」で告白するラストシーンは、映像ならではの感動があって素晴らしい。

・デスノート 前編(2006、日) ★★★★★★★★☆☆(8点)
   監督 金子修介
   出演 藤原竜也 松山ケンイチ
<story>ノートに相手の名前を書くだけで、その者を殺すことのできる「デスノート」。偶然そのノートを手に入れた大学生の夜神月は、犯罪のない世界を実現させるため、次々に凶悪犯罪者の名前をノートに記し、殺していく。世間は、一連の事件の首謀者を「キラ」と名付け、巷にはキラ崇拝者が溢れ出す。月は、恋人の詩織の前でキラを絶賛するが、詩織はキラのやり方は間違っていると批判する。ICPOは、一連の事件は何者かの仕業による連続殺人事件であると断定し、天才的な推理力を持つLを日本へ派遣する。事件捜査のリーダーで、月の父である総一郎は、姿を見せずに捜査を陰から操るLに対して不快感を募らせる。しかし、Lは独自の推理を展開し、事件の発生場所・時間の傾向から、キラは東京の大学生であると断定する。さらに、捜査の情報がキラに筒抜けであることから、キラは捜査関係者の身内である可能性が高いと推理する。こうして、月のもとにも、FBIの尾行がつくようになる。尾行している捜査官の名前が「レイ」であることを知った月は、さらにレイを脅して他の全潜入捜査官の名前も入手し、レイをはじめ捜査官全員をデスノートで殺す。キラの手強さを感じたLは、ついに姿を現し、総一郎らと協力して推理を改めて組み立てる。一方、レイの婚約者・ナオミは、復讐を誓って独自の捜査を開始し、レイが尾行を担当していた月こそキラであると確信する。その頃、Lもまた、捜査員全員の死亡時の映像を分析し、レイの死に方だけが異質であったことに気付き、容疑を月に絞り込む。しかし総一郎は、自分の息子がキラであるという推理にどうしても納得ができない。Lは、月の部屋に隠しカメラを設置し、1週間監視する。しかし、月に不穏な動きが見られないまま、事件は起こる。監視されていることに気付いた月は、ポテトチップスの袋の中に小型テレビを隠し、そこから犯罪者の名前を入手し、デスノートによって静かに犯行を成し遂げたのだった。一方、ナオミは詩織を誘拐し、月を呼び出す。月は、自分がキラであることを改めて否定するが、ナオミは聞く耳を持たず、詩織を撃ってしまう。自責の念にかられ、その後すぐに自殺するナオミ。悲しみに泣き叫ぶ月。この模様をカメラで見ていた総一郎は、月がキラ事件とは無関係であることを確信し、Lを責める。しかし、ナオミの死も、そして詩織の死までも、全ては月がデスノートに指示したものだった。周囲の同情を利用し、捜査陣の仲間に自分を加えるよう父親に願い出る月。総一郎は戸惑うが、Lは歓迎する。月の前に姿を現したLの片手には、ポテトチップスの袋が握られていた。Lは、月への疑いを、さらに強めていた。
<ひとことreview>少年ジャンプの超人気コミックの映画化。といっても、僕はその存在を全く知らなかったので、極めてフラットな状態で映画を楽しむことができた。いやぁ驚いた、まさかここまで面白いとは。まずはアイデアの勝利。「ノートに名前を書いて相手を殺す」というのは、ありそうでなかったスリリングなアイデアだ。月VSLの頭脳戦も、見応えタップリ。ノートの存在も推理の展開も「マンガ的」と片付けてしまえばそれまでだが、表面的には破綻が全くないため、物語の骨格がしっかりとしていて安定感がある。後編への期待の持たせ方としては、これ以上ない最高の形と言っていいだろう。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:29 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
<ト>

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# by inotti-department | 2006-02-21 12:28 | 映画ネタバレstory<サ・タ>
映画ネタバレstory紹介を開設しました!
1回観たはずの映画なのに、どんな話だったかが思い出せない。
大体の展開は覚えてるんだけど、どんな終わり方だったのか記憶がない。

こんなもどかしい経験をしたこと、ありませんか?

自慢じゃないけど、私はしょっちゅうです。
劇場で観たときに面白かったから友達にDVDで観るように勧める。すると、友達がDVDで観てくれて「面白かったよ~!」って、嬉しそうに細かいエピソードを語り始める。でも、観てから半年経ってしまった私には、ほとんどストーリーの記憶がない。「そうだったっけ?忘れちゃったなぁ」あるのは、「面白かった」という記憶だけ。こんな経験です。

この<映画ネタバレstory紹介>は、そんなお悩みをお持ちの方のためのコーナーです。
1回観た映画のstoryを簡単におさらいしたいときに、どうぞご活用ください。

ただ、ひとつだけ注意点があります。そういうコーナーの性質上、やはりネタバレは避けられません。というより、ネタバレだけで出来ているといっても過言ではありません。

ですので、これからその作品を観ようと思っている方は、事前に読まれないことをオススメいたします。あくまでも、予習ではなく復習のためにお使いいただければ、と思います。

あいうえお順に並んでおりますので、簡単に探せるようになっています。どんどんタイトル数を増やせるように、がんばって更新します。

ただ、人間の記憶というのは曖昧なものですので、細かい点で間違いなどありましても、どうかひとつ大目にみてくださいね(笑)
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:25 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<ア>
※完全ネタバレでstoryを紹介しております。未見の方はご注意ください。

・愛についてのキンゼイ・レポート(2004、米・独)  
                    ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 ビル・コンドン
     出演 リーアム・ニーソン  ローラ・リニー  クリス・オドネル
<story> 生物学者のキンゼイ博士は、妻のクララに支えられ、タニバチの研究に没頭していた。しかし、クララとの性体験や、学生からの性にまつわる相談に応じているうちに、彼は次第にSEXに興味を抱くようになる。キンゼイは、性に関する講義を開始。学生たちの間で話題になる。キンゼイは、いよいよ本格的に研究をはじめる。しかし、研究しようにも、データがない。性体験に関しては、当時のアメリカではまだまだタブーだったからだ。そこでキンゼイは、助手たちと一緒に、面接による実態調査を開始する。財団からの資金援助も勝ち取り、面接はどんどん詳細なものになり、同性愛者へのインタビューも積極的に行われる。しかし、研究にのめりこみすぎるあまり、キンゼイ自ら同性愛を体験してしまう。そのことを正直にクララに話したことから、夫婦の間に亀裂が生まれる。ついに、キンゼイは本を発表。第1弾は、男性版だ。レポートは、衝撃をもって迎えられる。キンゼイの調査はさらに進められ、つづいて第2弾の女性版を発表。しかし、こちらは賛否両論。また、SEXの実態を撮影するなど、その調査手法にも疑問の声が。バッシングを浴びるキンゼイを、クララはやさしく支える。しかし、心労が重なったキンゼイは、持病の心臓病で倒れてしまう。なんとか一命をとりとめるが、財団は援助打ち切りを発表する。失意のキンゼイのもとに、ある女性から手紙が届く。彼女は、同性愛に対する偏見に、ずっと苦しんできた女性。しかし、キンゼイ・レポートによって、自分が異常なわけじゃない、ということがわかった。だから、自分にとってはキンゼイ博士が命の恩人である、とその手紙には書かれていた。「愛というものだけは科学できない」という結論に至ったキンゼイだが、彼女の言葉によって、勇気を取り戻す。そして、愛する妻とともに、残された人生を前向きに生きていくことを決めたのだった。
<ひとことreview> キンゼイ博士は、実在の人物。この「キンゼイ・レポート」は、実際に大ベストセラーになった有名な報告なのだという。その内容の興味深さが、この映画の最大の面白さ。僕としては、キンゼイの人物像や周囲の人々との人間模様も確かに面白かったけれど、もっと研究の内容を知りたかった。だって、随所で描かれるインタビューの内容が、めちゃめちゃ面白かったものだから。同性愛など、”アブノーマル”とされる行為に対するやさしい視線が、温かくてとても良い。ただ、映画の内容自体には、中途半端な部分も多かった。「夫婦愛」「同性愛」「キンゼイ・レポート」全てを描こうとして、どれもきちんと深く描ききれなかった気がするのだ。僕としては、しつこいようだが、とことんレポートの内容を教えてほしかったと思う。

・『愛の流刑地』(2007、日)  ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
   監督 鶴橋康夫
   出演 豊川悦司 寺島しのぶ
<Story> 子供を3人もつ主婦・入江冬香が、情事の最中に愛人に首を絞められて殺された。逮捕されたのは、作家・村尾菊治。女性検事の織部は、殺意ある計画殺人と確信し、菊治を追い詰める。一方、弁護士の北岡は、「殺して」と頼まれたから殺した「嘱託殺人」であるという線で裁判を戦おうとする。しかし、菊治はそのどちらの言葉にも、空虚なものを感じていた・・・。菊治が冬香と出会ったのは、京都で知り合いの女編集者から、菊治の大ファンとして紹介されたのがきっかけだった。おしとやかで素朴な冬香の佇まいは、菊治の心を捕らえて離さなかった。東京に戻った菊治は、メールで冬香に執拗にアプローチし、再会に成功する。最初は拒む冬香だったが、菊治の強引な求愛に、ついに体を許してしまう。その後も、わずか2時間のデートのために、繰り返し京都を訪れる菊治。2人は、時間を惜しむように激しく体を重ねる。また、菊治はもうかれこれ10年ほど小説を書くことのできないスランプに悩まされていたが、冬香と会うことで新作恋愛小説をどんどん書き進めることができた。やがて、冬香は夫の転勤を理由に東京へ引っ越してくる。週に何度も会うようになる2人。その頃から、冬香はセックスの最中に「殺して」と嘆願するようになる。「死んでもいいぐらい幸せ」と繰り返す冬香。そしてついに、花火大会の夜、菊治はセックスの絶頂時に冬香の首を絞めて殺してしまう。自首する菊治。計画殺人の線で取調べを続ける織部だが、次第に、冬香の命を賭した愛の深さに共感し始める。織部もまた、妻子ある男性と不倫中の身であり、叶わぬ愛に悩み苦しむという意味では冬香と同じ立場にあったのだ。法廷の席で、「あなたは死にたくなるほど人を愛したことがあるんですか!?」と菊治に言われ、織部は何も言い返すことができない。菊治は、裁判でどんなに争ったところで、菊治と冬香の愛の深層を誰も理解するいことはできないと感じ始めていた。そして、判決が下る。懲役8年。菊治は、静かに刑を受け入れる。刑務所の菊治のもとに、冬香の母親から小包が届く。中に入っていたのは、冬香にサインして渡した菊治の本。そこには、冬香が菊治に宛てた手紙が挿んであった。手紙を読み、全てを理解する菊治。冬香は、最初から菊治に殺されるつもりだったのだ。菊治を殺人者として刑務所に閉じ込めることで初めて、冬香は菊治とずっと繋がっていられると考えたのだ。菊治は、「自分はやはり選ばれた殺人者だったのだ」と悟るのだった。
<ひとことreview>新聞連載時から話題になっていた渡辺淳一原作小説の映画化。激しい性描写が公開前から話題になっていたが、オープニングからいきなり脱ぐ、脱ぐ。あまりの脱ぎっぷりに、途中からあまり色気を感じなくなってしまったなどと言っては、あれだけ熱演した寺島しのぶに失礼か。ストーリーは、裁判などでは語ることのできない愛の深さを徹底的に描いていく。しかし、僕にはそんなこの映画が、すごく浅いものに感じられたのだが。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:25 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<ウ>
・宇宙戦争(2005,米)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 スティーブン・スピルバーグ
     出演 トム・クルーズ  ダコタ・ファニング  ティム・ロビンス
<story> 別れた妻から息子のロビーと娘のレイチェルを預かったレイ。すると突然、空に激しい雷鳴が轟きはじめる。雷に乗って地球に降り立った異性人たちは、地中奥深くに昔から埋められていた”トライポッド”を操り、人間を次々に殺しはじめる。彼らはずっと地球を監視しつづけ、侵略の時機を待っていたのだ。レイは、子供たちと逃げながら、妻の待つボストンへと向かう。しかし、息子のロビーは、逃げてばかりで戦おうとしないレイに反発し、異性人を倒すために戦地へと突っ込んでいく。レイとレイチェルは、オグルビーという謎の男と出会い、匿ってもらう。しかし、そこにも異性人の魔の手が忍びより、オグルビーは向かっていく。さらに逃げるレイ。トライポッドに飲まれそうになりながらも、火炎瓶で反撃して娘を守る。そしてついに、ボストンに到着。すると、あれだけ猛威をふるっていたトライポッドはおとなしくなっており、枯れてしまっていた。理由もわからないまま、レイは妻の家へ。出迎える妻。そこにはロビーの姿も。抱き合う家族。異性人は、地球の空気を吸ったことにより、枯れてしまったのだ。彼らを倒したのは、地球に住み、人類と共生する無数の微生物たち。人類を救ったのは、人類の知恵や勇気ではなく、地球の持つ偉大な力だったのだ。
<ひとことreview> 駄作と悪評高い、スピルバーグの超大作。カタルシスのない地味なストーリー展開、そして失笑もののラストのオチ。確かに欠点は多いが、テーマはなかなか興味深い。本当の危機が迫ったとき、私たちは戦うべきか?逃げるべきか?この映画の主人公は、ひたすら逃げることを選ぶ。ロビーとオグルビーから何を言われようとも、レイは家族を守るため、武器を取ろうとはしない。暴力に暴力で立ち向かっても、さらなる悲劇を生むだけだ。ラストのメッセージも同じだろう。人類の知恵よりもずっと偉大な、地球の持つ力に敬意を払おう。「9.11」後のアメリカで、こういう映画が生まれたことに、なんだか希望のようなものを感じる。問題は、そのある意味で地味なメッセージと、娯楽大作としての期待のされ方に、大きなズレがあることなのだ。そしてそれは、娯楽監督スピルバーグが抱える、永遠のテーマといえるかもしれない。

・運命じゃない人(2005、日)  ★★★★★★★★☆☆(8点)
    監督 内田けんじ
    出演 中村靖日 霧島れいか 板谷由夏
<story> 恋人のあゆみが家を出て行ってしまって半年。いまだに失恋の傷から抜け出せない宮田だが、親友の神田のナンパがきっかけで、真紀という女性と出会う。真紀もまた、婚約者と別れ、深い悲しみの中にいた。帰る場所のない真紀を、宮田は自宅へ連れ帰る。するとそこに突然、置きっ放しだった荷物を取りにあゆみがやってくる。突然の訪問者に、真紀は部屋を出て行ってしまう。あゆみを残して、真紀を追いかける宮田。想いはうまく伝わらないが、執念で真紀の電話番号をゲットする――。一方、その数時間前、探偵の神田はあゆみの訪問を受けていた。彼は、あゆみの正体が結婚詐欺師だという事実をつきとめていた。あゆみは、現在の恋人であるヤクザの組長・浅井のところから2000万円を奪って逃げてきたところだった。あゆみの目的は、国外逃亡。しかし、そのためには、宮田の部屋からパスポートを取ってこなければならない。そこで、合鍵をもつ神田のもとを訪ねたのだった。神田は、渋々了承して、あゆみとともに宮田の部屋へ。しかし、ヤクザの怖さを知る神田は、あゆみを説得して、現金の入ったカバンはコッソリ浅井組の事務所の前に返す。あゆみと別れ、宮田と待ち合わせたレストランへ行く神田。宮田のために、隣の席でひとり泣いていた真紀をナンパする。すると、そこには浅井組の追っ手の姿が。捕まる神田。浅井のもとへ行くと、そこにはあゆみの姿もあった。2人とも、捕まってしまったのだ。現金の入っているはずのカバンを開けると、その中身は女性ものの下着。呆然とする神田を、浅井は解放する。神田は気付く。宮田の部屋に入ったときに、あゆみが中身をすりかえたのだ、と。ということは、現金は宮田の部屋に!?急いで宮田のもとへ走る神田。真紀の電話番号をゲットして上機嫌の宮田を無視して、部屋を調べる神田。しかし、部屋から現金は消え去っていた――。一方、その数時間前、浅井は。あゆみが大金を奪って逃げたことを知り、ショックを受けていた。しかし突然、謎の男(神田)がカバンを置きに戻ってきた。中身は下着、そして神田の名刺。神田の事務所に侵入した浅井は、あゆみの正体を知る。さらに、宮田という青年も被害にあっていたと知り、彼の部屋にも侵入する。しかし、そこに宮田と真紀が帰ってきて、浅井は慌ててベッドの下に隠れる。部屋に入った真紀が、なんとなく隅に置かれたカバンを覗くと、なんと中には2000万円が。パスポートを取りに侵入したあゆみが、神田の目をごまかすために、いったんそこに隠していったのだ。突然の幸運に、慌てて自分のカバンに現金を移す真紀。そこに現れたのは、荷物を取りに来たというあゆみ。真紀は現金を自分のカバンにしまい、部屋を出て行く。何も知らずに追いかける宮田。一方、現金を回収にきたあゆみは、お金が消えていることに驚く。そして、ベッドの下から現れる浅井。何が何だかわからないまま、あゆみは浅井に捕まり、事務所へ――。翌朝。宮田はさっそく真紀に電話をかけてみるが、番号は繋がらない。お人よしの宮田は、真紀が現金を持って逃げたことなど全く知る由もない――。一方、突然、大金を手にした真紀の心は揺れていた。自分をやさしく介抱し、追いかけてきてくれた宮田の誠実さ。このままこの2000万円でひとりで生きていくべきなのか、それとも・・・。真紀は、決心する。彼女はカバンを抱え、宮田の部屋へ向かうのだった。
<ひとことreview> 2005年日本映画界、最大の収穫。練りに練られた設計図のような巧妙な脚本。素晴らしい。「あ、あのとき、あの人はあそこにいたんだ」というのが、映画が進むにつれてだんだんと明らかになっていくのが面白い。ラストも、「あ、こういう終わり方なんだ」っていうぐらいナチュラルなんだけど、それが逆にこの映画らしくてとても良い。最後に登場する宮田の同僚(映画の冒頭で、翌朝宮田の家に行く約束をしていたのだ)が、すぐには誰だったか思い出せないぐらい、濃密なある一夜の物語。見事なアイデア、見事な脚本。文句なしに面白い!
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:24 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<イ>
・硫黄島からの手紙(2006、米) ★★★★★★★★☆☆(8点)
   監督 クリント・イーストウッド
   出演 渡辺謙 二宮和也 伊原剛志
<story>1945年、硫黄島。アメリカ軍の上陸が近づいてくる中、日本軍は疲弊しきっていた。そんな中、新しい司令官として、栗林中尉が島に到着する。アメリカでの生活経験を持つ栗林は、欧米流の合理的な考え方の持ち主。到着早々、兵隊の西郷に体罰を加える上官に「体罰は止めろ」と命じ、さらに海岸沿いの穴掘りを「無駄な仕事」として即刻やめさせる。西郷は、そんな栗林を尊敬の眼差しで見つめるが、一方で軍の上層部の中には快く思わない面々も数多くいた。そんな中、ロス五輪の馬術競技で金メダルを取った西中佐は、数少ない栗林の協力者の1人だった。栗林の作戦は、海岸は放棄し、戦力を後方に温存しながら米軍を迎え撃つというもの。戦力も乏しく、陸海空軍間の連携も全く取れていない状況では、少しでも長く戦いを続けるためにはこれしか手はないと考えていた。開戦を前に、栗林は部下たちに「命を捨てるな。生きろ」というメッセージを伝える。そしていよいよ、米軍が島に上陸。栗林の作戦は最初こそ功を奏すが、次第に兵が尽き始める。西郷の部隊も、彼と清水だけを残して全滅してしまう。清水は当たり前のように自決を提案するが、西郷は栗林の言葉通り生き延びることを選び、渋々同意した清水と共に、持ち場である擂鉢山を離れ別の部隊に合流する。栗林に反意を抱く伊藤は、そんな西郷の姿を見て、自決せずに持ち場を離れたことを激しく非難する。伊藤は西郷を処刑しようとするが、そこに現れた栗林はそれを止める。納得できない伊藤は、栗林の待機命令を無視して1人で前線へと突き進んでいくが、途中で恐怖のあまり怖じ気付き、死んだフリをして身を隠すことにする。西郷と清水は、西が率いる部隊と合流する。途中で捕獲した米兵捕虜を、清水は即刻殺そうとするが、西はそれを止める。そして、米兵に対して英語で話しかけ、コミュニケーションをとるのだった。翌朝、米兵は負傷が悪化し死んでしまう。西は、米兵の荷物の中にあった母親からの手紙を翻訳して兵たちに聞かせる。そこに書かれていたのは、彼らの母親たちと全く同じ、我が子の無事を願う母親の愛の言葉だった。清水は、米兵はただの鬼畜だと思っていた自分の考えは間違っていたことに気付く。彼は、危険思想を取り締まる憲兵隊の出身で、西郷も当初は清水のことを、自分たちを監視するために軍に潜入したスパイだと考えていた。しかし、清水が硫黄島に来たのは、彼が上司の命令に背き憲兵隊をクビになったからだった。清水と西郷は、ようやく心を通わせる。そんな中、西が敵の攻撃によって重傷を負ってしまう。西は、部下たち全員を逃げさせた後で、自ら命を絶つ。そして清水も、米兵に捕らえられて殺されてしまう。西郷らは、やっとのことで栗林の待つ洞窟にたどり着く。栗林は、生き延びた西郷を「立派な軍人だ」と称えるが、西郷は「自分はただのパン屋です」と謙遜する。西郷は、故郷に妻と赤ん坊を残してきており、毎日妻宛に手紙を書いては、まだ見ぬ我が子の姿を思い浮かべていた。栗林は、家族を想う西郷の気持ちに共感する。栗林もまた、妻と我が子を故郷に残してきており、いつも手紙をしたためていたのだ。栗林は、西郷に手紙を全て燃やすように命じ、先陣きって戦場へ飛び出していく。西郷は、全ての手紙を燃やさず、そのうちのいくつかを袋に入れて地中深く埋める。栗林は、敵の銃弾を浴び、重傷を負う。瀕死の栗林は、西郷に「自分の遺体を埋めてくれ」と遺言を遺し、深い眠りにつく。そして西郷は、米軍に捕らえられ、生き延びるのだった。そして時は流れ、終戦から数十年後、硫黄島の地中深くから無数の手紙が発見される。そこには、家族を想う兵士たちの、無数の言葉が記されているのだった。
<ひとことreview>硫黄島2部作、日本編。米国編である『父親たちの星条旗』と比べると、極めて王道の戦争映画になっている。『父親・・・』が、戦争が社会や兵士に及ぼす影響など、戦争というものを少し角度をつけて描いているのに対して、この『硫黄島・・・』は”戦争そのもの”を真正面から描いている。個人的には、映画としての完成度は『父親・・・』の方が上だと思うが、にもかかわらずこの『硫黄島・・・』の方がアメリカで高い評価を得ているのは、敵国である日本軍の視点で描かれている点が凄く新鮮であるからなのだろう。確かに、「戦争に敵も味方もない。全員が、戦争の被害者なんだ」というのは、この映画の重要なテーマの1つと言えるだろう。そういう意味では、やはりこの2部作は、「2つで1本」という性格をもっているのだと思う。

・犬神家の一族(2006、日) ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
  監督 市川崑
  出演 石坂浩二 松嶋菜々子
<story>信州の製薬王・犬神佐兵衛が亡くなった。一族が注目するのは、遺言状の内容。その莫大な財産は、誰の手に与えられるのか。遺言状を預かった古舘法律事務所の助手・森山は、その遺言の驚くべき内容を知り、一族の血みどろの争いを予期して探偵・金田一耕助を招く。しかし、金田一が村に着くと、森山は何者かに殺されてしまう。佐兵衛には、松子・梅子・菊子という腹違いの娘がおり、それぞれに佐清・佐武・佐智という息子がいた。佐清は戦争から帰ってきたばかりで、戦場で顔にひどい傷を負い、仮面をかぶっていた。梅子や菊子は、その仮面の男は、松子が財産を相続させるために連れて来た偽者ではないかと疑っていた。また、屋敷の中には、野々宮珠世という女性も住んでいた。彼女は佐兵衛の恩人の孫娘で、佐兵衛は実の娘以上に大切に扱っていた。弁護士の古舘によって遺言状の内容が読み上げられた。そこには、「斧・琴・菊の全ての財産は、珠世に譲る。ただし珠世は、佐清・佐武・佐智のいずれか1人と結婚すること」と書かれていた。怒りに震え上がる三姉妹。そして、次々に恐るべき殺人が起こる。第一の被害者は、佐武。背中を鋏で刺され、首を斬られて菊人形に見立てて殺された。第二の被害者は、佐智。殺害後、琴の弦を首に締められて殺された。いずれの殺害も、珠世や、彼女を常に影から守る猿蔵の仕業ではないかと疑われるが、証拠は見つからない。そんな中、近くの宿に顔を布で隠した謎の復員兵が現れる。警察は彼の正体を青沼静馬でないかと考え、彼を疑う。静馬は、佐兵衛に愛された菊乃の息子で、菊乃が三姉妹によってボロボロに体を傷つけられて死んだことにより、犬神一族に恨みを抱いていることが予想されたからだ。そんな中、第三の殺人が起こる。被害者は、佐清。斧で背後から斬られて殺された。しかし、その遺体から指紋をとると、佐清のそれと一致しないことが判明する。遺体は、佐清ではなく静馬だったのだ。そして、本物の佐清が全てを自白する形で逮捕される。しかし金田一は、犯人は他にいると考え、独自の捜査を展開し真相を暴く。真犯人は、松子。全ては、彼女が財産欲しさに行った殺害だった。彼女が佐清として連れてきた仮面の男は、佐清のフリをした静馬だった。静馬は、犬神家をのっとることを企んでいたのだ。しかし、その動きを知った佐清が戦場から戻ってきた。そして佐清と静馬は、偶然にも松子が佐武を殺す現場を見てしまったのだ。静馬は、母親を守りたい佐清の心情を利用しようと考え、佐清を脅して殺害現場の細工をさせた。しかし、仮面の男が静馬だと知った松子によって、静馬は殺されたのだ。そして佐清は母親をかばおうとして、嘘の自白をしたのだ。珠世は、佐清を愛しており、仮面の男は佐清ではないと確信してそれをなんとか暴こうと様々な行動をとっていたのだった。観念した松子は、珠世に「佐清と一緒になってくれるわね?」と尋ね、珠世が頷くのを確認した後、服毒自殺してしまう。金田一は全てを解決し、村をあとにするのだった。
<ひとことreview> 名作映画のリメイク。監督も同じで、ストーリーはおろかカット割までほぼ忠実、キャスティングだけを一新した珍しいスタイルのリメイクだ。といっても、僕はオリジナルを知らないので、純粋に1本の映画として楽しんだ。セリフ回しや構図などがさすがに若干古臭いが、それがむしろレトロでクラシカルな独特の雰囲気に繋がっており、かえって新鮮。ただ、ストーリーは期待していたほどには面白くなかったなぁというのが正直な感想。人物相関が複雑なわりに、それを完全に活かせているとも言えず、肝心の真相も破綻こそないものの、さしたる驚きや発見・感動もなく、やや拍子抜けだった。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:24 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<エ>

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# by inotti-department | 2006-02-21 12:23 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<オ>
・奥さまは魔女(2005,米)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
     監督 ノーラ・エフロン
     出演 ニコール・キッドマン ウィル・フェレル シャーリー・マクレーン
<story> 魔女のイザベルは、ハリウッドで新生活をスタートする。彼女の願いは、魔法に頼らず、人間のように暮らすこと。そして、普通の恋をして、誰かから必要とされること。一方、落ち目の映画スター・ジャック。主演映画が立て続けにコケて、妻も出て行ってしまった。彼は、TVドラマ『奥さまは魔女』のリメイク作で、復活を狙っていた。問題は、魔女のサマンサを誰に演じさせるか。ジャックは、自分を引き立たせるために、新人の起用を監督に要求する。そんなとき、ジャックは町でイザベルと出会う。彼女の”鼻ピクピク”を見て、彼はイザベルをサマンサ役に抜擢する。まさか、彼女が本物の魔女だなどとは夢にも思わずに。「君が必要だ」というジャックの言葉を受け、イザベルもその気に。しかし、撮影がスタートすると、自分さえ目立てばよいという自己中心的なジャックの考え方に深く失望する。イザベルの悩みを聞いた魔女のクララおばさんは、ジャックに呪いをかける。すると、ジャックはたちまち改心し、イザベルに夢中に。夢のような展開にイザベルは舞い上がるが、ふと我に返る。魔法には、もう頼らないと決めたのだ。イザベルは、呪いを解く。イザベルは、自分勝手なジャックを激しく叱咤する。それを聞き、ジャックも心を入れ替える。すると、撮影もスムーズに進み、2人の仲も次第に親密に。しかし、大きなウソをついていることに心を痛めていたイザベルは、自分の正体を明かす。ジャックは取り乱し、イザベルを追い払おうとする。傷心のイザベル。しかし、それはジャックもまた同じだった。イザベルへの想いの気付き、ジャックは彼女のもとへ。告白し、2人は結ばれる。2人は、新しい生活をスタートさせるのだった。
<ひとことreview> アメリカの人気テレビドラマのリメイク作。といっても、劇中劇のスタイルをとっており、正確な意味でのリメイクではない。残念なのは、この設定が全く生かされていないこと。魔女役を魔女が演じることで起こるドタバタによる笑いを僕は期待したのだが、そういう笑いはほとんどなかった。最後まで観ても、こういう設定のリメイクにした理由が、僕にはわからなかった。ただ、コメディとしては物足りないが、王道のロマンティック・コメディとしては十分に満足。ニコールの演技も上々。彼女がこれほどラブコメを魅力的に演じることができるとは、僕は思っていなかった。素晴らしい。監督もラブコメの女王ノーラ・エフロンなのだし、こんなことなら、リメイクにとらわれない王道のロマンティック・コメディが観たかった。僕が、オリジナルを見たことがないから、余計にそう思ったのかもしれないが。

・オリバー・ツイスト(2005、英)  ★★★★★★☆☆☆☆(6点)
   監督 ロマン・ポランスキー
   出演 バーニー・クラーク  ベン・キングスレー
<story> 19世紀、イギリス。養育院で育った孤児のオリバーは、9歳になり救貧院に戻ってくる。しかし、そこでおかわりを要求したことを責められ、オリバーは追放されてしまう。葬儀屋に拾われたオリバーだが、そこでもイジメにあい、ついに家を飛び出す。オリバーは、7日間かかけて歩き、ロンドンへ。そこで出会ったのは、”早業”ドジャー。彼の案内で、オリバーはフェイギンという老人のもとで居候することに。しかし、フェイギンの正体は、スリ集団のボス。彼は、ドジャーとその仲間たちにスリの技を教え、その稼ぎをもとに生活していたのだ。フェイギンは、素直なオリバーをかわいがり、彼にもスリの技を伝授する。そしてついに、はじめて街へ出ることを許可される。さっそく本屋でスリを実行するドジャーたち。彼らは逃げるが、オリバーは逃げ遅れて捕まってしまう。目撃者の証言でなんとか罪を免れたオリバーを、スリの被害者・ブラウンロー氏は連れ帰る。オリバーの素直さを気に入ったブラウンローは、彼にキレイな服を着せ、息子のようにかわいがる。ある日、彼はオリバーにお届け物の仕事を頼む。オリバーは出掛けるが、そこでフェイギンの仲間・ビルの情婦であるナンシーと遭遇し、捕まってしまう。フェイギンとビルは、オリバーが自分たちのことを警察にバラすのではないかと気を揉んでいたのだ。ビルは、オリバーの裏切りを阻むために、彼を連れてブラウンローの家へスリに出掛ける。しかし、失敗に終わり、オリバーは撃たれて負傷してしまう。オリバーの身を案じたナンシーは、ブラウンローと密会し、オリバーの居所とフェイギンの正体を告げる。しかし、彼女の動きに気付いたビルは、ナンシーを撲殺する。一度は街を離れて逃げたビルだが、逃亡資金を調達するために再びフェイギンの隠れ家へ。ビルの戻った隠れ家を、警察は包囲する。ビルはオリバーを人質に抵抗するが、誤って自ら首を吊ってしまう。再びブラウンローに保護されたオリバーは、刑務所へ向かう。目的は、フェイギンと会うこと。しかし、絞首刑を控えたフェイギンは、錯乱状態に陥っていた。オリバーは、自分の世話をしてくれたフェイギンにお礼を言う。オリバーを抱き締めるフェイギン。オリバーは、馬車に乗って刑務所を離れるのだった。
<ひとことreview> なんとも物語らしい物語。オリバー少年の遭遇する、哀しくて不思議な体験談。運命に翻弄されながらもひたむきに生き抜いていく少年の姿は、とても感動的だ。ただ、前半の100点満点の語り口に比べると、フェイギンのもとを離れてからの後半の展開はやや物足りない。突然、視点が”大人たちの思惑”へシフトし、オリバーの存在感が薄くなってしまったからだ。本音を言えば、オリバーとドジャーら少年たちの、カタルシスを感じさせるような冒険活劇を観てみたかった。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:22 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<キ>
・キング・コング(2005、米)   ★★★★★★★☆☆☆(7点)
     監督 ピーター・ジャクソン
     出演 ナオミ・ワッツ  ジャック・ブラック
         エイドリアン・ブロディ
<story> 1933年、NY。支援を打ち切られ追い詰められた映画プロデューサーのカールは、起死回生の策として、未開の島を舞台にした冒険映画の製作を企てる。そして同じ頃、売れない女優のアンもまた、劇場の閉鎖によって失業の危機に瀕していた。カールは、街で見かけたアンの美しさにひと目ぼれし、主演女優としてスカウトする。アンは初め躊躇するが、脚本家が憧れのジャック・ドリスキルと知り、参加を決断する。こうして、カールとアン、ジャックを乗せた船は航海に出発。アンとジャックは、船上で瞬く間に恋に落ちる。カールは最初、目的地をシンガポールと伝えていたが、本当の目的地は伝説の島”スカル・アイランド”。そこは、高い壁に囲まれ、原住民や恐竜、怪物たちが暮らす危険な島だった。降り立ったカールたちは、すぐに原住民の襲撃にあい、アンがさらわれてしまう。原住民は、アンを怪物”キング・コング”に生贄として捧げる。ジャックたちはアンを救出しようと追いかけるが、途中で遭遇した怪物たちによって次々に仲間を殺されてしまう。一方アンは、最初はコングに脅えていたが、コングが怪物たちから自分を守ってくれたことから、次第に心を開くようになる。コングと穏やかな時を過ごしていたアンのもとに、ひとり救出を諦めなかったジャックがやってくる。アンを連れて逃げるジャック、それを追うコング。門のところに着くと、待ち受けていたのはカール。カールは、クロロホルムを嗅がせ、コングの生け捕りに成功する。数ヵ月後のNY。劇場はその日、満員の観客で溢れかえっていた。お目当ては、”キング・コング”。カールは大喝采の中ステージにあがり、いよいよコングを披露する。最初は喜んでいた観客たちだが、暴れだしたコングが手錠を破壊したことから事態は急変。一目散に逃げまどう人々。街中を破壊するコング。コングはアンの姿を捜す。そしてアンもまた、出演していた舞台を抜け出し、コングのもとへ。一方、ジャックも、アンを守るため、そして彼女に本当の想いを伝えるため走りだす。ついに再会を果たすコングとアン。ビルの頂上から、肌を寄せ合い街を眺める。しかし、警察と軍隊は総動員でコングに容赦なく銃弾を向ける。力尽きたコングは、地上に転落。失意のアンは、ジャックの胸に泣きつくのだった。
<ひとことreview> 究極のB級映画にして、一級のエンタテインメント大作。そして何より、キュートで切ない異形のラブ・ストーリー。前半は少しダレ気味なパートも多いが、ラスト1時間の盛り上がりはスゴイのひとこと。まさに1秒たりとも、スクリーンから目を離すことができない怒涛のクライマックス。アンとコングの氷上のダンスなど、心に残る名シーン・名カットも多数。主役3人の配役も、地味だけど適材適所で素晴らしい。中盤のB級テイストを受け入れられるかどうかに、この映画を楽しめるかはかかっている。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:21 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<カ>
・カーズ(2006、米)   ★★★★★★★★☆☆ (8点)
   監督 ジョン・ラセター
   声の出演 オーウェン・ウィルソン ポール・ニューマン
<story>マックイーンは、若き天才レーシングカー。実力はピカイチだが、自己中心的な性格のため、友達はひとりもいない。世界一を決定するレース「ピストンカップ」を1週間後に控え、会場のカリフォルニアへ向かう途中、マックイーンは事故に巻き込まれ迷子になってしまう。たどり着いたのは、見たこともないサビれた町。そこは「ラジエーター・スプリングス」という名の、地図からも消された町だった。道をボロボロに傷つけてしまったマックイーンは、町の裁判所で裁かれ、道を直すまでは町に閉じ込められることに。早くレース会場へ向かいたいマックイーンは、最初はイヤイヤ道の舗装をするが、自分を親友と呼ぶレッカー車のメーターや、モーテルに自分を泊めてくれた心優しいサリーらと出会い、次第に心地よさを感じるようになる。そんな彼に唯一厳しく接するのが、老紳士ドック。ある日、ドックの家の物置きで、マックイーンは予想もしないものを目にする。それは、若き日のドックが勝ち取った「ピストンカップ」の優勝カップ。ドックは、伝説の名レーシングカー”ハドソン・ホーネット”だったのだ。しかし、ドックは3連覇した次の大会で途中棄権して新人に敗れたときにマスコミや世間から冷たくされ、すっかりレーシングカー嫌いになってしまったのだ。マックイーンは、ひと晩徹夜して道を直し、翌日町の仲間たちとの楽しいひと時を過ごす。そこに、突然現れたマスコミ軍団。マックイーンを疎ましく思ったドックが、彼の場所を教えたのだ。連れ去られるように町を去るマックイーン。レース当日。サリーらと過ごした日々が脳裏をよぎり、レースに集中できない。遅れをとるマックイーン。そこに届いた、ドックの声。町の仲間たちが、応援に来てくれたのだ。最高のスタッフをピットに迎え、巻き返すマックイーン。ライバルを抜き去り、先頭でゴールへ向かう。しかし、ゴールラインの目の前で、突然ストップする。長年チャンピォンだったキングがクラッシュで止まってしまったのを見て、かつてのドックと重ね合わせたのだ。「キングは棄権するべきではない!」キングをうしろから押してゴールへ向かうマックイーン。結局、彼は3位でゴールインする。そんな彼を、観衆は割れんばかりの大歓声で祝福する。レース終了後、キングのスポンサーがマックイーンを勧誘するが、彼は断る。自分は仲間を裏切れない、と。マックイーンは、ラジエーター・スプリングスを拠点に生活をはじめる。愛するサリーと一緒にドライブを楽しむマックイーン。そして町には、続々と観光客が押し寄せてくるのだった。
<ひとことreview>いつもクオリティの高いアニメーション映画を作りつづけるピクサー。今回の仕事もまた素晴らしいのひとこと。レースシーンをはじめとする映像、魅力あふれるキャラクター。しかし、何にもまして素晴らしいのは、やはりそのメッセージ。「ひとりで何でもできたって、それで寂しくないの?」「ときには高速を降りて、脇道にそれて立ち止まってみようよ」「勝つことよりも大切なことがある」ピクサーのメッセージは、いつだって正しい。

・カポーティ(2006、米)   ★★★★★★★☆☆☆ (7点)
   監督 ベネット・ミラー
   出演 フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー
<story> 1959年、カンザス州ホルカムで発生したクラッター一家4人惨殺事件。事件の一報を掲載する新聞記事を読んで、人気作家のカポーティは強い関心を抱く。新しいジャンル「ノンフィクション・ノベル」として、カポーティはこの事件を題材に小説を執筆すべく、相棒のネルとともにホルカムへ向かう。捜査にあたっていたのは、地元の刑事・デューイー。最初はカポーティの取材を頑なに拒む彼だったが、妻がカポーティの小説のファンだったことから、取材に応じるようになる。捜査は難航していたが、やがて有力な情報が寄せられ、2人の青年が逮捕される。容疑者は、ディックとペリー。カポーティは、内気で不器用で、しかし知性も感じさせるペリーにシンパシーを抱き、接近する。さらにカポーティは、有能な弁護士を付けさせ、2人の裁判を長引かせることに成功する。次第にカポーティに心を開きはじめるペリー。そして、カポーティはその裏で、小説のタイトルを「冷血」に決め、執筆を進める。カポーティは「冷血」の一部を朗読会で披露し、絶賛を浴びる。出版社の担当者はすぐに小説を完成させるよう進言するが、カポーティはなかなか結末を書くことができない。彼にはわかっていたのだ。この小説は、2人の死刑執行をもってしか完成し得ないことが。小説の完成とペリーへの同情の狭間で葛藤するカポーティは、ペリーからたびたび届く手紙から目を背け、次第に距離を置き始める。時は流れ、久しぶりにペリーのもとを訪れたカポーティは、事件当夜のことを語るようにペリーに強く迫る。そして、ペリーは語った。クラッター家に大金が隠されているという噂を聞きつけ一家を襲った2人だったが、家の中に現金は見当たらず、たったの40ドルしか彼らは手に入れることができなかった。動揺した2人は、家の中にいた全員を発作的に殺してしまったのだ、と。時は流れ、事件発生から6年が経過した。カポーティは、いまだに「冷血」を書き終えることができずにいた。そこに、ペリーから電話が入る。控訴が取り下げられ、ついに死刑執行が決まったという。「友人に最後を見届けてほしい」というペリーの願いを聞きいれ、カポーティは彼の元へ向かう。そして、カポーティの目の前で、刑は執行されるのだった。その後、カポーティは「冷血」を書き上げたが、以後彼は生涯、一作も世に作品を発表することができなかった。
<ひとことreview>アメリカ文学を代表する作家トルーマン・カポーティは、なぜ『冷血』を最後に小説を書くことが出来なくなってしまったのか?この謎を切り口に、『冷血』完成の裏に秘められたエピソードを映画化したのが今作だ。僕はカポーティという作家をまったく知らなかったけれど、この切り口を聞いただけで、この映画を観てみたいと思った。そして、期待に違わず、とてもよくできた映画だと感じた。作家としての苦悩・葛藤を巧みに表現したホフマンの演技が素晴らしい。取材者と被取材者の距離感というのは、本当に難しいものなのだろう。距離が縮まれば縮まるほど被取材者は心を開くようになるが、そうなればなるほど、客観的な文章を書くことは難しくなる。その過程で、カポーティは、心の闇を広げてしまったのかもしれない。

・かもめ食堂(2006、日)   ★★★★★★★★☆☆ (8点)
   監督 荻上直子
   出演 小林聡美 片桐はいり もたいまさこ
<story>フィンランド、ヘルシンキ。サチエは、たった一人で「かもめ食堂」という名の日本料理を出す食堂を切り盛りしている。オープン後、ひとりもお客さんの来ていなかったお店に、ついに初めてのお客さんがやって来る。トンミという名のそのお客さんは、カタコトの日本語を操る”日本かぶれ”の青年。サチエは、トンミから「ガッチャマン」の歌詞を教えてほしいと頼まれるが、思い出せない。そんなある日、サチエは街で日本人女性を見かけ、声をかける。「ガッチャマン」の歌詞を尋ねようと思ったからだ。彼女は、完璧に教えてくれる。彼女はミドリという名で、日本で辛い経験をして、心機一転遠くフィンランドへやって来たようだ。2人は親しくなり、やがてミドリも「かもめ食堂」を手伝うことになる。トンミ以外にも少しずつお客さんが入るようになってきた食堂に、またひとり日本人が訪れる。彼女はマサコという名で、旅行でヘルシンキへ来たのだが、飛行機の乗り換えの際の航空会社のミスで荷物が行方不明になっていた。荷物が戻るのを待つ間、マサコも食堂を手伝うことに。その後、「かもめ食堂」の前に同じ場所でコーヒーショップを開いていた男性、夫に出て行かれてしまった婦人など、様々な人との交流を重ねる3人。そんな中、ついにマサコの荷物が戻ってくる。サチエとミドリはマサコの帰国を覚悟するが、開けてみると荷物の中身が変わっていた。滞在の延長を決めるマサコ。毎日マジメに料理を出しつづけるサチエらの努力が実り、ついに満席となる「かもめ食堂」。美味しいおにぎりをメインメニューに、サチエら3人は今日も元気よく「いらっしゃい!」と店を切り盛りするのだった。
<ひとことreview>特別な出来事など何も起こらずに、穏やかな時が流れつづける”のほほん映画”。しかし、これが不思議と心に響くのだ。美味しいごはんと素敵な友達の存在さえあれば、人は十分に幸せになれる。そんな温かく前向きな気持ちになれる、とっても素敵な映画。満席となった食堂には、日本人とフィンランド人の笑顔が溢れていた。満足!
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:21 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<ケ>
・敬愛なるベートーヴェン(2006、英・洪) ★★★★★★★☆☆☆(7点)
  監督 アニエスカ・ホランド
  出演 エド・ハリス ダイアン・クルーガー
<story>1824年、ウィーン。”第九”の初演会を4日後に控えた大作曲家ベートーヴェンのもとに、1人の女性がコピースト(写譜家)として派遣される。彼女の名はアンナといい、音楽学校を首席で卒業し、将来は作曲家になることを夢見ている。しかしベートーヴェンは女性に音楽は出来ないと決め付けており、アンナをすぐに追い返そうとする。しかし、アンナは自分が完璧にコピーした楽譜をベートーヴェンに見せ、さらにベートーヴェンがトラップとしてわざと間違えて記した楽譜を、正しい形に直してみせる。ベートーヴェンは、彼女の才能、そして自分の音楽への理解の深さを知り、彼女をコピーストとして雇うことにする。アンナは尊敬する大作曲家の仕事を手伝えることに大きな喜びを感じるが、同じ部屋で過ごすにつれ、彼の粗暴で下品な振る舞いに辟易しはじめる。さらに、彼女が下宿する修道院の婦人も、アンナに音楽を諦め神の道に進むように進言する。また、アンナにはマーティンという恋人がいた。マーティンは建築家を志しており、セーヌ河に掛ける橋のコンペへ向け、デザイン作りに精を出していた。彼もまた、もう何年も新作を発表していないベートーヴェンを「終わった音楽家」とみなしており、アンナが彼のもとで仕事していることをあまり好ましく思っていなかった。しかしアンナは、ベートーヴェンの音楽的才能と、自分を信頼してくれることを誇りに思い、充実した思いで写譜に取り組む。一方、ベートーヴェンにはカールという寵愛する甥がいた。ベートーヴェンは、カールにも作曲家になってほしいと望んでいたが、カールは自分の才能のなさに苦しみ、借金まみれの荒んだ日々を過ごしていた。そして初演会当日。マーティンとともに客席についたアンナは、ベートーヴェンに呼び出される。耳の聴こえない彼は、指揮をとることに対してナーバスになっていたのだ。アンナは、「私が付いています」と勇気付け、演奏者の間に座ってベートーヴェンの指揮をサポートすることにする。名だたる作曲家や大公の前で披露された”第九”は、その壮大かつ感動的な演奏によって、満場の大きな拍手に包まれる。こっそりと聴きにきたカールも、感動して涙を流す。大きな仕事を成し遂げたベートーヴェンは、アンナを指さし「これは2人でやったんだ」と彼女に賛辞を送るのだった。翌日、気をよくしたアンナは、自分の作曲した楽譜を持ってベートーヴェンを訪ねる。しかし、ベートーヴェンは「良い曲だが、オナラを連発したような曲だ」と嘲笑し、深く傷ついたアンナは部屋を飛び出す。その数日後、あの日以来姿を見せなくなったアンナのもとをベートーヴェンが訪れる。彼は、「一緒に曲を手直ししよう」と呼びかけ、アンナもそれに従う。その日から、2人の共同作業が始まる。ベートーヴェンは、構成や形式にこだわるアンナに、「心の声に耳を傾けろ」とアドバイスする。一方、アンナはベートーヴェンを敬愛するあまり、彼の曲にそっくりな曲を作ってしまい、「良い曲だが、唯一の欠点は私の模倣であることだ」と指摘される。そんな中、マーティンのデザインした橋のコンペが行われ、その会場をアンナとベートーヴェンが訪れる。アンナは、そのデザインの平凡さに疑問を感じながらも、恋人に気を遣い作品を褒める。しかし、ベートーヴェンはその作品を酷評し、橋の模型をメチャクチャに破壊してしまう。傷ついたマーティンは、アンナに「今後ベートーヴェンに近づいたら縁を切る」と言い放つ。アンナもベートーヴェンを責めるが、一方で作品に対する意見は彼と同じであり、結局引き続きベートーヴェンの側にいることを決意する。そして、ベートーヴェンが「これは未来への架け橋だ」という自信作『大フーガ』が完成。大公の前で披露するが、曲の良さは理解されず、アンナを残して全員が席を立ってしまう。ベートーヴェンは「予想通り」と強がるが、直後、気を失って倒れてしまう。病にかかり床に伏せるベートーヴェンは、アンナにメロディを伝え、彼女はそれを楽譜にしていく。それは、美しいメロディの聖歌だった。ベートーヴェンが死ぬまで、アンナは側を離れなかった。そして、彼の死後、『大フーガ』はそのクオリティの高さを再評価され、後世の音楽家たちに大きな影響を与えたのだった。
<ひとことreview>ベートーヴェンの知られざる晩年の日々。『第九』誕生の裏側を描いたこのドラマは、もちろん基本的にフィクションなのだと思う。しかし、ベートーヴェンを演じたエド・ハリスと、アンナを演じたダイアン・クルーガーの大熱演によって、実に説得力ある見応え十分の力作となっている。恋人のような、母子のような、師弟のような、2人の関係がユニークで面白い。彼らの間には、愛情・同情・憧憬・羨望・嫉妬など、様々な感情が渦巻いている。しかし、根底には強い尊敬があり、それが彼らを特別な関係にしたのだろう。圧巻は、中盤の”第九”コンサート。僕は、その感動的な演奏に、涙が止まらなかった。

・ゲド戦記(2006、日)  ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
   監督 宮崎吾朗
   声の出演 岡田准一 手嶌葵
<story>王である父親を刺し殺して国を飛び出したエンラッドの王子・アレンは、ハイタカと名乗る魔法使いと出会う。ハイタカは、世界の異変の原因を突き止めるべく旅を続けていた。行動を共にすることになった2人は、ハイタカの古い友人・テナーの家に身を寄せる。テナーには、テルーという娘がいた。テルーは、心に闇を持ち命を粗末にするアレンを毛嫌いし、心を開こうとしない。一方、ハイタカに恨みをもつ魔法使いのクモは、手下であるウサギに命じ、ハイタカの居場所を探らせる。彼がテナーの家にいることを知ったクモは、アレンを屋敷へ連れ去る。ハイタカを貶める言葉を並べるクモの前に、アレンは混乱し、クモの手下になってしまう。一方、ウサギはクモの命令でテナーを拉致する。テルーからアレンもテナーもいなくなったことを告げられたハイタカは、2人を救出するためにクモの館へ向かう。しかし、クモはテナーとともに地下牢に監禁されてしまう。一方、テルーも、アレンの影と遭遇し、彼を追ってクモの館へ向かう。テルーに勇気付けられたアレンは、心を取り戻し、ハイタカとテナーを救出するためにクモに立ち向かう。クモは、死を極端に恐れ、永遠の命を手に入れようとしていた。クモの魔法により、世界は混乱していたのだ。アレンも心の闇を恐れていたが、テルーやハイタカの言葉により、心の闇を受け入れる。アレンは、竜の化身であるテルーとともに、クモを倒す。こうして、世界に平穏が訪れた。アレンは全てを受け入れ、エンラッドへと戻るのだった。
<ひとことreview>宮崎駿の息子・吾朗の初監督作品。冒頭、いきなり主人公が父親を殺したときには、駿を越えようとする彼の覚悟を感じたのだが、それはどうやら間違いだったらしい。映画は、良くも悪くも”ハヤオ的世界”を脱却することができていない。そのうえ、ストーリーにも魅力なし。何のための旅なのか、何のための戦いなのか、登場人物の口からセリフとしては語られるものの、それが説得力ある形となって映画として表現されていない。個人的には、宮崎駿には撮り得ないような、タイプの違うアグレッシブな作品を作ってほしかった。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:20 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<ク>
・暗いところで待ち合わせ(2006、日)  ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)
   監督 天願大介
   出演 田中麗奈 チェン・ボーリン 井川遥
<Story> 幼い頃の交通事故が原因で視力を失ったミチル。母親は家を出て行き、父親と一緒に暮らしていたが、その父親がある日突然死んでしまう。ひとりぼっちになったミチルは孤独に泣き叫ぶが、彼女にとって知り合いと言える人間は親友のカズエひとりだけ。そんなある日、ミチルの部屋の窓から見える駅のホームで事件が起こる。ひとりの男性が、線路に転落して電車にはねられて死亡したのだ。その直後、ある青年がミチルの部屋に忍び込む。青年は、事件の容疑者として報じられているアキヒロという男だった。アキヒロは、事件の被害者である松永の同僚だったが、松永による陰湿なイジメに苦しめられていた。そして事件の起きたときにホームにいたところを駅員によって目撃されており、事件の重要参考人としてマスコミは報道していた。アキヒロは、ミチルの目が見えないことを利用し、気付かれないように息を潜めて部屋に居座りながら、事件現場であるホームの様子を窺う。ミチルは、ときどき人の気配のようなものを感じながらも、カズエに対しては「部屋に幽霊がいるみたい」と相談する。カズエは、父親が死んで以来全く部屋から出ようとしなくなったミチルのことを強く心配していた。風で飛ばされたミチルの洗濯物を届けたことから知り合いになった隣人のハルミが働くレストランに誘うなど、なんとかしてミチルを外に出そうとするが、ミチルは「ひとりでも生きていける」と取り合わず、2人は喧嘩をしてしまう。そんなミチルに、アキヒロは自分自身を重ねあわせていた。彼は中国人と日本人のハーフで、中国でも日本でも自分の居場所が見つからず、他人に心を開くことが出来ずにいた。アキヒロは、ついにミチルの手を掴み、彼女の手を引いてカズエの家まで連れていく。仲直りする2人。一方、アキヒロは、カズエの家からの帰り道、衝撃的な事実に気付く。ミチルが貸してくれたコートのポケットに入っていた1枚の写真。そこには、ミチルの横で笑うハルミの姿が。彼女こそ、アキヒロがずっと捜していた、松永殺害の真犯人だった。アキヒロはあの日、確かに松永の背後に立ったが、躊躇して突き落とすことができなかったのだ。そこに現れ、松永の背中を押したのがハルミだった。アキヒロがミチルの部屋に侵入したのは、真犯人がまた駅に現れるに違いないと考えていたからなのだ。ミチルに真相を告げるアキヒロ。そんな中、ミチルの部屋にハルミが遊びに来る。ミチルは真相を確かめるべく、ハルミに迫る。危険を感じたハルミは、ミチルの首を絞めにかかるが、間一髪アキヒロが救出する。ハルミは、松永の元恋人だったのだ。こうして事件は解決する。アキヒロはミチルに告げる。「あなたに出会って、自分には他人の存在が必要なんだとわかった」と。ミチルもまた、人の温もりの大切さに気付くことができたのだった。
<ひとことreview> いろいろな要素をもった不思議な映画。前半は、盲目の女性と殺人犯(正確には違うが)の奇妙な同居生活をひたすら描く。正直に言うと、あまりの静かさと現実味のなさに、いつまでこれが続くのかと退屈しかけた。さらに、アキヒロがあっさり自分の存在をミチルに認めてしまうのも、「面白い設定なのに、もったいないなぁ」などとガッカリしていたのだが、ここまでは序章にすぎなかったのだ。後半は、一転してミステリーというかホラーのような展開に。動機の説明は全くないし、別に事件の真相がどうだからどうしたという話ではないのだが、この展開がなかなか面白い。犯人役に井川遥を起用した意外性も見事だし、なかなかの好演。ツッコメばキリがないほど非現実的で脇の甘い物語なのだが、寓話として楽しめば、それはそれで楽しめる。

・クラッシュ(2005、米)  ★★★★★★★☆☆☆ (7点)
   監督 ポール・ハギス
   出演 サンドラ・ブロック  ドン・チードル
<story> 夜のLAで起こった、1つの交通事故。現場から見つかったのは、黒人刑事の死体。黒人刑事のグラハムは、捜査に乗り出す。一方その頃、LAでは人種差別による様々な問題が起こっていた。ジーンは、夜道で黒人2人組に車を奪われてしまう。恐怖を感じた彼女は、自宅の鍵を全て取り替える。その鍵の修理を担当したダニエルは、黒人を嫌悪するジーンから冷たい視線を浴びせられたことに傷ついていた。家に帰ると彼は、娘の寝床へ。娘は、街のいたる所から聞こえてくる銃声に怯えていた。ダニエルは、娘に”透明マント”を着せてあげる。一方、雑貨店を経営するペルシャ人・ファハドは、護身用の拳銃を買いに行くが、イラク人と誤解されテロリスト扱いを受ける。さらに、雑貨店が強盗に遭ってしまう。ファハドは、鍵の修理の際に言うことをきかなかった鍵屋のダニエルを逆恨みする。その頃、パトロール中の刑事ライアンは、黒人の裕福な夫婦キャメロンとクリスティンに職務質問をしていた。人種差別主義者であるライアンは、クリスティンに性的な嫌がらせをする。クリスティンは、ライアンに対してはもちろん、助けてくれなかったキャメロンにも怒りをあらわにする。そして、ライアンの部下ハンセンは、ライアンのその行動に反旗を翻すのだった。その頃、ジーンから車を奪った黒人2人組アンソニーとピーターは、韓国人を轢いてしまい頭を抱えていた。翌日、アンソニーが再び車を奪おうとすると、そこに乗っていたのはキャメロン。彼は、同じ黒人であるアンソニーをかばう行動をとり、警察から守ってあげるのだった。その頃、彼の妻クリスティンは、交通事故に遭っていた。そこに通りかかったのは、ライアン。ライアンの顔を覚えていた彼女は恐怖に震えるが、ライアンは必死で、炎上した車の中から彼女を助け出すのだった。同じとき、ジーンは自宅で転んで負傷していた。そんな彼女を助けたのは、黒人の家政婦。ジーンは黒人というだけで彼女に冷たい態度をとっていたことを恥じ、彼女を和解するのだった。一方、ファハドは、銃をもってダニエルの家へ。彼はダニエルを撃とうとするが、そこに娘が飛び込んでくる。しかし、弾を放ったはずが、娘は無傷。”透明マント”が、彼女を守ってくれたのかもしれない。その頃、グラハムは悩んでいた。交通事故の現場から死体で見つかった黒人刑事・ルイス。彼はコカイン中毒で、金を巡るトラブルに巻き込まれていたようだ。しかし、警察・司法上層部は、次の人事で黒人を登用するため、これ以上の黒人のイメージダウンは避けたいと考えていた。そのため、グラハムに、ルイスはあくまでも被害者として事件を収束させるように指示する。迷うグラハムだが、前科者の弟の存在に目をつぶることを条件として出され、要求を呑む。その頃、グラハムの弟であるピーターは、ヒッチハイクでハンセンの車に同乗していた。しかし、ハンセンは、ピーターがポケットから銃を取り出そうをしていると勘違いし、ピーターを射殺してしまう。彼の死体を投げ捨てるハンセン。グラハムの母は、息子が死体で発見されたことにショックを受け、弟を見つけられなかったグラハムを激しく叱責する。その頃、アンソニーは、人身売買で拘束されていたアジア人たちを街に解放していた。長い夜が、明けようとしていた。
<ひとことreview> アカデミー作品賞受賞作。それも確かに納得できる、すごく誠実に、精巧に作られた良作。ステレオタイプにとどまらないリアルなキャラクター描写が見事。群像劇のため、ひとりひとりの持ち時間は限られているが、全キャラクターが誠実にしっかりと描かれている。誰しもが善悪の両面を持ち合わせているのが、リアルで良い。そのため、彼らの痛み・葛藤がすごくヒリヒリと伝わってくるのだ。ラストには、微かな希望も感じさせ、トーンは終始暗いがやさしさや温かさももちあわせているのもうれしい。派手さはないが、なかなかの良作だ。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:20 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
<コ>
皇帝ペンギン(2005,仏)  ★★★★★★★★☆☆(8点)
     監督 リュック・ジャケ
     声の出演 大沢たかお  石田ひかり  神木隆之介
<story> マイナス40℃の南極。3ヶ月の夏が終わり、ペンギンたちは海からあがり行進をはじめる。目的地は故郷。そこは、最も厚い氷の広がる場所。ペンギンたちは、そこで出産をするのだ。しかし、極寒のため、行進についていけない者は途中で死んでしまう。集まったオスとメスは、ダンスをしながらパートナーを探す。そして交尾が終わり、3ヶ月後。ついに卵を産む。しかし、卵が寒さに耐えられるのは数秒間のみ。ペンギンたちは、体の毛で卵をじっと温める。やがて妻は、ヒナのエサを求めて海へ。夫たちは、固まって暖めあいながら、妻の帰りを待つ。しかし、その間に、寒さに耐えられずに死んでしまうヒナも出る。やがて、妻が戻ると、今度は夫たちが旅に出る。そして、ヒナは親離れのときを迎える。ヒナたちも、親たちがしてきたように、身を寄せ合って寒さに耐え、鳥の襲来に抵抗する。そして父が戻り、ついに家族が揃うと、夏が訪れる。氷が解け始め、家族もそれぞれ旅立ちの時を迎える。夫と妻は、次の冬の再会を誓い合い、それぞれ海へ。そしてヒナも、ひとり海へ。4年後、今度は自分が親になる日まで、たくましく生きていく。
<ひとことreview> 「かわいい~!」と歓声があがるような動物ものかと思いきや、これがなかなかシビア。ペンギンたちが生きている厳しい弱肉強食の世界には、思わず顔を背けたくなるような辛いシーンも多い。しかし、そんなリアルな側面を描いているからこそ、感動と癒しもまた深まってくる。特に、ペンギンたちが身を寄せ合うチームワークは感動的。自分勝手な者の多い僕たち人間が見習うべき点も多い。また、我が子のために勇気と忍耐力の限りを尽くす親ペンギンたちの愛情の深さにも、心動かされずにはいられない。
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# by inotti-department | 2006-02-21 12:19 | 映画ネタバレstory<ア・カ>
『オリバー・ツイスト』 ~物語らしい物語~
e0038935_2395997.jpg満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6点)

『オリバー・ツイスト』(2005、英)
   監督 ロマン・ポランスキー
   出演 バーニー・クラーク 
       ベン・キングスレー

19世紀、イギリス。孤児として養育院で育てられたオリバーは、9歳になり救貧院に戻ってくる。しかし、食事のときにおかわりを要求したことから、追放されてしまう。身を寄せることになった葬儀屋を営む家でも、イジメを受けるオリバー。家を飛び出したオリバーは、7日間かけてロンドンに到着する。疲れはてて路上にうずくまっているところをドジャーという少年に声をかけられ、フェイギンという老人のもとで暮らすことに。しかし、フェイギンは、町を騒がすスリ集団のボスだった・・・。


ベッドの枕元で、母親が子供に物語を読んで聞かせる。
そんな風景って、今もまだ存在してるのだろうか?

この『オリバー・ツイスト』という映画、まさにそんな昔懐かしい風景にピッタリの物語。オリバー少年が遭遇する、切なくて悲しくて、でもちょっと心温まる数奇な体験談。枕元でお母さんから読んでもらえたら、きっと子供たちは寝る間も惜しんでお話に夢中になってしまうだろう。

紙に描かれた町の景色の絵が、やがて映像に変わるオープニング。オリバー少年の物語は、ここから始まる。この冒頭でもラストでも流れるテーマ曲、オリジナルかどうかは知らないが、すごく耳に残る。言うなれば、ドラクエのテーマ曲みたいな感じ(笑)。「冒険がはじまる!」って感じで、胸が高鳴る。

前半が、すごく良い出来栄え。オリバーに襲い掛かる過酷な試練の嵐。葬儀屋のオヤジなんか、実はけっこういい人なんだけどね。奥さんと息子(この2人が、もう最悪にムカツクのだ!)の圧力に屈して、不本意ながらもオリバーにムチでお仕置きをする。あーー、かわいそうなオリバー。でも、そんな不幸にも負けずに純粋さを失わないオリバーの姿が、とってもチャーミングで応援したくなるのだ。

ロンドンに着いてからの、”早業”ドジャーとの印象的な出会い。ここもすごく良い。そして、フェイギンの登場。いかがわしくて気味悪いんだけど、不思議な魅力もある老人。ある意味ファンタジックなこのキャラクターの登場で、ますます映画は”物語”らしさを強めていく。

ここから、オリバーのスリ修行がスタート。素直なオリバーは、何でも吸収して、メキメキ力をつけていく。フェイギンもすっかり気に入って、彼をかわいがる。そしてついに、外へ出て実戦へ。ここまでの物語の流れは、ほぼ100点満点。

ただ。正直な感想としては、ここから先、もうひとつ話が弾まなかったなぁという印象。いや、いろんな登場人物が出てきて、オリバーが運命に翻弄されていくストーリーは、とても劇的ではあるのだけれど。うん、ハラハラもしたし、まずまず楽しめたのも間違いない。でも、なんだろう、僕が観たかった物語とは、ちょっと違ったのだ。なんというか、ハッキリ言ってしまえば、物足りなかった。。。

家に帰る電車の中でも、ずっと考えてた。なにが物足りなかったのかなぁ、って。それで、気付いた。そう、僕が観たかったのは、オリバーと”少年たち”の物語だったのだ。でも、映画の視点は、オリバーを取り巻く”大人たち”へとシフトしていった。それが、なんだかイヤだったのだ。

映画の前半は、完全に”オリバーから見た世界”だった。だから、映像も物語も、すごくイキイキとしていたのだ。でも、後半は、オリバーの存在感が薄くなり、大人たちの交錯する思惑を追いかけるような展開になっていく。まぁ、それはそれで面白いのだけれど、なんだか物語から勢いのようなものが消えてしまった気がしたのだ。ビル、あんたのせいだよ(笑)。

ひょっとしたら、それは監督の狙いだったのかもしれないけれど。汚い大人たちの世界を描き、その中を生き抜いていくオリバーの姿を映しだすことで、ラストの感動を誘う。でも、それにしては、ちょっとオリバーはじめ子供たちの描き方が、後半は不足していたかなという気がする。終盤、ビルにドジャーが反抗するシーンは、この映画の中で僕が一番好きなシーンなんだけど、ああいうカタルシスを感じさせるようなシーンがもっとたくさんあって良かったと思う。というか、この物語には、後半のカタルシスが著しく足りない。だから、案外盛り上がらないのだ。

でも、ラストの哀しくも味わい深いクライマックスは、あれはあれで好き。まさに、”物語”そのもの、という感じで。そんな中で、オリバーが示すやさしさ。真っ直ぐな想い。素晴らしい。ホント、あんたはいい子やね、オリバー(涙)。

そう、結局オリバーは、一回もウソをつかなかったし、誰も裏切ったりもしなかったんだよね。ただ、周りの大人たちが、疑心暗鬼になって右往左往していただけ。最後の最後まで、素直な気持ちを表現しつづけたオリバーのひたむきな姿に、ちょっぴり胸が熱くなった。
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# by inotti-department | 2006-02-21 03:32 | cinema
『プライドと偏見』 ~知的で、繊細で、上品で、そして面白い!~
e0038935_22561361.jpg満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8点)

『プライドと偏見』(2005、英)
    監督 ジョー・ライト
    出演 キーラ・ナイトレイ  
        マシュー・マクファディン

18世紀末、イギリスの田舎町。ベネット夫人の専らの関心は、5人の娘を良家に嫁にやること。ベネット家には男がいないため、主人が亡くなると、娘たちは路頭に迷ってしまうからだ。そんな中、町に大富豪のビングリーが越してくる。長女のジェーンとビングリーが親しくなり、夫人も大喜び。一方、次女のエリザベスは、ビングリーの親友ダーシーの高慢な態度がどうにも気に入らない。最初は反発しあうエリザベスとダーシーだったが、やがて彼女はダーシーの意外な一面に気付きはじめて・・・。


面白い!とても良いです、この映画!

イギリス貴族社会、舞踏会、身分違いの恋。観る前は、なんとなくとっつきにくそうな映画かなぁって思ってたんだけど、映画が始まったら、あらビックリ。確かにクラシカルな話なんだけど、すごく普遍的で、そして適度にコミカルなラブストーリーで、とにかく面白いのなんのって!

これはもう、恋愛ものの教科書のような映画。ストーリーの運びも、キャラクター設定も、古風ではあるものの現代に置き換えても十分に通用する普遍性がある。「いるいる、こういう人!」「わかるわかる、その気持ち!」多くの人が共感できる、そんな映画だと思う。

キャラクターがとっても素晴らしい。まず、主人公のエリザベス。この人、育った環境は決して恵まれてないんだけど、すごく聡明で賢い女性。言ってることはひとつひとつ筋が通ってるし、家族想いで友達想いなところにもとても好感がもてる。ジュディ・デンチ演じるキャサリン夫人との対決なんて、もう最高!僕は心の中で大拍手を送っていた。

脚本の巧みさももちろんなんだけど、エリザベスの魅力に関しては、演じたキーラ・ナイトレイによるところも大だと思う。この女優さん、マトモに観たのは初めて(『パイレーツ・オブ・カリビアン』、実はまだ未見でして・・・。)だったんだけど、すごく魅力的。顔もキレイだし、独特の華というかオーラも持ちあわせているし。勝気で、頭が良くて、でも恋に関しては人一倍ピュアな面ももつこのエリザベスという役を、完全に自分のモノにしていたと思う。

お姉ちゃんのジェーンも良かった!エリザベスとは180度違うタイプの女性なんだけど、この人もまた魅力的。内気で奥手なんだけど、真面目で純粋で心優しい女性。このジェーンとエリザベスの姉妹が、お互いの良さを全て理解しあったうえで愛し合っているのも、すごく好感がもてた。いい姉妹だなぁって。演じているロザムンド・パイクという女優さん、この人もまた初めてだったけど、今後人気出そうな感じ。

そして、オヤジ!ドナルド・サザーランド!あんた、最高だよ(笑)。最初は、奥さんのパワーに圧倒されてるだけのダメオヤジかと思いきや、このお父さんができた人なのだ。エリザベスがコリンズ(こいつが最悪な男なんだけど、いろいろと笑わせてくれる愉快な男)に求婚されて困ってたところに、あのお父さんのセリフ!いやぁ、あんた、最高だよ(笑)。ラストも良かったしね。ホント、娘想いな、素晴らしいお父さんなのだ。また、演じるサザーランドがウマイこと!

ひとつ間違うとただの昼メロみたいな話(まぁ、そういう起伏に富んだストーリー展開こそ、この映画の魅力のひとつなのだが。)になるところだが、この映画には”品”がある。長まわしを効果的に用いた映像も丁寧で美しいし、衣装やセットにもすごく神経が行き届いているし。セリフもいいんだよねぇ。エリザベスとダーシーの、ユーモラスでウィットに富んだやりとり。このへんは、文芸大国イギリスならでは、といったところか。

ちょっとしたプライドと、ちょっとした誤解。恋愛って、たいがいそういうものが原因でダメになったりするけど、でも、それを乗り越えるのもちょっとした歩み寄りだったりする。ウジウジウダウダ悩んだあとで、最後は素直にぶつかっちゃえば、案外あっさりうまくいったりするものなのだろう。まぁ、うまくいかないパターンも多いけどね(汗)。

いっぱい笑って、いっぱいイライラして、そして最後はハッピーな気持ちに。
とても面白い、恋愛映画の誕生です!
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# by inotti-department | 2006-02-20 23:41 | cinema
『歓びを歌にのせて』 ~傑作!忘れられないハーモニー~
e0038935_23352266.jpg満足度 ★★★★★★★★★☆(9点)

『歓びを歌にのせて』(2004、スウェーデン)
   監督 ケイ・ポラック
   出演 ミカエル・ニュクビスト

今日は映画を2本観ようと思ってたんだけど、1本で帰ってきちゃいました。
なんで?って、『歓びを歌にのせて』の余韻にしばらく浸っていたかったから。

人生ではじめてのスウェーデン映画。
僕にとっては、永遠に忘れられない、素晴らしく感動的な傑作であった。

さて、あらすじ。
8年先のスケジュールまでビッシリ埋まっている、人気天才指揮者・ダニエル。しかし、ある日のコンサートでステージ上で倒れてしまう。原因は、心臓発作。ボロボロの身体を癒すため、ダニエルは第一線を退き、7歳のときに離れた故郷で暮らすことに。音楽から離れて静かに暮らすつもりだったダニエルだが、村に着くと、聖歌隊の指導を依頼される。天才的な音楽家と、アマチュア集団。最初は双方かみ合わないが、ダニエルの自由な練習法に、次第にメンバーたちは歌う歓びに目覚めていく・・・・。

「スウェーデンで国民的大ヒット」というコピーがホントかウソかは知らんが、これは確かにスゴイ映画!「文部科学省選定」かどうかはどうでもいいが、これは確かにケチのつけようのない傑作!

天才的な音楽家が、田舎で素人を教えているうちに、音楽の歓びと愛することの素晴らしさに気付いていく物語。こうやって言ってしまうと、まぁよくあるパターンの話だし、決して真新しい設定ではないのだけれど、何はともあれとっても魅力的な映画なのだ。

「みんな、それぞれ自分だけの”音”を持っている。」
繰り返し繰り返しメンバーにそう説いていくダニエル。そして、自分の”音”に気付いたメンバーたちは、同時に自分だけの”人生”をも探しはじめる。心を解き放って歌うことの歓びを知った彼らは、それぞれの私生活における壁を突き破って、人生の歓びも同時に見出していくのだ。その過程は、痛々しくもあるのだけれど、同時にすごく感動的で、素晴らしい。

ダニエルとの出会いによって、村人たちの人生は変わった。しかし、一方で、ダニエル自身は?「心を解き放て」と教えるダニエル自身が、実は一番心を閉ざしてしまっているのだ。音楽のことだけを考えて生きてきたダニエルは、気が付いたら、人を愛せない男になってしまっていた。

そんなダニエルに、愛することの素晴らしさを教えるのは、レナ(彼女がとってもキュート!)をはじめとする村人たち。互いが影響を与え合って、音楽のもとにひとつになっていく。印象的なエピソードを積み重ねつつその過程を丁寧に綴っていく脚本と演出には、いささかのスキもない。

メンバーたちの関係の描き方も、すごくウマイ。一見すごく仲が良さそうに見えて、みんなけっこう腹の中では本音を隠してる。その本音が、「心を解き放て!」というダニエルの教えのもとに、ポコポコと表に出てきてしまうのだ。それによって亀裂も生じるのだけれど、その数分後には結束が深まってるのが面白い。なるほど、思うがままに生きるってのは、確かにとても大切なことかもしれない。

そして何といっても感動的なのは、やはりその”歌”。劇中でガブリエルが披露する歌の、まぁ素晴らしいこと。”生きる”ということを歌った詩も素晴らしいし、美しいメロディもいまだに心に焼き付いて離れない。ちなみに、このガブリエルを演じた女性は、スウェーデンの国民的人気歌手だとか。そうだよね、どうりでただの素人コーラス隊にしてはウマイと思った(笑)。

<以下、ラストシーンに言及します。未見の方は、ご注意下さい。>

聖歌隊は、人数を増やしつつ、コンクールを目指しはじめる。最後は、ステージで素晴らしい歌声を響かせ、感動の大団円かな?しかし!映画は、そんな安直な予想しかできなかった僕をあざ笑うかのような、意外なクライマックスを用意していた。

ご覧になった皆さん、いかがでしたか?
気持ちよく大量の涙を流したかった人にとっては、ひょっとしたらあまり歓迎できない終わり方だったかもしれない。でも、僕にとっては、すごく好きな終わり方でした。

ステージ上で”自分だけの声”を響かせあうメンバーたち。その声は、やがて観客全員にまで拡大していく。ただただ幸せに包まれるような結末ではなかったけれど、誰が何と言おうと、まぎれもなく”ハッピーエンド”だったと思うのだ。
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# by inotti-department | 2006-02-14 00:20 | cinema
   
映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
by inotti-department
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