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当ブログでは、「あの映画(小説)、一度観たんだけど、どういう話だったかが思い出せない・・・」とお困りの方のために、映画(小説)のストーリーを完全に網羅したデータベースを公開しております。詳しくは、カテゴリ内の「映画(小説)ネタバレstory紹介」をご参照ください。なお、完全ネタバレとなっていますので、未見の方はくれぐれもご注意ください。
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『エリザベスタウン』 ~音楽という名のマジック~
満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7点)
『エリザベスタウン』(2005、米) 監督 キャメロン・クロウ 出演 オーランド・ブルーム キルティン・ダンスト 『ザ・エージェント』『バニラ・スカイ』『あの頃ペニー・レインと』。キャメロン・クロウ監督の映画は何本か観てきたけれど、どれもなかなか印象深い良作だった。この監督に関しては、そうそう駄作は撮らないのではないか。そんな信頼を抱かせてくれる、数少ない監督の1人である。 というわけで、観てきました、『エリザベスタウン』! CMなんかじゃ、「アカデミー賞最有力」などという、非常にうさんくさい宣伝をしている。で、観た感想。間違いなく、アカデミー賞は取らんよ、この映画(笑)。だって、そういうタイプの映画じゃないもの。 では、あらすじの紹介。 ドリューは、大手シューズメーカーで働く敏腕デザイナー。生活の全てを、仕事に注ぎこんできた。しかし、社運を賭けた一大プロジェクトでドリューは大失敗を犯し、会社に10億ドルの損失を出してしまう。社長から解雇を言い渡されたドリューは、家で自殺を試みる。そのとき、電話が鳴る。掛けてきたのは、妹のヘザー。父親が、故郷ケンタッキーで死んだのだという。ドリューは、遺言に従って父親の遺灰を海に撒くため、母と妹を残し、父の遺体の待つエリザベスタウンへと向かう・・・。 アカデミー賞が取れないからといって、誤解してもらっちゃ困る。別に、つまらなかったという意味じゃない。というか、むしろ、なかなか面白いですよ、この映画! ハッキリ言って、ストーリーはなんのこっちゃわからない。ちょっと掴みにくい話だし、ウケを狙ってるんだかなんなんだかよくわからない「?」なシーンも多いし。コメディとラブストーリーとヒューマンドラマが、消化不良のままゴチャマゼになってるような印象。 でもなぜだろう。中盤あたりから、僕は不思議とこの映画の世界にズイズイと引きずりこまれてしまった。特にラスト30分は、もうすっかり虜になっていたといっても過言ではない。いったい何に魅かれたんだろう?ストーリーじゃないし。映像でもないし。 答えはひとつしかない。この映画の最大のマジック、それは「音楽」だ。 クロウ監督は、たしか映画監督になる前に音楽関係の仕事をしていたという話を聞いたことがある。だからなのだろう、この人の作る映画、いつもBGMのセンスが抜群に素晴らしい。 この『エリザベスタウン』の中でも、映画を盛り上げるために、効果的な場面で音楽がジャンジャン流れる。僕は全くの洋楽音痴なので、曲名とか歌手とかは全くわからないのだけれど、どの曲もすごくいいんだよなー。思わず座席の下で足踏みしながらリズムを取ってしまうような、小気味いい音楽が次々に聴こえてきた。 <以下、ストーリーに関して少しネタバレします。未見の方は、ご注意ください。> そして、この映画のハイライト。あそこしかないでしょう!名女優スーザン・サランドンによる、独壇場オン・ステージである。 ユーモアと愛情に満ち溢れたスピーチもすごく良い。そして、なんといっても極めつけは、名曲「ムーン・リバー」にあわせたタップダンス。このシーン、すごいです。鳥肌ものです。なんだかよくわからないんだけれど、気が付いたら涙が出てしまう。言葉ではうまく説明できないんだけれど、素晴らしい名シーンだ。 ラストもいい。さすがにラストシーンなので、詳しく書くのはやめときますが、すこぶる後味が良いです。ただ、ひょっとすると、この映画にあまり馴染めなかった人にとっては、「結局そういう終わり方かい!」って感じなのかもしれないが。でも、僕は大満足!「こうなったらいいなぁ」って思ってたとおりの終わり方だったので、ストレス・ゼロで劇場を後にできたしね(笑)。そしてこのラストシーンでも、音楽が重要な役割を果たしている。 最初の1時間は、この映画が言わんとしていることがサッパリわからなかったんだけれど、途中からなんとなくテーマがクリアになっていった。 どんなに絶望的な状況でも、人がいて、想いがあって、そしてそこに愛があれば、やっぱり人生は素晴らしいって思える。よーし、生きていこう!って。単純明快なメッセージなんだけれど、映画は2時間かけて、面白おかしくそんなことを感じさせてくれる。”エリザベスタウン”って、まるで御伽ばなしのような非現実的な空間なんだけれど、でもきっと、僕たちのまわりにはそういう世界が広がっているはず。そして、その世界をひとつにしたのが、あのスーザン・サランドンの拙いタップダンスだったっていうのも、この映画のユニークなところだと思う。 さて、キャストについて。オーランド・ブルームに関しては、はじめて本格的にリアリティある演技をしているところを観たのだけれど、まだよくわからないなぁ。とりあえずカッコイイことは間違いない(笑)。でも、個性が出てくるのは、まだこれからなのかなって気がした。なんか、日本でいうと妻夫木聡みたいな印象。無個性というか、ナチュラルというか。 この映画に関しては、女優陣のほうが魅力がよく出ていたと思う。スーザン・サランドンもさることながら、キルティン・ダンストもベリーグッド!この人、最初に『スパイダーマン』で見たときは、「えっ、これでヒロイン?(失礼!)」って正直思ったんだけど、どんどんキュートになってますね。クレアというキャラクターの魅力を、何倍にもアップさせていたと思う。きっと、すごく演技力のある人なんだろうな。これからが楽しみ。さっきアカデミー賞はないって言ったけど、ひょっとしたら女優賞はあるかもしれない。 ストーリーはピンとこなくても、不思議な感動と余韻が残る、素敵な作品。 マジックにかかりたい人は、音響の優れた劇場で、ぜひどうぞ。
by inotti-department
| 2005-12-14 00:26
| cinema
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映画・小説・音楽との感動の出会いを、ネタバレも交えつつ、あれこれ綴っていきます。モットーは「けなすより褒めよう」。また、ストーリーをバッチリ復習できる「ネタバレstory紹介」も公開しています。
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